| トピックス 2006.8.30 |
 |
| 金融商品取引法の概要(1) |
 |
| 金融インダストリーグループ 公認会計士 藤村 誠 |
 |
I 改正の目的とその内容
2006年6月7日、証券取引法等の一部を改正する法律及び関連整備法が成立しました。これに伴い成立する金融商品取引法は、1948年の制定以来、日本における資本市場規制の基本法となってきた証券取引法を大幅に改正等をしたものです。
この改正の目的、内容の概要は以下の通りです。
1.目的
今回の法改正は 、金融・資本市場を取り巻く環境の変化に対応し、投資者保護のための横断的法制を整備することで、利用者保護ルールの徹底と利用者利便の向上、「貯蓄から投資」に向けての市場機能の確保及び金融・資本市場の国際化への対応を図ることを目的としています。このため、金融商品取引法は従来の証券取引法の内容を大幅に改定するとともに、「金融先物取引法」、「有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律」、「抵当証券業の規制等に関する法律」及び「外国証券業者に関する法律」を吸収・統合した法律となっています。これに伴い「金融先物取引法」、「有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律」、「抵当証券業の規制等に関する法律」及び「外国証券業者に関する法律」は廃止されます。
2.内容
(1)投資性の強い金融商品を幅広く対象とする横断的な制度を整備することとし、次の所要の改正を行います(公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行)。
a.
b.
c.
d.
e.
f. |
証券取引法の題名を「金融商品取引法」(いわゆる「投資サービス法」)に改正。
集団で投資を行う契約(「集団投資スキーム」)に関する包括的な定義規定を設けるなど、対象商品を拡大。
販売・勧誘、資産運用・助言及び資産管理を全て本来業務とした上で、その内容に応じて業規制を整備。
業務の内容や対象顧客(プロか一般投資家か)に応じて、行為規制の適用を柔軟化。
規制全般の点検を踏まえた規制緩和(例えば、資産運用を行う業者(現在の認可投資顧問業者や投資信託委託業者に対応)の業規制を認可制から登録制とする)。
「証券会社」「証券取引所」の名称は引き続き使用。 |
(2)開示規制について、次の所要の改正を行います(公布の日から起算して6月(一部(※)については1年)を超えない範囲内において政令で定める日から施行)。
| a. |
公開買付制度について、市場内外の取引を組み合わせた買付けへの対応、投資者への情報提供の充実、公開買付期間の伸長、公開買付けの撤回等の柔軟化、応募株式の全部買付けの一部義務化、買付者間の公平性の確保等。 |
| b. |
大量保有報告制度について、特例報告に係る報告期限・頻度の見直し(※)、特例報告制度が適用されない「事業支配目的」の明確化、大量保有報告書の電子提出の義務化(※)等(平成20年4月1日以降に開始する事業年度から適用)。 |
| c. |
四半期報告制度の導入及び財務報告に係る内部統制の強化等に関する制度整備。等 |
(3)開示書類の虚偽記載及び不公正取引の罰則強化等について、次の所要の改正を行います(公布の日から起算して20日間を経過した日から施行)。
| a. |
有価証券届出書の虚偽記載及び風説の流布・偽計、相場操縦等に対する法定刑を「現行5年以下の懲役又は500万円以下の罰金」から「10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金」に、インサイダー取引等に対する法定刑を「現行3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」から「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金」に引上げ。 |
| b. |
いわゆる「見せ玉」行為について、現行法上、相場操縦行為として刑事罰の対象とされている顧客が行うものについて新たに課徴金の対象化するとともに、証券会社が自己の計算で行うものについて新たに相場操縦行為として刑事罰・課徴金の対象化。等 |
(4)取引所における自主規制業務が的確に遂行されることを確保するための組織形態等について、次の所要の改正を行います(施行時期は(1)と同じ)。
| a. |
取引所の自主規制機能の遂行の独立性を確保するため、自主規制業務を担う機関として、「自主規制法人」(別法人)の設立、又は「自主規制委員会」(同一法人内の別組織)の設置を可能とする制度の整備。 |
| b. |
株式会社形態の取引所がその発行する証券を上場する場合の内閣総理大臣の承認制度を整備。 |
| c. |
株式会社形態の取引所の主要株主規制として、20%を超える議決権の取得・保有を金融商品取引所、地方公共団体等を除き禁止。等 |
(5)銀行法、保険業法、商品取引所法、不動産特定共同事業法等の一部改正(施行時期は(1)と同じ)
幅広い金融商品についての横断的な制度の整備を図るため、次の各法律において金融商品取引法(いわゆる「投資サービス法」)における販売・勧誘規制を準用ないし同等の規制を規定します。
1.商工組合中央金庫法
2.金融機関の信託業務の兼営等に関する法律
3.農業協同組合法
4.水産業協同組合法
5.中小企業等協同組合法
6.協同組合による金融事業に関する法律
7.商品取引所法
8.信用金庫法
9.長期信用銀行法
10.労働金庫法
11.銀行法
12.不動産特定共同事業法
13.保険業法
14.農林中央金庫法
15.信託業法
上記の概要を図示したものが図表1です。
図表1 証券取引法等の一部を改正する法律(投資者保護のための横断的法制の整備)

(出所)金融庁ホームページ
II 金融商品取引業及び金融商品仲介業の定義の整備及び各金融商品取引業の定義及び規制
1.金融商品取引業及び金融商品仲介業の定義
証券業の名称を「金融商品取引業」に改めるとともに、有価証券関連以外のものも含むデリバティブ取引若しくは集団投資スキーム持分等の自己募集を業として行うこと、投資助言・代理業、投資運用業及び有価証券等管理業務等を新たに業の対象に追加しています。(第2条第8項関係)
金融商品取引業者は内閣総理大臣の登録を受けなければなりません。また、証券仲介業の名称を「金融商品仲介業」に改めるとともに、有価証券関連以外のものも含むデリバティブ取引の媒介及び投資顧問契約等の締結の媒介を業として行うことを新たに業の対象に追加しています。(第2条第11項関係)
2.各金融商品取引業の定義及び規制
■第一種金融商品取引業
(1)定義
次に掲げる行為を業として行うことです。
a.
b.
c.
d.
e. |
第2条第2項の規定により有価証券とみなされる同項各号に掲げる権利を除く有価証券の売買等
店頭デリバティブ取引等
元引受け
電子情報処理組織を使用して同時に多数の者を一方の当事者又は各当事者として一定の売買価格の決定方法により有価証券の売買等を行うもの
有価証券等管理業務 |
(第2条第8項、第28条第1項関係)
(2)主な規制
最低資本金規制(第29条の4第1項4号)、純財産額規制(第29条の4第1項5号ロ)及び自己資本比率規制(第29条の4第1項6号イ)
■第二種金融商品取引業
(1)定義
次に掲げる行為を業として行うことです。
a.集団投資スキーム持分等の自己募集
b.みなし有価証券の売買等
c.市場デリバティブ取引(有価証券に関するものを除く)
(第2条第8項、第28条第2項関係)
(2)主な規制
最低資本金規制(個人を除く)、及び営業保証金規制(個人の場合)(第31条の2第1項)
■投資助言・代理業
(1)定義
有価証券の価値等又は金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に関し、助言を行うことを約し、相手方がそれに対し報酬を支払うことを約する契約を締結し、当該契約に基づく助言を行うこと、又はそのような契約等の締結の代理若しくは媒介を業として行うことです。(第2条第8項、第28条第3項関係)
(2)主な規制
営業保証金規制(投資助言・代理業のみを行う者)
■投資運用業
(1)定義
次に掲げる行為を業として行うことです。
| a. |
投資一任契約又は投資法人の資産運用委託契約を締結し、当該契約に基づき、金融商品の価値等の分析に基づく判断に基づいて有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に対する投資として、金銭その他の財産の運用を行うこと |
| b. |
金融商品の価値等の分析に基づく判断に基づいて有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に対する投資として、投資信託受益証券等を有する者から拠出を受けた金銭その他の財産の運用を行うこと |
| c. |
金融商品の価値等の分析に基づく判断に基づいて主として有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に対する投資として、信託受益権又は集団投資スキーム持分等を有する者から出資又は拠出を受けた金銭その他の財産の運用を行うこと |
(第2条第8項、第28条第4項関係)
(2)主な規制
最低資本金規制(個人を除く)、及び純資産額規制 |
 |
| 以上 |
 |
| (参考文献) 金融庁ホームページ |
 |
|
|
|