| トピックス 2007.4.25 |
 |
金融機関等におけるマネー・ローンダリング規制
― 国際標準化と法改正の動向 ― |
 |
| 金融インダストリーグループ 金融法学会会員、日本証券アナリスト協会検定会員 老田 さゆり |
 |
はじめに
マネー・ローンダリング規制は、ボーダーレスの時代において、一国のみの強化にとどまらず、国際的な協調の枠組みが重要になっている。その範囲は、当初の麻薬問題から組織犯罪へ、米国同時多発テロ以降はテロ資金対策へと拡大しており、金融機関等 *1 は、これらの国際的な協調の枠組み ―国際標準化の動きに注視し、有効なAML/CFT(anti-money laundering/counter-financing of terrorism)対策を講じていかなければならない。それは、オペレーショナルリスク対策及びコンプライアンス態勢整備として、ひいては金融システムの信頼性確保において必要なことである。
本稿では、わが国の金融機関等におけるマネー・ローンダリング規制を概観し、FATF(金融活動作業部会/The Financial Action Task Force)を中心とした国際標準化の動向とそれを受けた「金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律施行令」等の改正(平成19年1月4日施行)及び「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(平成19年3月31日公布・同年4月1日一部施行)の内容について説明する。
なお、本稿において、意見にわたる部分は筆者の個人的見解であり、また、すべての論点を網羅するものではない。また、本稿は、一般的な情報であり、法的助言の提供を目的とするものではないことをお断りしておく。
| *1 |
銀行、保険会社、証券会社、投資信託委託業者、信託会社、貸金業者、商品ファンド業者、保管振替機関、両替業者等をいう。 |
1.金融機関等におけるマネー・ローンダリング規制の概観
わが国の金融機関等におけるマネー・ローンダリング規制は、主として「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」(以下、組犯法という)に基づく「疑わしい取引の届出」と「金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律」(以下、本人確認法という)に基づく「本人確認」からなる。
まず、組犯法は、組織的な犯罪に対する刑の加重、犯罪収益の隠匿・収受の処罰、犯罪収益の没収・追徴、などを規定し、第54条において金融機関等に対する「疑わしい取引の届出」を義務付けている。届出義務が課せられる金融機関等の範囲は、マネー・ローンダリングに金融機関等が利用されることを防止するという法の目的から、およそマネー・ローンダリングに利用されるおそれのある金融機関等を網羅することが目指される。具体的には、疑わしい取引に関する政令第1条及び第2条に規定がおかれる *2。届出対象となる疑わしい取引の範囲は、同令で定める業務において収受した財産が犯罪収益等(組犯法第2条2項乃至4項)もしくは薬物犯罪収益等(麻薬特例法第2条5項)である疑いがあり、又は当該業務に係る取引の相手方が当該業務に関し第10条の罪(犯罪収益等隠匿)もしくは麻薬特例法第6条の罪(薬物犯罪収益等隠匿)に当たる行為を行っている疑いがあると認められる場合である(組犯法第54条1項)。なお、個別具体的な取引が疑わしい取引に該当するか否かについては、金融機関等において顧客の属性、取引時の状況その他金融機関等の保有している当該取引に係る具体的な情報を総合的に勘案して判断する必要がある。
| *2 |
規制緩和による他業参入が容易になり、最近では新たに制度化された業者等もあることから、届出義務を課する金融機関等の範囲及びその対象となる業務は拡大している。 |
金融庁では、主要な業態別・取引形態別に「疑わしい取引の参考事例」を作成し、公表している。ただし、これらの事例は、金融機関等が日常の取引の過程で疑わしい取引を発見又は抽出する際の参考となるものであるが、これらの事例に形式的に合致するものがすべて疑わしい取引に該当するものではない一方、これに該当しない取引であっても、金融機関等が疑わしい取引に該当すると判断したものは届出の対象となることに注意を要する。また、金融庁では、外務省告示を受けて国連安保理決議 *3 に基づく資産凍結措置対象者のリストを公表し、関係金融機関等の資金洗浄対策責任者宛に要請文書を発出し、関係金融業界団体に手交して、タリバーン関係者等と関連すると疑われる取引の届出を周知している。更に、FATFの認定・公表を受けてマネー・ローンダリング対策に非協力的な国・地域(非協力国/NCCTs)のリストを公表し、金融機関等の資金洗浄対策責任者宛てに文書を発出し、金融業界団体に対し通知を行い、非協力国に係る取引に特別の注意を払うよう要請している(平成18年10月17日付金総第2196号により、該当する非協力国はなくなっている)。
| *3 |
国連安保理決議1267号、1333号、1390号及び1373号。 |
次に、本人確認法は、テロ資金供与防止条約 *4 の的確な実施、疑わしい取引の届出の実効性確保、及びテロ資金の提供が金融機関を通じて行われることの防止に資する金融機関等の顧客管理体制の整備の促進を目的として、金融機関等に顧客等の本人確認及び確認記録・取引記録の作成・保存を義務付けるものである。本法の義務付けの対象となる金融機関等及び業務の範囲は、基本的に組犯法に基づく疑わしい取引の届出の義務付けの対象となるものと同一である。本人確認の対象となる取引の範囲は、本人確認法第3条、同施行令第3条及び同施行規則第2条に規定されている。なお、平成19年1月4日施行の同施行令及び同施行規則の改正(詳細は第3節を参照)により、本人確認を必要とする取引の一部が拡張されているので注意を要する。取引記録の作成・保存の対象となる取引の範囲は、同法第5条、同令第5条及び同施行規則第10条に規定されている。
| *4 |
テロ資金供与防止条約では、金融機関等に対し、テロ資金に関する疑わしい取引の報告、顧客等の身元確認、取引記録の保存等を求めている。 |
本人確認法における法的義務は、金融機関等のみならず顧客等においても相互に負わせる仕組みを備えていることがポイントである。顧客等は、本人確認に応じなかった場合には、金融機関等から取引の履行を拒否される可能性があり(同法第6条)、本人特定事項を偽った場合には、50万円以下の罰金に処せられる(同法第3条4項、第16条)。また、預金口座等の不正利用(正当な理由がなく有償で預貯金通帳等を譲渡する行為など)を行った場合には、50万円〜300万円以下の罰金又は2年以下の懲役(併科もある)に処せられる(同法第16条の2)。なお、本人確認法に基づく本人確認により担保されるものは、取引名義人の実在性及び眼前の顧客と取引名義人との同一性である。したがって、金融機関等が更なるリスクを回避するならば、業界団体のガイドラインや各金融機関等の規程において、取引名義人の真実性を確認し、名義変更等の措置をとる等の枠組みを備えることが必要となる。
組犯法及び本人確認法の意義は、疑わしい取引の発見とトレーシングの確保、FIU *5 (わが国のFIUは平成19年4月1日より金融庁特定金融情報室から警察庁へ移管されている)への情報一元化によるAML/CFT対策の推進、及び海外FIUとの情報交換による国際捜査共助の促進に資することにある。これらの最終目的の達成をより確実なものとするために、そして、FATFの勧告及び条約の実施に対応するために、わが国では新しいマネー・ローンダリング規制の枠組みが動き始めている。その詳細は、第3節で説明することにする。
| *5 |
FIU(Financial Intelligence Unit)とは、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に関する情報の受理・分析・提供を行う単一の政府機関であり、情報を一元的に管理することにより、情報の効果的な処理及び国際的な情報交換の促進等を図ることを目的とする機関である。なお、各国FIU間の情報交換のネットワーク作りを主眼とした非公式の会合としてエグモント・グループがある。FATFは、勧告26において、各国がFIUを設立し、エグモント・グループの一員となることを推奨している。 |
2.マネー・ローンダリング規制の国際標準化
金融機関等におけるマネー・ローンダリング規制は、FATF及び条約を中心とした国際標準化の中で始動している。内閣府国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部(平成13年7月10日設置)は、平成17年11月17日に「FATF勧告実施のための法律の整備について」を公表し、FATFの策定した「40の勧告」(平成16年6月改訂)及び「テロ資金供与に関する9の特別勧告」(平成16年10月改訂)の完全実施に向けた法制上の措置をとることを決定した。本節では、FATF及び条約、その周辺を巡る国際機関等の活動を概観し、これらがどのようにしてマネー・ローンダリング規制の国際標準化を実効足らしめているのかを説明する。FATF *6 とは、アルシュ・サミット(1989年)において、マネー・ローンダリング対策の推進を目的に設立された政府間機関であるが、現在ではAML/CFTについての国際基準の確立、対策の発展及び促進を目的として活動している。FATFの組織的性格は、加盟国の合意に基づく政策決定機関であり、内部規程は存在しない。その活動期間は合意によりマンデートが与えられ、現在は2012年まで延長して存続することになっている。したがって、FATFが策定した勧告は、加盟国(OECD加盟国を中心とする31カ国と2機関)の合意によるものであり、法的拘束力はない。しかし、実際には、非加盟国を含む150カ国以上の国々や機関によって支持され適用されている。
現行のFATFの勧告は、見直しに関するコンサルテーション・ペーパーや解釈ノート原案の公表により、FATF加盟国・非加盟国、金融部門等との広範な協議プロセスを経た上で策定された最低限の行動基準である。また、勧告は、国連で採択された1988年新麻薬条約、1999年テロ資金供与防止条約、2000年国際組織犯罪防止条約及び安保理決議1373号に言及し、これらの履行のために速やかに必要な措置をとることを明記している。金融機関等については、コア・プリンシプル *7 及びCDDペーパー *8 に言及し、勧告の効果的実施のために、健全性及び非対面取引のリスク管理目的に関する監督措置のうち、資金洗浄対策及びテロ資金対策に関連する部分も同様に適用することを求めている。
*7
*8 |
バーゼル銀行監督委員会の“Core Principles for Effective Banking Supervision”、証券監督者国際機構の“Objectives and Principles for Securities Regulation”及び保険監督者国際機構の“Insurance Supervisory Principles”をいう。
バーゼル銀行監督委員会の“Customer due diligence for banks”をいう。 |
こうしたFATFの動きに対応して、前記国際組織犯罪防止条約では、同条約の解釈規定において、マネー・ローンダリング防止規定に関し参照すべき基準の一つとしてFATFの勧告を挙げている(同条約第7条3項の解釈規定)。国連では、2005年7月の安保理決議1617号において、全ての加盟国がFATFの勧告により具現化された包括的な国際基準を実施するよう強く勧めている。また、IMF及び世界銀行では、金融部門評価プログラム(FSAP)において、加盟国の金融システムの健全性の促進効果の増大を図ることを目指して、関連する金融部門の基準等の遵守状況を評価したレポート(ROSCs)を作成しているが、その遵守規準等リストに2002年からFATFの勧告を加えている。
以上のように、FATFの勧告を正式な国際基準としてグローバルレベルで相互に推奨し評価を行う仕組みを備えることで、マネー・ローンダリング規制の国際標準化は推し進められている。多国間条約の枠組みは、主権国家が特別かつ明確な負うべき義務を明らかにすることを望まないことから曖昧なものになる傾向がある。しかし、その曖昧な規定の意味を明確化する役割をFATFに担わせることで、条約の枠組みを機能させる仕組みを確保しているともいえる。
このほかに、国際標準化を実効的なものにするFATF自身の仕組みも存在する。FATFと協力協定を締結したFATF型地域グループ(FSRBs) *9 を活用した加盟国間の相互審査 *10、マネー・ローンダリング対策に非協力的な国・地域(非協力国/NCCTs)のリストの公表、対抗措置の発動 *11 などがある。
*9
*10
*11 |
FATF型地域グループ(FATF-Style Regional Bodies)とは、FATFと同様の目的をもつ地域の枠組みであり、いくつかの資格でFATFに参加している。但し、FATFの下部機関ではない。
他の加盟国や国際機関代表、専門家で構成されるグループによる勧告の実施状況に関する評価であり、IMF・世界銀行の金融部門評価を補完する役割ももつ。日本は、FATFの加盟国であると同時に、FATF型地域グループの一つであるアジア太平洋マネー・ローンダリング対策グループ(APG)の加盟国でもある。なお、日本の次回審査は2007年の予定である。
勧告21の適用やその他の手続により、FATFの勧告を適用していない国の者との業務関係及び取引に対して、金融機関等が特別の注意を払うべきこと、各国がFIUの監視下におくこと、さらにはFATFからの除名処分もある。なお、FATFは、2006年10月に“Tour de Table”という名称でFATF勧告が不十分な国・地域(FATF加盟国に限らない)に対して是正措置を求めるための枠組み(制裁措置を発動することもありうる)の正式導入を決定し、取り扱う作業部会(ICRG)も同時に設立している。 |
金融機関等については、「40の勧告」の改訂版で追加された「海外とのコルレス銀行業務に対する厳格な顧客管理措置」(勧告7)及び「9の特別勧告」の中の「電信送金に係る発出者情報管理措置」(特別勧告7)が特に重要視される *12。したがって、金融機関等は国際標準として特に以下の事項を遵守することを強く求められる。
表1 国際標準として特に遵守することを求められる事項
●
●
●
●
●
●
● |
相手方機関(the respondent institution)についての十分な情報を収集する。
相手方機関の資金洗浄対策及びテロ資金対策を評価する。
新たなコルレス契約を確立する前に上級管理者の承認を得る。
契約する両機関の責任を文書にする。
「payable-through-accounts」(第三者が、自分のために取引をするために使用するコルレス口座をいう)については、相手方機関がコルレス機関(the correspondent bank)の口座に直接アクセスする顧客の身元の称号及び当該顧客に対する継続的な管理を実施し、また、相手方機関が要請に応じて関連する顧客の本人確認データをコルレス機関に提供できることを確認する。
1,000ドル又は1,000ユーロを超える電信送金について、送金人の本人確認を行う。
被仕向金融機関等が仕向金融機関等における送金人情報を送金受領時に入手又は速やかにトレース可能な体制にする。 |
|
| *12 |
マネー・ローンダリングのプロセスには、(1)Placement(取引に組み込むこと)、(2)Layering(取引を重ねること)、(3)Integration(合法利益としての体裁を整えること)があるとされ、最初のPlacementの段階で現金を取扱う金融機関等が重要な位置付けにある。 |
3.国際標準化の中でのわが国の新しい枠組み
マネー・ローンダリング規制の国際標準化の中で、わが国では、「金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律施行令」等が改正され(平成19年1月4日施行)、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(以下、犯罪収益防止法という)が公布され、平成19年4月1日より一部施行された。
まず、改正本人確認法施行令では、FATFの勧告(前記表1)を受け、本人確認の対象となる取引に、以下の取引が追加されている。
表2 改正本人確認法施行令により本人確認の対象となる取引として追加された取引
イ.
ロ.
ハ. |
為替取引又は自己宛小切手の振出しを伴う現金の受払いをする取引で、10万円を超えるもの(同施行令第3条1項21号)
他の金融機関等が行う為替取引(下記ハ.に掲げる契約に基づき行うものを除く)のために行う現金の支払いを伴わない預貯金の払戻しであって、当該払戻しの金額が10万円を超えるもの(同施行令第3条1項22号)
預貯金の受入れを内容とする契約の締結を行うことなく、為替取引又は自己宛小切手の振出しを継続的に又は反復して行うことを内容とする契約の締結(同施行令第3条1項23号) |
|
「為替取引」とは、隔地者間で直接現金を輸送することなく資金を移動する取引を指し、10万円を超える現金での振込み等を行う際には、送金人等の本人確認が必要となる *13。
一方、口座開設金融機関等のATM、窓口、インターネットバンキングにおいて、預貯金口座を通じて受払いを行い、現金の受払いがない場合には、本人確認義務の対象にならない。なお、「現金の受払い」とあることから、送金や代金取立に伴い、金融機関等が資金の受取人に対し10万円超の支払いをする場合にも、本人確認が必要になる。なお、現金の受払いをする取引のうち、顧客等の預貯金の受入れ又は払戻しのために行うもの(200万円を超えるものを除く)については、本人確認対象取引から除かれる(同法施行規則第2条8号)。
ロ.の規定は、金融機関等間の提携による、いわゆる「他行カード振込み」における口座開設金融機関等(カード発行金融機関等)の本人確認義務を定めたものである。この場合、ATM提供金融機関等に本人確認義務を課すことは実務的に困難であるため、口座開設金融機関等に本人確認義務を課している。この場合、ATM提供金融機関等から口座開設金融機関等に対し、本人確認済みかどうかの確認を行い、それが確認できないときは、当該預金等の払戻しは実行されないことになる。なお、ATM提供金融機関等には、取引記録の作成・保存が義務付けられる(同施行規則第10条1号)。
ハ.の規定は、口座を開設することなく送金等が継続的に又は反復的に行われることを内容とするサービス等のケースにおける本人確認義務を定めるものである。
また、国内で行われる資金移動を伴う取引で、取引に係る情報の授受が金融機関等間において電磁的方法により行われる場合、仕向金融機関等が顧客等の確認を被仕向金融機関等からその取引に基づき求められたときは、3営業日以内に当該取引を特定し当該顧客等の本人確認記録を検索できるように、取引記録の記載事項が定められている(同法施行規則第12条5号)。なお、金融庁では、前記表1を踏まえ、平成19年3月13日に、「テロ資金供与・マネー・ローンダリング防止に係る主要行等及び中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針の一部改正」を発出している。
| *13 |
「自己宛小切手の振出し」については、「為替取引」として理解するのは困難と考えられることから、別に規定されている。なお、信販会社が発行するクレジットカードや消費者金融業者が発行するローンカードを使用して、提携金融機関が提供するATMを通じて、当該信販会社等との間で行われる融資又はその返済については、改正本人確認法施行令第3条1項21号には該当しない。以下、林健司「本人確認法施行令等の改正の概要」銀法668号17頁以下(2006)を参照。 |
次に、犯罪収益防止法は、本人確認法及び組犯法第5章を参考として、FATFの勧告実施のために不足する規定を整備する方向で策定されたものである。金融機関等において犯罪収益防止法上重要なポイントとなるのは、以下の点である。
表3 金融機関等における犯罪収益防止法上の重要なポイント
●
●
●
●
●
● |
疑わしい取引の届出の義務対象者が拡大される(クレジット・カード業、リース業(政令で定めるものに限る)、不動産業、宝石・貴金属商(政令で定めるものに限る)、顧客等に自己の連絡先を用いることを許諾し、当該顧客宛の郵便物を引き渡し又は当該顧客宛の電話の内容を連絡するサービスを提供する業者)(同法第2条2項)。
外国為替取引を行う場合で当該支払いを他の事業者に委託するときは、当該顧客等に係る本人特定事項等を通知して行わなければならない(同法第10条)。
疑わしい取引の届出先は、金融機関等は内閣総理大臣、外国為替取引に関するものは内閣総理大臣及び財務大臣であるが、情報は国家公安委員会に一元集約化される。FIUは金融庁から警察庁に移管される(同法第9条、第20条、第21条)。
国家公安委員会は、義務対象者が犯罪収益防止法に違反していると認めるときは、行政庁に対し、是正命令、業務停止等の処分を行うべき旨の意見を述べることができる(同法第17条)。
施行日は平成19年4月1日である。但し、国家公安委員会の監督上の役割等に関するもの以外は、公布日より起算して1年以内の政令で定める日から施行となる(同法附則第1条)。
組犯法が改正される。本人確認法が廃止となる(同法附則第2条、第14条)。 |
|
犯罪収益防止法の施行により組犯法第54条は削除されるが、該当条項が犯罪収益防止法第9条において規定されているため、第1節で述べた規制の枠組みは維持される。また、本人確認法は廃止されるが、該当条項が犯罪収益防止法第2条、第4条乃至第7条、第9条、第25条及び第26条において規定されているために、第1節で述べた規制の枠組みは同様に維持される。なお、組犯法の改正及び本人確認法の廃止は、犯罪収益防止法の公布日より起算して1年以内の政令で定める日から施行される。詳細は、政令・主務省令に委任されることから、今後はその動向に留意する必要がある。
新しいAML/CFTの枠組みの中では、FIUが警察庁に移管されることにより、異業種間にまたがって実行される資金洗浄やテロ資金行為を監視することが可能となり、疑わしい取引の参考事例の充実が図られることが期待される。金融機関等は、これらが国際標準であることを意識して、有効かつ効率的に態勢を構築し運用していかなければならない。 |
 |
| 以上 |
 |
|
|
|