Deloitte.
トーマツグループ トーマツ
Home サービス ニュース&ナレッジ セミナー 出版物 グループ案内 コラム 問い合わせ サイトマップ
Home > ニュース&ナレッジ > ヘルスケア > トピックス 2006.11.29
ニュース&ナレッジ
ヘルスケア
トピックス 2006.11.29
病院機能評価の概要と受審の効果について
本部ヘルスケア
1.はじめに
医療過誤問題に代表されるように医療分野における様々な事柄が今や社会的な話題としてマスコミにより巷にもたらされ、加えて医療費の患者負担増加といった医療政策も生活に係わる問題として身近に感じるようになり、国民の保健医療に対する関心や要求は従来に増して高まっていると思われる。医療機関にとっては、国民に対して良質な医療提供を推進し、確保していくことが、より重要な経営課題となってきており、医療の受け手である患者のニーズを踏まえつつ、質の高い医療を効率的に提供していくためには、組織体としての機能の一層の向上を図る必要がある。
こうした状況下、機能の向上を図る一つの手段として、財団法人日本医療機能評価機構(注)が実施する病院機能評価の受審、いわゆる第三者評価が注目される。本稿では、病院機能評価の受審の概要やその効果等について著者のこれまでのコンサルティング業務経験などをもとに解説する。なお、本文中の意見に関する記述は私見である。
(注)医療機関の機能を中立的な立場で評価する第三者機関。以下「評価機構」という。

2.病院機能評価の概要
(1)全体の枠組み
病院機能評価の審査は、病院が自ら調査した「病院機能の現況調査票」「自己評価調査票」(総称で「書面審査調査票」と呼称)に基づく書面審査と、「書面審査調査票」と「書面審査サマリー」(図表1の*参照)に基づいたサーベイヤー(評価調査者)によるヒアリングを中心とした訪問審査に分けられる。

[図表1]
受審申込みから訪問審査までの時間軸

サーベイヤーによる審査の結果を受けた評価部会での検討、評価委員会の審議を経て、標準的な水準以上であれば認定され、認定証の発行を受けることができる。

(2)書面審査の概要
書面審査の中でも特に重要な審査事項として、「自己評価調査」に対する審査がある。「自己評価調査票」は大・中・小の評価項目からなり、認定を受けるためには原則として中項目の評価がすべて3以上であることが必要である。2以下の評点が付いた場合は、改善を必要とする問題の緊急性や患者・住民への影響等を考慮し、以下の3段階に区分される。

■改善要望事項
■留意事項
■報告書指摘事項
→認定証は発行されない
→認定証は発行される
→認定証は発行される

全くの新規受審の場合、「改善要望事項」を受けると認定留保となり、「改善要望事項」への対処を施した後、審査結果受領後1年以内に再審査を申請することができる。

(3)自己評価調査票の詳細〜評価体系Ver5.0〜
図表2に掲げる<領域と評価項目数>は主要6領域と領域別の大・中・小項目それぞれの項目数を示しており、<評価項目の構成と評点>は各項目の評点内容を示している。
主要6領域の評価の要旨は図表3に示したとおりであるが、その6領域で計55項目の大項目があり、それらは大見出しとしての役割を担っている。中項目は計162項目あり、1つの中項目に3〜5項目程度の小項目がぶら下がっているため、小項目は計532項目ある。中項目は小項目の評点結果を踏まえて評価され、小項目のうち一つでも“c”(適切さに欠ける)があると、中項目で“2”(適切さにやや欠ける)と評価される可能性が高いと言われている。
従って、認定を受けるためには、すべての小項目で“b”以上の評点が得られるような体制の構築が必要となる。

[図表2]
領域と評価項目数/評価項目の構成と評点

[図表3]
<統合版評価項目の解説>
病院組織の運営と地域における役割 病院の基本方針と中長期計画や病院全体の管理体制、情報管理機能の整備、地域の保健・医療・福祉施設との連携などについて評価
患者の権利と安全確保の体制 患者の権利の尊重や患者に十分な説明をし同意を得る体制の確立、患者の安全確保の体制等について評価
療養環境と患者サービス 来院者への接遇と案内、患者・家族の医療相談の体制やプライバシー確保への配慮、療養環境の整備体制等について評価
医療提供の組織と運営 診療、看護、コメディカル、手術・麻酔、救急、診療録管理や外来など院内各部門の組織運営を「人員・施設設備」「教育」「運営・手順」「業務改善の仕組み」等の面から評価
医療の質と安全のためのケアプロセス 病棟における医療の方針と責任体制、入院診療の計画的対応、患者に関する情報の収集と伝達、評価と計画、ケアの実施、ケアプロセスにおける感染対策、診療・看護の記録、病棟での環境と薬剤・機器の管理について評価
病院運営管理の合理性 人事管理、財務、経営管理、施設設備管理等の合理性と適切性や訴訟等への適切な対応等について評価
出所:(財)日本医療機能評価機構のパンフレット

3.病院機能評価受審の効果
病院機能評価を受審することによって、医療機関には一般的に以下のような効果が期待される。
■現状の客観的把握
医療機能評価についての体系的な審査により、優れている点や改善すべき問題点が評点と評価所見により具体的に示されるので、現状を客観的に把握することが可能となる。

■改善のきっかけづくり
受審申込後に開始される書面審査の調査票の作成や自己評価等による訪問審査に向けた準備活動そのものが、医療の質の向上と効果的なサービス改善につながる。

■効果的・具体的な改善目標の設定
改善すべき問題は、早急に取り組むべき課題や解決が困難な問題など様々であるが、評価を受けることにより効果の上がる具体的な改善目標を設定することが可能となる。

■職員の自覚と改善意欲の醸成
第三者の評価を受けることにより、問題点について管理者も現場職員と共通の認識をもつことができ、双方の改善意欲が向上して主体的な取組みが期待できる。

■改善の方向性の明示
審査結果報告書には問題点が指摘され、改善の方向性も明示されるため、今後病院の進むべき方向性が明確になる。

■認定証による患者の信頼
認定証を院内に掲示することにより、医療に対する信頼を向上させることが可能になる。

4.病院機能評価の認定傾向
病院機能評価の認定件数(認定を受けた病院の数)は図表4−1に示しているとおり、毎年着実に増加していることが見てとれ、医療機関に病院機能評価の受審が広まっていることが窺える。
しかし、その一方で、新規受審に関する初回認定率を見ると図表4−2のとおり、平成10年度の81%をピークに低下傾向にあり、平成15年度では28%にまで低下している。評価機構の広報によれば、直近の平成17年度では20%を下回っているとのことである。このように初回認定率が急激に低下している要因としては、評価機構による予備審査が廃止された影響が大きいとの指摘もあるが、医療に対する社会的期待の高まりとともに評価体系の改訂が行われてきた結果、評価項目の充実が図られ、質的に難易度が高まっていることによるものと考えられる。特に、昨今の審査傾向としては、個人情報保護法の施行に伴い、カルテや診療情報の漏洩防止といったセキュリティ管理などに関する事項なども重要視されている。従って、今後、病院機能評価を受審する医療機関は、こうした傾向に配慮しながら、十分な準備期間を設け、全職員が一丸となって受審に向けた管理体制の構築に取り組んでいくことが望まれる。

[図表4−1] 年度別有効認定病院数の類計トレンド
年度別有効認定病院数の類計トレンド

[図表4−2] 初回認定割合のトレンド
初回認定割合のトレンド
出所:(財)日本医療機能評価機構発行のNEWS LETTERに基づき筆者作成

5.おわりに
病院機能評価は、評価項目が532項目にものぼり、提出が求められる書面審査書類も膨大な数に及ぶため、受審に当たっては十分な準備期間を設け、計画的に準備を進めていく必要がある。しかしながら、この受審に向けた準備を進めることにより、現状の問題点の把握や改善への方向性の明示が可能となり、さらには職員の意識改革につながることから、この準備期間で培われるものこそが病院機能評価を受審することの最大のメリットであると言えよう。
以上
English 安全確保の措置 利用規定 プライバシーポリシー コンプライアンス・ホットライン
▲ページトップ
Member of Deloitte Touche Tohmatsu
Copyright (c) 2008 Deloitte Touche Tohmatsu, Tohmatsu Tax Co. All rights reserved.
Deloitte(デロイト)とは、スイスの法令に基づく連合組織体のデロイト トウシュ トーマツおよび相互に独立した個別の法的存在であるネットワーク組織のうちのメンバーファームのひとつあるいは複数を指します。デロイト トウシュ トーマツとメンバーファームの法的な構成についての詳細は、www.tohmatsu.com/deloitte/ をご覧ください。
 
RSSフィード トーマツグループ ヘッドライン RSSによりトーマツWebサイトの最新情報をご案内しています。
RSSフィード RSSとは