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トピックス 2007.4.25
医療法人制度改正による医療法人の移行
大阪事務所 ヘルスケアコンサルティング部 公認会計士 眞岩 研徳
1.はじめに
医療法人制度は昭和25年に創設されて以来、昭和39年に特定医療法人制度が、平成6年に出資額限度方式の社団医療法人制度が、そして平成10年に特別医療法人制度が創設された。
今回の第5次医療法改正では、抜本的な見直しが行われ、制度改正前にあった医療法人の類型が認められなくなった。この新しい医療法人制度は改正医療法の施行により平成19年4月から始まっている。
本稿では制度改正前後の医療法人の類型とその移行について取り上げる。なお、本文中の意見に関する部分は私見である。

2.医療法人の類型に係る制度改正の趣旨
今回の制度改正の趣旨は、(1)医療法人の非営利性の徹底 と (2)地域で必要とされている医療(救急医療、へき地医療など)の安定的な供給を確保することにある。

(1)医療法人の非営利性の徹底
医療法人には持分の定めのあるものと持分の定めのないものが存在する。ここで持分とは、社員の退社時における出資払戻請求権及び医療法人の解散時における残余財産分配請求権をいうが、従前まで持分の定めのある医療法人では退社時や解散時に出資割合に応じた払い戻しを受けることができると解されてきた。この点につき、出資割合に応じた払い戻しは事実上の配当に当たる可能性がある、と医療法人の非営利性に疑問を投げかける声もあったことから、今回の改正では解散時の残余財産の帰属先を国などに制限し個人を除外することで、持分という概念をなくし非営利性の徹底を図っている。平成19年4月以降は持分の定めのある医療法人の設立は認められず、財団または持分の定めのない社団医療法人しか設立できない。しかし、医療法人はその設立時に必要な施設、設備または資金を有している必要があることから、社団医療法人については基金の制度を採用することができるものとし資金調達の便宜が図られている。

(2)地域で必要とされる医療の安定的な供給
救急医療や小児救急医療、周産期医療など公益性の高い医療は自治体病院が担っている地域も多いが、中には慢性的な赤字体質でその存続自体が危ぶまれる病院もある。そこで、これら公益性の高い医療を維持し地域医療を守るため、自治体病院だけでなく民間の医療法人であってもその役割を担うことができるように社会医療法人制度が創設された。社会医療法人は、その要件に採算性が良くない公益性の高い医療に携わることが求められる。その代わりに、その経営基盤を維持するため収益業務の実施や社会医療法人債の発行による資金調達を行うことが可能とされている。

3.医療法人の移行について
それでは、制度改正前に設立された医療法人の各類型は改正によってどのような影響を受けるのであろうか。ここでは改正前の法人類型ごとに存続、移行の可否について確認する。

図表1 改正医療法施行後の医療法人
改正医療法施行後の医療法人
出所:独立行政法人福祉医療機構 全国医政関係主管課長会議資料(平成19年2月26日開催)

(ア)財団及び持分の定めのない社団医療法人(以下、「一般の医療法人」という)
医療法第39条に規定する医療法人。平成18年3月末時点で医療法人は41,720法人あるが、一般の医療法人はこの2%程度を占めるにすぎない。一般の医療法人は、平成19年4月以降もそのまま存続し、新規設立も可能である。また、一定の要件を満たすことで特定医療法人や社会医療法人に移行することができる。

(イ)持分の定めのある社団医療法人(以下、「経過措置型医療法人」という)
医療法第39条に規定する医療法人のうち、特に定款の定めにより社員の退社時における出資払戻請求権及び医療法人の解散時における残余財産分配請求権に関して、その権利の及ぶ範囲を実際の払込出資額を限度とする旨を明らかにしている医療法人を出資額限度法人という。出資額限度法人を含めた経過措置型医療法人は、平成18年3月末時点で医療法人の約98%を占めている。
経過措置型医療法人は平成19年4月以降も存続可能であるが、新たに設立することは認められない。また、持分の放棄を前提として一般の医療法人や基金拠出型法人に移行することができ、さらに一定の要件を満たすことで特定医療法人や社会医療法人に移行することができる。ただし、現状では特定医療法人への移行を除き移行時の課税関係が明らかにされていないため、持分の放棄時に課税関係が発生する可能性がある。

(ウ)特別医療法人
旧医療法第42条2項に規定されていた医療法人。平成18年3月末で61法人が設立されている。医療法人の業務は本来業務、附帯業務及び付随業務に制限されているが、これに加え一定の範囲で収益業務を行うことができる。平成19年4月以降新規設立は認められず、現存する特別医療法人は平成24年3月末まで存続可能であるが、それまでに他の法人類型に移行しない場合にはその後一般の医療法人になる。また、一定の要件を満たすことで特定医療法人や社会医療法人に移行することができるが、社会医療法人に移行しない場合には収益業務ができなくなる。

(エ)特定医療法人
医療法第39条に規定する医療法人のうち租税特別措置法第67条の2に規定する医療法人で、法人税において22%(他の医療法人は30%)の軽減税率が適用される。平成18年3月末で395法人が設立されている。今回の制度改正による影響はなく、平成19年4月以降もそのまま存続し、新たに許可を受けることも可能である。また、一定の要件を満たすことで社会医療法人に移行することができる。

4.おわりに
制度改正前に存在する医療法人で移行が必要となるのは、今後収益業務を継続して行う特別医療法人のみである。また、医療法人の移行にあたっては、詳細な認定要件や課税関係が明確になっていないところがあるため、制度改正後直ちに移行の動きが活発になるとは考えづらい。しかしながら、収益業務の実施や自治体病院の指定管理者になるなどの動きがあり、社会医療法人は事業活動を拡大していくにあたって魅力的な制度と考えている医療法人は多いと思われる。社会医療法人制度については、今後、認定要件の詳細や課税関係が明らかになった段階で寄稿する予定である。
以上
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