| トピックス 2008.1.30 |
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| 公立病院改革ガイドラインにおける改革プランの策定について |
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| 大阪事務所 ヘルスケアコンサルティング部 公認会計士 大川 幸一 |
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1.はじめに
総務省は平成19年12月に公立病院改革ガイドライン(PDFファイル)(以下「ガイドライン」)を公表した。当該「ガイドライン」自体には法的拘束力はないが、平成19年6月19日の閣議決定「経済財政改革の基本方針2007について(PDFファイル)」(首相官邸ホームページより)に、「総務省は、平成19年内に各自治体に対しガイドラインを示し、経営指標に関する数値目標を設定した改革プランを策定するよう促す」と社会保障改革の一環として公立病院改革に取り組むことが明記されたことに伴い策定されたものであるため、各公立病院は実質的に「ガイドライン」に沿った対応が求められる。
当該「ガイドライン」は、1)公立病院改革の必要性、2)公立病院改革プランの策定、3)公立病院改革プランの実施状況の点検・評価・公表、4)財政支援措置等の4項目からなり、下記【図表1】公立病院改革ガイドラインの全体像のようにまとめられる。
「ガイドライン」の狙いは2)公立病院改革プランの策定にある。以下において、「公立病院改革プラン」の概要と留意点について要約する。
なお、本文中の意見に関する部分は私見である。
【図表1】公立病院改革ガイドラインの全体像

出所:公立病院改革ガイドラインを元に筆者作成
2.「公立病院改革プラン」の概要と留意点
ガイドラインによれば、病院事業を設置する地方公共団体は、平成20年度内に「公立病院改革プラン」(以下「改革プラン」)を策定し、病院改革に総合的に取り組むこととされている。特に都道府県は、都道府県内の公立病院等の再編・ネットワーク化及び経営形態の見直しについて、市町村と共同して、自ら計画、構想等を策定することも含め、積極的にその役割を果たすことが求められている。
(1)当該病院の役割・一般会計の負担の考え方について
「改革プラン」の策定にあたり、まず取り組むべき事項は、当該病院の役割の定義と、そこから導かれる一般会計の負担の考え方を明確にすることである。
<果たすべき役割と医療提供体制>
公立病院の役割を明確化するには、【図表2】のように都道府県地域医療計画の位置づけの中で、当該地域における当該病院が果たすべき役割と、診療科目や病床数等の医療提供体制を明確化していく必要がある。そのためには、地域における他の医療機関の医療提供体制と当該自治体の役割分担、市民が当該公立病院に求める機能などを考慮するとともに、当該病院の診療圏における医療需要動向の調査・分析なども行う必要があり、相当程度の時間を要すると考えられる。既に病院のあり方検討会などで議論している病院は、新たに検討する必要はないが、検討がなされていない病院は早急に当該病院の役割の定義・医療提供体制の方針を策定するための準備を進める必要がある。
<一般会計の費用負担>
また、当該病院の役割と医療提供体制を前提として、一般会計等が費用負担する範囲及びその算定基準(繰り出し基準)を明確化する必要があるが、「最大限効率的な運営を行ってもなお不足する、真にやむを得ない部分」のみが一般会計等の費用負担の対象となる。一般会計等が費用負担する額を明確化するためには、費用負担の対象となる範囲の損益構造を把握する必要があり、そのためには部門別損益計算など管理会計の体制の整備が必要となる。
【図表2】ガイドラインにおける当該病院の役割・一般会計負担の考え方の概要

出所:公立病院改革ガイドラインを元に筆者作成
(2)経営の効率化について
「ガイドライン」においては、経営効率化プランの策定のために、経営指標にかかる数値目標の設定を求めている。経営指標は下記【図表3】に示すように「財務内容の改善に係る指標」・「公立病院としての医療機能確保に係る指標」・「その他サービス向上に係る指標等」の設定が必要となっている。
また、各項目ごとに具体的指標例が例示されており、これを参考として数値目標を設定することとされている。財務数値については、経常収支比率・職員給与費対医業収益比率・病床利用率が必須設定項目である。財務内容改善数値の設定に当たってはその考え方として、経常収支比率を100%以上とする点、効率的運営を行ってもなお不足する額のみを一般会計繰出金の対象とする点や、同一地域に民間病院が存在する場合は、民間病院なみの効率性の達成を目標数値とすることなどの条件が設けられている。
「改革プラン」にはこれらの数値目標、目標達成に向けた具体的取り組み及びその実施時期を明記するとともに、当該目標数値等を各年度別収支計画に落とし込まなければならない。
<留意点>
経営指標の目標設定及び評価に関しての留意点として、事業運営や会計処理が異なる場合は、複数の指標により複眼的・総合的に考慮・評価すべきであるとしている。特に、離島・へき地に立地する病院や、小児科・産科・周産期、精神医療等に特化した専門病院は、一般的公立病院とは異なる取り扱いが必要である点留意が必要としている。
その他の留意事項として、【図表3】の6項目を掲げているが、病床利用率が特に低水準である病院における取り組みの項目の中で、病床利用率がおおむね過去3年間連続して70%未満の病院は病床数の削減、診療所化など、抜本的な見直しが求められる。また、その際、病床数が過剰な二次医療圏内に複数の公立病院が存在する場合は、再編・ネットワーク化により過剰病床の解消が必要とされている。
【図表3】ガイドラインにおける経営効率化の概要

出所:公立病院改革ガイドラインを元に筆者作成
(3)再編・ネットワーク化について
公立病院等の再編・ネットワーク化については、平成25年度までに実現を目指すものとし、都道府県・関係市町村と協議を行い、【図表4】に示した項目を明記しなければならない。この際、平成20年3月までに見直される都道府県の医療計画との整合性を図る必要がある。
再編・ネットワーク化を検討するに当たっては、二次医療圏単位での経営主体の統合の推進、医師派遣に係る拠点病院の整備または連携、病院機能の再編及び病院・診療所間の連携体制に留意しなければならない。
その上で、再編・ネットワーク化のパターンとして、地方独立行政法人化と指定管理者制度の導入を主眼として検討するよう、下記図表の4つのパターンを例示している。
再編・ネットワーク化の検討に当たっては、都道府県は都道府県医療審議会や地域医療対策協議会に部会を設ける等、検討・協議の場を設置して、庁内一体となっての推進体制の整備が必要であり、都道府県の主体的役割が強く求められている。都道府県は、関係者間の協議を行える体制を早急に整備する必要がある。
【図表4】ガイドラインにおける再編・ネットワーク化の概要

出所:公立病院改革ガイドラインを元に筆者作成
(4)経営形態の見直しについて
経営形態の見直しについては、上記(3)の再編・ネットワーク化の方針にリンクして、平成25年度までに実現することを原則として、移行計画の概要・移行スケジュール・移行時期を含めた具体的計画等の明記が求められる。
経営形態の見直しを行う上で最も重要な点は、経営権限と経営責任を一体化した運用体制が確保できる経営形態かどうかである。この観点から、ガイドラインでは地方公営企業法全部適用・地方独立行政法人化(非公務員型)・指定管理者制度の導入・民間委譲の4つの選択肢を示している。
さらに当該病院の地域における最適な保健福祉サービスの提供を行う上で、場合によっては、病院事業から、診療所化・老人保健福祉施設や高齢者住宅事業等への転換も含めて検討する必要があるとしている。
【図表5】ガイドラインにおける経営形態の見直しの概要

出所:公立病院改革ガイドラインを元に筆者作成
3.おわりに
全国の公立病院の平成18年度における純損失は1,985億円、累積欠損金は1兆8,736億円に達している。それぞれ前年比34.5%、5.1%増と毎年増加傾向にあり、地方自治体の財政状況を大きく圧迫している状況にある(平成18年度地方公営企業決算の概況)。
平成19年6月15日に成立した「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」の成立により、公営企業は単体の事業としても、地方公共団体の財政運営全体の観点からも、一層の経営の健全化が求められている。
「ガイドライン」における「改革プラン」は、従来の公営企業としての病院経営自体の見直しにまで迫るものであり、一部の部署の判断や作業で策定できるものではない。充分な議論と多角的な検討を要することから、外部有識者の助言を得ながら全庁あげての対応が望まれている。特に再編・ネットワーク化、経営形態の見直しの検討には都道府県・関連市町村との協議を行う必要もあり、その調整にはかなりの時間を要すると考えられる。
各自治体は、地域において求められる医療の継続提供のためにも、各病院に適した「改革プラン」を策定する必要があり、そのためにはできるだけ早い段階から「改革プラン」策定の準備を始める必要がある。 |
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| 以上 |
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