| トピックス 2008.4.23 |
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企業価値に占めるブランドの評価の重要性
―利益に占めるブランドの重みとは― |
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| 知的財産グループ 米国公認会計士 八木 幸司 |
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【ブランド価値評価の必要性】
企業が成長戦略を描く中で、自社におけるブランディング開発や他社からのブランドを伴う事業買収など、積極的なブランド戦略が多く見られるようになってきました。また知的財産の一元化を目的とした事業再編等で見られるように、本国のブランド管理会社が他国を含む関係会社とブランド使用に関する契約を締結することも盛んになってきました。適切なブランドの評価を実施しない場合には、株主を含めた投資家に対して買収の目的を説明する観点、自社のブランド戦略の実効性を測定する観点、もしくは関係会社間のブランド使用料の合理性を説明する観点等から、ブランド戦略や事業買収、事業再編等が計画通り進まないリスクが存在し、企業の成長の妨げになる可能性があります。
【ブランド評価のアプローチ】
ブランドの評価アプローチとしては、通常の知的財産の評価と同じくコストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチの3つがありますが、ブランドの性質上、特に以下の3つの評価方法が効果的な手法となります。
1.利益分割法(インカムアプローチ)
製品・サービスなど(以下「製品」)から得た利益(現在価値)をブランドの利益に対する貢献度に応じて配分し、適切な割引率を用いて現在価値に割り引いた額を対象ブランドの価値とする計算方法です。より客観的な貢献度を求めるには、消費者の購買意思決定要因(ブランド、技術、その他)と消費者の効用値(購買行動による効用の変化)との統計的な相関性を分析することがポイントとなります。その分析手法としては、コンジョイント分析(後述)によるアンケート調査等の手法が用いられます。
2.利益プレミアム法(インカムアプローチ)
ブランドを用いた製品がノンブランド製品を上回ってもたらす利益(プレミアム)を適切な割引率を用いて現在価値に割り引いた額を対象ブランドの価値とする計算方法です。この方法はノンブランド製品とブランド製品の利益の差分を求める際に、ノンブランド製品の定義をする必要性があります。
3.リブランディング・コスト法(コストアプローチ)
現時点で、対象ブランドと同等のブランドを新規に調達(構築)する場合に要するであろうコストの総額を計算する方法です。この方法は、インカムベースの価値を別の角度から検証(補強)する目的で使用されることが一般的です。
ここで利益分割法に関して、より詳細に説明します。この方法は、(1)ベンチマークとなる利益率、(2)ブランドの利益に対する貢献度、(3)ブランドのリスク、という3つのバリュードライバーが重要となります。例えば、図表1のケース1は高収益の主な要因がブランドによる場合です。ケース2に関しては高収益の主な要因がブランド以外の創薬の技術開発力等の場合です。ケース3は低収益ですが、利益の主な要因が価格、納期のサービス等、他の要素の場合です。なお、ここでケース1〜3と業界ごとにタイプ分けを行っていますが、同じレストランであっても、当然ながら、日常品をファミリー層に提供するファミリーレストランとブランド志向が強い層に提供する高級レストランではブランドへの貢献度は異なってきます。
貢献度の算定にあたっては消費者の購買意思決定の要因となる属性(価格、技術、サービス、ブランドなど)の各水準を組み合わせたプロファイルを作成します。消費者に対して30回程度2つのプロファイルを比較して利用したい方を選択していただくアンケートを実施し、その結果をコンジョイント分析(個人の選好評価を順序データに並び替えて回答者ごとの各属性の重み付ける分析)により、ブランドの貢献度を求める方法などが用いられます。
ブランドのリスクとしては相対的に流動性が低いことから企業の平均期待利回りよりも高い期待利回り(割引率)が要求されます。また、同じブランドの中でも市場での浸透性、安定性の欠如などが追加的なリスクの要素として考慮されます。
図表1

出所:利益率データはCapitalIQにおける日本の公開会社の時価総額500百万ドル以上のCase1「Leisure Facilities, Restaurants」、Case2「Pharmaceuticals, Biotechnology and Life Sciences」、Case3「Trading Companies and Distributors」の業種の直近期の営業利益率の中間値、貢献度は仮の数値を用いているが、一般的に貢献度は、完成品>材料、B to C製品>B to B製品、娯楽品>日用品となる。
【ブランド価値における留意点】
ブランドの価値評価においては、ブランドの利益に対する貢献度やブランドのリスクの算定などの計算にあたって、その計算仮定がとかくブラックボックスになりがちです。それを解消するためには、マーケティングの定性的側面と財務的な側面の双方からの分析を行い、客観性、透明性をいかに確保するかが必要となります。また、ブランド価値を単に算定するのみならず、価値を算定した上でどのようにブランド戦略にその結果を反映していくかといった戦略のツールとしての要素も重要となります。 |
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