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株式公開
トピックス 2006.1.11
株式公開と公開準備担当者の役割
公認会計士 関 常芳
1.はじめに
この数年、新規株式公開の様相はかなり変わってきました。その中でもやはり特筆すべきはマザーズをはじめとする各証券取引所の新興市場の登場でしょう。また、企業そのもののあり方も変化してきており、従来型の経営スタイルとは異なる企業も今後多数登場するものと思われます。それは全く誰も思いもよらなかったビジネスモデルであったり、無形の知的財産を活用する企業であったりします。したがって、今後も資本市場はますますその存在意義を増すこととなるでしょう。
なお、文中の意見は私見です。

2.株式公開とは
企業にとっての株式公開の本質は何かといえば、良質の資金を資本市場から調達することに尽きるでしょう。また、別の視点から見れば企業がマイ・カンパニーからパブリック・カンパニーへの変革することを意味します。それは、株式公開により、証券市場で一般投資家の間で広く自社株が売買されることになり、利害関係者の数が著しく増加するからです。
パブリック・カンパニーへの変革とは社会的な公器となることであり、企業内容の開示を適時適切に実施する体制を構築することでもあり、さらにワンマン経営・属人的経営から脱皮し組織的計画的な経営を実現し、事業の継続性・収益性を確保することでもあります。
そもそも株式会社自体、社会的公器であるべきなのですが、上場会社であれば、さらに厳しくそのことが問われてくるのです。

そのため、証券取引所の上場審査基準においても
1.企業経営の継続性および経営成績の見通し
2.経営管理体制の整備および運用の状況
3.企業内容の開示の状況
4.特別利害関係者、人的関係会社および資本的関係会社の状況
5.その他必要と認める事項
が問われており、新規上場の重要なポイントとされています。

ただし、株式公開を目指す前にしておかねばならないことがあります。それは、自社にとって「何のための公開」か、という本源的な問題の確認です。

株式公開にはメリットもあればデメリットもあります。したがって、その両方を十分検討する必要があります。
メリットはその本質である資金調達ですが、公開準備の過程において経営管理体制を整備していくため、経営体質が一段と強化されるのは間違いないところです。また、上場後は知名度も高まり、従業員のモラールも向上するでしょう。既存の株主にとっても、創業者利潤による桁違いの資金の流入が期待できますし、上場することで非公開時よりも株価が高くなることも多く、資産価値も増加するでしょう。
デメリットとしては、やはり利害関係者が圧倒的に増加するため、経営陣には相当なプレッシャーになる事でしょう。経営管理体制を整備することで多額の費用がかかることもまた確かです。株式を公開することにより、株式を買い集められ会社を支配される可能性も出てきますし、非公開時にはほとんどかけずに済む費用も発生します。とくに最近は上場会社の不祥事が相次ぎ、ガバナンス面やコンプライアンス面での要求は厳しくなる方向に向かっています。
そのような様々なメリットとデメリットを比較検討し、慎重に株式を公開をするか否かの判断をしなければなりません。

3.公開準備担当者の役割とは
公開準備担当者の役割とは、株式公開に関する知識を習得し、証券会社や監査法人などの外部関係者と積極的に関わり合いを持ち、会社全体を株式公開のために一丸となるように動機付け、上場までのレールを突き進むことです。それは、株式公開に関わる事務作業量は膨大であり、あらゆる部門の協力が必要不可欠だからです。
まず、株式公開を決断したらすぐ検討に入らねばならない課題は、資本政策やグループ会社の整備でしょう。また、作業量の多い経営管理体制の整備等々もあります。
そのためには実績のある証券会社や監査法人と連絡をとり、とくに早目に監査法人による株式公開のための予備調査を受けることです。会社の今のいるポジションから上場までの道筋をそこですべて示してくれるでしょうし、整備する項目やスケジュールについても適切に指導してくれるからです。

4.おわりに
株式公開は決してゴールではなく、企業の成長戦略の選択肢の一つです。公開準備担当者は準備作業を通じて自社のことについて誰よりも深く知ることになり、将来の幹部候補となることは間違いないのです。公開準備の過程においては多くの苦労がありましょうが、それらは決して無駄になることはないのです。
以上
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