| トピックス 2006.3.15 |
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| 特別利害関係者等の整備 |
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| 公認会計士 杉原 伸太朗 |
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1.はじめに
会社の役員や大株主などの特別利害関係者等は、取引などを通じて会社から不当に利益を得やすい立場にあります。そこで、上場審査においては、株式公開後の一般多数の他の株主の利益を害することが無いよう、申請会社との関係を厳しく問われることになります。なお、本稿での意見に関する部分は私見です。
2.上場審査において特別利害関係者等の整備が求められる理由
上場審査においては、「申請会社が投資商品として魅力のある会社であること」および「投資家の自己責任を徹底させるためのディスクロージャーの確保がされていること」が問われることになります。これらを担保するための具体的な審査項目として「企業の継続性及び収益性」、「企業経営の健全性」、「企業内容の開示の適正性」などが挙げられています。
これらの審査項目を念頭に置いたときに、「特別利害関係者等」の存在は、次の点で問題を生じさせやすいものであるため、公開審査上の重要事項とされています。
(1)役員などは、申請会社との取引を通じて、あるいは関係会社を利用して不当に利益を得やすい立場にある。
→「企業経営の健全性」を害するおそれ
(2)申請会社役員の相互の親族関係や他の会社などの役職員などとの兼職は、役員の意思決定を歪め、業務執行の機動性を損いやすい。
→「企業経営の健全性」を害するおそれ
(3)特別利害関係者等との取引行為又は資本下位会社などの株式の所有割合の調整などは、申請会社の企業グループの実態開示の歪曲に利用されやすい。
→「企業内容の開示の適正性」を害するおそれ
すなわち、株式公開の準備作業を通じて、これらの懸念が解消されるよう対応をとる必要があるということです。具体的には、関係会社の整備および取引関係の解消ならびに特別利害関係者等との取引関係の解消などを進めていく必要があります。
3.特別利害関係者等とは
特別利害関係者等の定義については、「企業内容等の開示に関する内閣府令第1条第31号イ〜ニ」に定められていますが、当該規定をまとめたものが下記の表となります。 |
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申請会社との関係において、特別利害関係者等に該当するか否かの判定を行う際のポイントをまとめると、下記のとおりとなります。
(1)申請会社の役員などであるか(役員、役員の配偶者および二親等内の血族並びにそれらが議決権の過半数を所有する会社)
(2)申請会社が支配力又は影響力を持つ会社であるか(子会社、関連会社など)
(3)申請会社への出資比率が高いか(大株主、親会社など)
(4)申請会社および申請会社の特別利害関係者との間に、議決権の20%以上の所有関係が存在するか(資本的関係会社)
(5)申請会社と人事、資金、取引などの関係を通じて支配・被支配の関係にあるか(人的関係会社)
4.関係会社の整備におけるポイント
関係会社の整備は、主に企業経営の健全性および企業の継続性・収益性の観点から審査の対象になりますが、具体的には以下の4つの項目がポイントとしてあげられます。
(1)関係会社の存在に合理性・必然性があるか(子会社の場合は100%子会社とするのが望ましい)
(2)関係会社との取引内容・条件に合理性・必然性があるか
(3)関係会社の経営状況が悪くないか
(4)関係会社の管理体制が整備されているか
関係会社との取引関係については、原則として解消することが求められますが、関係会社が申請会社と別に存在することおよび当該関係会社と取引を行うことについて、合理性および事業上の必然性があり、継続する場合には、取引条件を一般の第三者と行う場合と同様の合理的なものとし、その内容を契約書などで客観化するなどの対応が必要となります。
また、上記の観点から当該会社を存続させる合理的な理由を検討し、必要に応じて当該会社の整備を行う必要があります。具体的な手段には申請会社との合併、営業譲渡、解散、外部売却などがありますが、これらの実行には法的手続、取引関係の整理および労使関係の問題などがあるため時間を要すること、また整備の方法によっては役員個人に資金負担が生じる場合もあることから、この問題については早期に着手することが望まれます。
なお、役員の兼任関係については、合理的でない場合には解消することが求められます。合理的な理由があり関係会社の役員を兼任する場合であっても、関係会社からの報酬は無報酬とすることが望ましいと言えます。
5.役員・大株主などとの取引などの整備におけるポイント
役員・大株主などとの取引などの整備の考え方も関係会社の整備と基本的に同じであり、(1)取引などの存在に合理性・必然性があるか、(2)取引内容・条件に合理性・必然性があるか、という観点から判断を行うことになりますが、原則として解消することが求められます。
6.おわりに
特別利害関係者等に該当するか否かの判定については、形式のみではなく実質的判断が伴うものであり、主幹事証券会社および証券取引所などへの事前の相談が欠かせないものです。
一方、取引関係の解消の判断に当たっては、その取引が特別利害関係者等の利益ではなく、申請会社すなわち公開後の申請会社の株主にとって利益のあるものであるか、言い換えればその取引行為の正当性が対外的に説明できるか否かが、判断の基本的な視点になると言えるでしょう。 |
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| 以上 |
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