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株式公開
トピックス 2006.4.19
2006年 第1四半期におけるIPO市場の動向
IPO支援室 公認会計士 津村 陽介
1.はじめに
2006年1月16日の株式会社ライブドアに対する強制捜査の開始には多くの人が驚かされ、その後の上場廃止に至るまで高い関心を集めた。株式市場は企業の業績回復や増配・復配企業の増加を反映し、3月末現在の日経平均は強制捜査前の水準を上回り、2000年8月以来の1万7千円台を回復してしているものの、新興市場の株価は依然として回復しておらず、新興企業全体に対する不信感が未だに払拭されていないものと思われる。
このような状況の中、2006年も1月30日から新規上場がスタートしているが、3月末までの第1四半期の特徴を整理してみることとする。
なお、文中の意見に関する部分は私見である。

2.新規上場会社数
2006年 第1四半期の新規上場会社数は44社となり、昨年の35社を9社上回った。一部・二部に16社が上場しており、昨年の4社から大幅に増加していることが特筆される。内訳は東証一部5社(地方重複上場1社含む)、東証二部9社、大証二部、名証二部がそれぞれ1社となっており、早くも2005年の年間実績20社に迫る勢いである。
昨年上場会社数が大幅に減少したマザーズは、7社と前年の3社を上回った。また、注文件数急増に伴うシステムトラブルにより、2005年5月26日から新規上場の受付を停止したヘラクレスは、同年11月1日から再開し2006年は第1四半期に3社が上場している。
新聞報道などによれば、今年も全市場で180社程度の新規上場が予想されており、ここ数年の大量上場の流れに変化は見られないようである。

図表1 新規上場会社数
市場 2006年
第1四半期
2005年
第1四半期
増減 2005年
年間
一部・二部 16  4  12  20 
ジャスダック 17  21  △ 4  65 
マザーズ 7  3  4  37 
ヘラクレス 3  5  △ 2  22 
その他 1  2  △ 1  16 
合計 44  35  9  160 

3.新規上場会社の特徴
業種別にみると、小売業8社、情報・通信業7社、サービス業7社で半数を占めているが、特に人材派遣会社は株式会社エスプール(2/10 ヘラクレス)、WDB株式会社(3/16 ジャスダック)、テンプスタッフ株式会社(3/17 東証一部)の3社が上場しており、近年の企業の雇用情勢を反映した結果となっている。
2005年は年間通じて2社しか上場がなかった証券会社は、すでに岩井証券株式会社(2/8 東証一部)、藍澤証券株式会社(2/22 ジャスダック)、KOBE証券株式会社(3/6 ヘラクレス)の3社が上場している。また、同じく1社しかなかった銀行も、株式会社荘内銀行(2/22 東証一部)、株式会社高知銀行(3/1 東証二部)の2社が上場している。
初値の公募価格に対する騰落率の上位5社は以下のとおりであり、新規性の高い会社や事業に特徴のある会社に市場の注目が集まっている。

図表2 初値の公募価格に対する騰落率上位5社 (単位:円)
上場日 市場 会社名 公募価格 初値 騰落率
3/15 マザーズ 比較.com 450,000 2,700,000 500%
3/16 ジャスダック WDB 330,000 1,750,000 430%
2/9 マザーズ ドリコム 760,000 3,470,000 356%
2/10 ジャスダック グラウンド・ファイナンシャル・アドバイザリー 280,000 1,210,000 332%
2/16 マザーズ いい生活 160,000 548,000 242%

比較.com株式会社は、インターネット上で総合比較サイト「比較.com」を運営して広告料収入を得ている会社であるが、2003年8月新事業創出促進法により資本金250万円で設立された会社である。同法を利用して設立された会社として初めての上場事例となったことからも高く注目された。
WDB株式会社は上述のとおり人材派遣を中心とした人材サービス関連事業を営んでいる。理学系研究職のウェイトが約半数を占めており、バイオ系や化学系の専門的な能力を有する人材を公的研究機関や大学、民間企業の研究開発部門に派遣しているのが特徴である。
株式会社ドリコムは、ブログ(日記形式のホームページ)をビジネスに利用したいと考えている法人に対し関連システムを提供する会社である。一般ユーザー向けに無料でブログサービスを提供し、これらのサービスを運用する中で得られたノウハウを法人向けサービスに活用している。国内でブログユーザーが急増している中、同社のノウハウが高く評価されているようである。
グランド・ファイナンシャル・アドバイザリー株式会社は、ストラクチャード・ファイナンス分野に特化したアレンジャーとして、顧客に最適なファイナンス手法を提案し実現させる金融サービス会社である。主に不動産流動化・証券化アレンジャー業務を対象としており、従業員僅か6名で上場を果たしている。
株式会社いい生活は、主にASP(Application Service Provider)サービス事業を行う会社であるが、不動産業界向けに不動産物件情報管理データベース・システムを提供しているのが特徴である。

4.新興3市場の資金調達の状況
新興3市場の資金調達額(公募・売出し金額合計)は例年20億円程度で推移しているが、2006年 第1四半期の平均は35億円となり若干大型化している。100億円以上調達したのは3社(2005年 年間7社)で、株式会社アトリウム(3/28 ジャスダック)272億円、藍澤証券株式会社(2/22 ジャスダック)127億円、KOBE証券株式会社(3/6 ヘラクレス)100億円となっている。

5.おわりに
各証券取引所は、最近続発している不祥事に対応し、企業のコーポレート・ガバナンスの充実を促進するため、2006年3月よりガバナンス報告制度を導入している。
また、東証は、3月7日付けで「株券上場審査基準」などの一部改正を行い、買収防衛策導入に係る適時開示の枠組みと、買収防衛策の導入にあたって尊重すべき事項を明らかにしており、大証及びジャスダックも同様の改正を行い、他の取引所も改正を検討中である。
会社法の施行が5月1日となり、各取引所は上場制度の整備を検討中のため、今後の規則改正などの動向にも留意が必要である。
以上
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