| トピックス 2006.5.31 |
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| 株式上場をめぐる税務問題 |
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| 税理士法人トーマツ 秦 弘幸 |
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1.はじめに
会社が株式上場を目指す場合に注意すべき税務上のポイントの1つに、資本政策に関する税務があります。資本政策では、コーポレート・ガバナンス(企業統治)、関係会社の整備、オーナーの事業承継対策など、様々な要素を考慮する必要があります。ここでは、資本政策の過程における税務上の留意点を紹介します。
2.非上場株式の税務上の評価
非上場株式には様々な評価方法がありますが、税務上の評価方法としては、相続税または贈与税の課税価格を算定するための財産評価基本通達に、類似業種比準価額方式、純資産価額方式、配当還元方式が詳細に規定されています。
法人税基本通達および所得税基本通達は、財産評価基本通達を基礎としながら、独自の取り扱いを織り込んでいます。
税務上の株式の評価は、単に会社が増資を行う際の参考資料となるだけでなく、以下に述べる新株予約権(ストック・オプション)や組織再編、事業承継対策(相続時精算制度)にも大いに関連する項目です。
なお、評価対象会社が合併等の組織再編を実施したときは、類似業種比準価額方式の適用が制限される場合があることが、雑誌(国税速報 第5528号 平成15年7月3日)で紹介されました。現時点において、財産評価基本通達にはこの件に関する改正は何も明記されていませんが、国税当局の内部取扱いは統一されているものと推測されますので注意が必要です。
3.新株予約権(ストック・オプション)に関する税務
新株予約権とは、その権利を有する者が、権利取得時に定められた払込価格で、当該新株予約権の発行会社の株式を取得することができる権利です。
当該発行会社の株価が上昇傾向にあることを前提とするならば、株価が比較的安価な時期に新株予約権を取得し、株価上昇後に当該権利を行使して約定された価格(権利行使価格)で株式を取得するのが一般的であり、権利行使時の株式の時価と権利行使価格との差額は、原則として権利行使者の受ける経済的利益として課税(給与所得等)されます。
しかし、新株予約権について、付与対象者や権利行使価格等の租税特別措置法に定める一定要件を満たす場合には、前述の権利行使(株式取得)時の経済的利益に対する課税を繰り延べ、取得した株式を売却したときに、売却価格と権利行使価格との差額について課税(有価証券譲渡益)されます。
また、2005年12月に企業会計基準委員会から「ストック・オプション等に関する会計基準」(企業会計基準第8号)が公表され、会社法施行日以後に付与するストック・オプション等について、会計上は公正な評価額を費用計上することになりました。
これに対する税制の対応は、所得税法等により権利行使した個人が給与所得課税等を受ける非適格ストック・オプションの場合は、新株予約権の権利行使時に、発行法人において新株予約権の発行時の時価を損金算入することになりますが、適格ストック・オプションに係る費用の額は損金不算入となります。
4.組織再編税制
ここでいう組織再編とは以下の行為です。
(1)株式交換・株式移転
(2)合併
(3)分割
(4)現物出資
(5)事後設立
企業が行うこれらの組織再編について、税務上は原則として課税されることになり、資産を移転する会社(例えば、被合併会社)に対する資産の譲渡損益に対する課税、およびその株主に対するみなし配当ならびに有価証券譲渡損益に対する課税があります。しかし、一定要件を満たす場合に限りこれらの課税をすべて繰り延べることとされています。
なお、平成18年度の税制改正において、株式交換・株式移転に関する規定が改正されており、他の再編行為と同様に法人税法本法に規定されるとともに、課税繰り延べ要件(いわゆる税制適格要件)についても他の再編行為との整合性が図られています。
5.事業承継対策(相続時精算制度)
事業承継の一法として相続時精算制度があります。これは、65歳以上の贈与者から、その推定相続人である直系卑属である20歳以上の者に対する贈与について、選択性により適用される制度であり、一度選択すると適用対象者間の贈与のすべてに適用されます。贈与財産の価額が2,500万円に達するまでは非課税ですが、2,500万円を超える部分の金額については、贈与時に20%の贈与税が課されます。加えて、相続時に、贈与財産はすべて贈与時の価額で相続財産に加算され、同時に納付済みの贈与税額は相続税額から控除できます。
オーナー所有の自社株対策に利用できる可能性があります。
6.おわりに
資本政策に関する税務には適時性と適格性が要求されます。安易な取扱いが、後に会社だけではなく、その株主にまで大きく影響する可能性がありますので十分な注意が必要です。 |
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| 以上 |
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