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株式公開
トピックス 2006.7.26
2006年 上半期におけるIPO市場の動向
IPO支援室 石塚 良光
1.はじめに
2006年上半期は、年明け早々、インターネット関連事業の会社に対する証券取引法違反の容疑による東京地検特捜部及び証券取引等監視委員会の強制捜査で幕を開けた。株式市場は、その後企業業績の好調さを反映し、変動を繰り返しつつも3月末には日経平均株価は1万7千円台を回復したが、新興市場においてはそのショックを払拭しきれず、また6月の国内投資ファンドによる証券取引法違反容疑(インサイダー取引)もあり、株式市場全体としては先行き不透明な状況となっている。
こうした中で2006年も上半期を経過したが、この間の新規上場会社の動向を以下のとおり考察してみた。
なお、文中の意見に関する部分は私見である。

2.新規上場会社数
2006年上半期の新規上場会社数は、昨年の75社から93社へと大幅に増加し、1995年の77社を上回り11年ぶりに過去最多を更新した。市場別の状況では、一部・二部は18社で、昨年の6社から大幅に増加した。中でも東証二部は4社から10社へと6社の増加となっている。また、昨年は注文件数急増によるシステムトラブルにより、新規上場受付を5月下旬から停止していたヘラクレスは、昨年11月より再開し、今年上半期の新規上場会社数は22社で、既に昨年の年間新規上場会社数に並んでいる。

新規上場会社数

3.新規上場会社の特徴
業種別では、サービス業18社、情報・通信業16社、小売業14社の3業種で全体の過半数を占めている。
今年上半期のトピックとしては、株式会社アドウェイズ(6/20 マザーズ)の社長が26歳2ヵ月で上場を果たし、それまでの最年少社長記録を更新した。これまでの記録は、2000年3月にマザーズ上場した株式会社クレイフィッシュ(現:e-まちタウン株式会社)の26歳4ヵ月(当時)であった。この他、上場時の社長の年齢が20代の会社が2社(健康コーポレーション株式会社<5/30 アンビシャス>28歳0ヵ月、株式会社ドリコム<2/9 マザーズ>27歳7ヵ月)ある。
新規上場時の社長の平均年齢をさらに市場別に見てみると、一部・二部58歳3ヵ月、ジャスダック55歳4ヵ月に対し、マザーズは47歳10ヵ月、ヘラクレスでも50歳0ヵ月となっており、とくに成長性が求められるマザーズ及びヘラクレスにおいては、他の市場と比較すると上場時設立経過年数が短いだけでなく、社長の年齢も若い、といった市場の特徴がよく表れている。

図表1 新規上場時の社長の平均年齢、上場時設立経過年数の平均
市場 新規上場時の社長の平均年齢 上場時設立経過年数の平均
一部・二部 58歳3ヵ月 42.6年
ジャスダック 55歳4ヵ月 27.8年
マザーズ 47歳10ヵ月 10.0年
ヘラクレス 50歳0ヵ月 13.7年

株式会社アドウェイズは、インターネット上において主に成功報酬型広告事業(アフィリエイト広告事業)を展開している会社である。従来の広告は、料金設定が広告を掲載する場所や掲載の期間で決定されていたのに対し、成功報酬型広告では、広告主が広告に求める効果が実現して初めて広告料が発生する方式を採っている。効果の具体例としては、会員登録、資料請求、物品の購入等があり、広告主は、効果が実現するまでは広告費が一切発生しない。また、広告主が支払う広告料の単価は、広告の種別や実現の難易度により、数10円から数万円となっている。
健康コーポレーション株式会社は、「低カロリーかつ満腹感のあるカロリーコントロール用健康食品」の販売を主な事業とする食品事業を展開している会社である。大豆(豆乳とおから)や乳タンパク・蒟蒻を原材料として、それぞれの原材料が持つ「水分を含むと重量と体積が増す」という特徴を活かして、満腹感の増加(空腹感の減少)に役立つ食品を販売している。
なお、株式会社ドリコムは『2006年 第1四半期におけるIPO市場の動向』(2006.4.19)において紹介しているため割愛する。

4.新興3市場の資金調達の状況
新興3市場の資金調達額は(公募、売出し金額合計)、マザーズが平均19.0億円、ジャスダックが29.2億円、ヘラクレスが14.6億円で、新興3市場の平均は22.5億円となっている。第1四半期においては、100億円以上調達した会社が3社存在したことにより、新興3市場の平均が35億円で例年に比べ若干大型化する傾向が見られたが、4月から6月にかけて新規上場した新興3市場42社のうち、20億円未満が34社(うち10億円未満16社、5億円未満7社)であったため、例年の水準に落ち着いている。

5.おわりに
最近の証券取引所を巡る情勢は、海外においては、ニューヨーク証券取引所と欧州の証券取引所運営会社であるユーロネクストとの合併合意や、ナスダックがドイツ証券取引所の筆頭株主になるなど、国際再編の波が起きつつある。一方、わが国においてもジャスダック証券取引所が5月に中国深セン証券公易所、6月に韓国取引所と協力関係を結び、また東京証券取引所も7月に韓国取引所との提携関係を結ぶなど、アジアの証券取引所との関係が強化されている。
なお、会社法が5月1日より施行されたことを受けて、各証券取引所においては有価証券上場規程等が改正されているので留意が必要である(『会計情報』 vol.359/2006年7月号「会社法制定に伴う上場制度等の整備について」、vol.360/2006年8月号「上場申請のための有価証券報告書(IIの部)」記載要領の改正について−東京証券取引所−」にて紹介)。
以上
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