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トピックス 2007.2.28
上場制度総合整備プログラムに基づく上場制度の整備等に伴う
有価証券上場規程等の一部改正について
IPO支援室 公認会計士 岡田 雅史
1.はじめに
東京証券取引所では証券市場の健全性の確保を目的に、平成18年3月に「上場制度の改善に向けたディスカッション・ペーパー」の形で幅広い関係者から意見を募り、その意見を参考に平成18年6月に「上場制度整備プログラム」と題する実行計画が取りまとめられた。当該プログラムでは証券市場の健全性を担保するため、上場会社による開示の充実を基本としつつ、証券市場の運営に悪影響のある企業行動について、自主規制機関としての立場で積極的に態度表明を行い、株主、投資家が企業の行動を公平に判断できる材料を提供し、上場会社に証券市場を構成する一員としての自覚を促していくことを基本スタンスとしている。
整備プログラムでは、各項目について「直ちに実施する事項」(フェーズI )と「具体案の策定に向け問題点の整理を行う事項」(フェーズII a)、「検討に着手する事項」(フェーズII b)に改善項目を分類し、フェーズI については平成18年中、フェーズII a、フェーズII bについてはそれぞれ平成19年中、平成20年中の改正を目標としている。
今回の規則改正は、このうちのフェーズI を中心に、市場の信頼性の確保及び国際的な市場間競争に耐えうる、使い勝手のよいグローバルな市場を構築する観点から規則改正が行われたものである。なお、大阪証券取引所等他の証券取引所においても同様の改正がなされている。

2.具体的な改正内容
今回の大まかな改正項目は以下のとおりである。
・企業行動に係る尊重事項の整備
・上場会社に対する経営管理面の確認等
・上場会社における情報開示の充実
・外国会社向け上場制度の整備等
・審査制度に係る整備

1)企業行動に係る尊重事項の整備
(1)望ましい投資単位の水準への移行及び維持に係る努力
上場株券の発行者は株券の投資単位が5万円以上50万円未満となるよう当該水準への移行及び維持に努力するものとされている。従来から上限である50万円以下の水準に投資単位を抑える旨の努力規程はあったが、最近の極端な株式分割が実施される状況に鑑み、新たに下限が設けられたものである。

(2)株式分割等の係る努力等
株式分割実施に際し、流通市場に混乱をもたらすことがないよう努める旨の尊重事項であり、東証において尊重していないと認める場合には、その旨を公表することができるとされている。

2)上場会社に対する経営管理面の確認等
(1)改善報告書の記載内容に係る点検制度の新設
従来適時開示義務違反等を行った上場会社に求められていた改善報告書については、改善報告書提出後の改善措置の実施・運用状況に関する点検制度がなかったため、新たに点検制度として改善報告書提出から6ヵ月経過後速やかに改善措置の実施状況及び運用状況を記載した報告書(改善状況報告書)の提出が求められることとなった。
この「改善状況報告書」については、改善報告書の提出以後5年間、東証が必要と認めた場合に提出を求められる。また提出された改善状況報告書については公衆の縦覧に供され、また記載内容に関して東証が照会を行った場合は、直ちに照会事項についての正確な報告が求められる。さらに「改善状況報告書」が提出されない場合や、内容が明らかに不十分である場合、また照会事項の回答が適正でない場合等には東証は再度、改善報告書の提出を求めることができる。

(2)注意勧告制度の新設
上場会社が有価証券報告書等に「虚偽記載」を行った場合、東証が注意勧告を行い、その旨を公表することとなった。ここでの虚偽記載は上場廃止基準に抵触する重大な影響を及ぼさないものについて想定している。また注意勧告制度の対象行為のうち適時開示規則に違反するものについては前述した改善報告書、改善状況報告書の提出が求められることになる。

3)上場会社における情報開示の充実
(1)投資単位の引下げ方針
最近の投資単位が50万円以上である場合には、事業年度経過後3ヵ月以内に投資単位の引下げに関する考え方や方針を開示する。従来は決算短信の添付資料として開示されてきたが、今後は決算短信から分離し、東証のホームページ等で投資家が常時閲覧できるような体制に変更するための改正である。

(2)親会社等に関する事項についての開示
従来は決算短信の添付資料として開示されてきたが、親会社等を有する上場企業は事業年度経過後3ヵ月以内に、当取引所が定める親会社等に関する事項を開示することとなった。

(3)業績予想の修正に係る開示事項の追加
業績予想の修正の判定を行う区分について従来の売上高、経常利益、純利益に加えて営業利益が追加された。

4)外国会社向け上場制度の整備等
外国会社については、東証を主たる市場としているか否かによって、規制強化と緩和の改正内容となっている。なお主たる市場については、上場株券等の流通状況等を勘案して東証が判断する。

(1)主たる市場が東証となる外国会社の取扱い
東証を主たる市場とする外国会社については本国の制度に制約がない限り、以下の要件が求められることとなった。
・本邦における情報取扱責任者の設置
・議決権行使を容易にする環境整備
・コーポレート・ガバナンスに関する報告書の提出
・資本下位会社等に関する会社情報の適時開示に係る規程の適用

(2)主たる市場が東証以外となる外国会社の取扱い
主たる市場における上場、適時開示、上場廃止等の法制度及び運営の状況について東証が適当と認める場合には、斟酌規定として東証への上場審査のうち実質審査に係る基準の全部または一部に適合するものとして取り扱うことができることとなった。

(3)親会社からの独立性に係る審査等の実施
従来、市場第一部・二部では子会社上場に際しての親会社からの独立性に関する実質審査項目については外国会社は適用除外とされてきたが、適用除外が廃止されることとなった。

(4)四半期レビューの実施に関する取扱い
マザーズ上場における四半期財務諸表に対する公認会計士等による意見表明のための報告書について本国の制度を勘案する旨の規程が追加された。

(5)新規上場料に係る区分体系の見直し
主たる市場を東証とする会社については内国会社と同額とし、主たる市場が東証以外の会社については現行の外国会社に適用される料金とされることとなった。

(6)情報提供の強化
マザーズ市場上場の外国株券等については「マザーズ・グローバル」として市場表示を分離することとなった。

5)審査制度に係る整備
(1)一部指定審査の整備
従来、直前事業年度の末日を含む月の翌月から起算し、6ヵ月目の初日(3月決算であれば9月1日もしくは3月1日)として特定の日を一部指定の時期として一律に規定していたものを、新規上場の場合と同様、「一部指定日」とだけ定義することにより、審査受入の柔軟化を図った。また、上場株式数等の形式基準の審査対象時期を新規上場申請に準じた取扱いにすることにより審査自体の柔軟化を図っている。また、従来一部指定申請時には提出が求められていなかった「反社会的勢力との関係がないことを示す確認書」の提出が上場規則上明示された。

(2)推薦書制度の見直し
マザーズ市場への新規上場に際しては、従来は幹事証券会社による「マザーズへの新規上場申請者の成長可能性等に係る書面」が提出されてきたが、市場第一部・二部と同様の内容に成長可能性に関する内容が追加された「推薦書」を添付することとなった。

(3)上場審査料の見直し
市場第一部・二部への審査料が200万円から400万円に、またマザーズ市場への審査料が100万円から200万円に改定された。また審査に際して東証が実施した調査費用について申請会社が支払う旨の規定が追加された。

3.適用時期
施行自体は平成18年12月1日であるが、以下については適用時期が異なる場合がある。
3) (3) 業績予想修正については平成19年3月1日以降最初に終了する事業年度等に係る決算内容を開示した日以降に公表された予想値等に比較して新たな予想値との間に差異が生じた場合から適用する(3月決算会社であれば平成20年3月期の業績予想に対する修正から適用となる)。
4) (1) 施行日時点で上場している外国会社等については、コーポレート・ガバナンス報告書を平成19年3月31日までに提出する。
4) (6) マザーズ・グローバルへの分離表示は施行日より1年間は適用しない。
5) (1) 一部指定審査に関する項目は平成18年9月1日から平成18年10月31日までに直前事業年度が到来した上場会社についてはなお従前の例によることができる。
5) (3) 上場審査料改定については施行日以降の申請会社から適用される。
以上
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