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トピックス 2007.8.1
親会社を有する会社の上場に対する東京証券取引所の考え方について
IPO支援室 石塚 良光
1.はじめに
東京証券取引所は、今後の上場制度の整備に向けた基本的な実行方針として「上場制度総合整備プログラム2007」を作成し、平成19年4月24日に公表したが、このたび、「上場制度総合整備プログラム2007」の実行計画に基づき、親会社を有する会社の上場(いわゆる子会社上場)に対する東京証券取引所の考え方がとりまとめられ、平成19年6月25日に公表された。
「上場制度総合整備プログラム2007」においては上場制度の整備に向けた基本方針として、
●市場の健全性確保に向けて、上場会社などの市場関係者に対して証券市場を構成する一員としての一層の自覚を促すような制度を整備する。
●会社情報の開示の一層の充実を図ることにより透明性を確保する。
●投資者保護及び市場機能の適切な発揮の観点から、企業行動に対して適切な対応をとる。
●上場会社などの市場関係者にとってより使い勝手のよい市場の整備に取り組む。
●上記の対応に当たっては、国際的な整合性に配慮する。
の5つを掲げており、その内容は、大きく以下の5つの項目に分類されている。
I.企業行動に関する制度の整備
II.市場制度の整備
III.上場規則の実効性の確保に向けた制度の整備
IV.多様な商品の上場に向けた対応
V.その他
さらに、各々がいくつかの検討項目に細分されており、実行計画として、直ちに実施する事項(第一次実施事項)、具体案を検討のうえ実施する事項(第二次実施事項)、検討を継続する事項の3つに分類され、その実施内容が掲げられている。
今回公表された、親会社を有する会社の上場に対する東京証券取引所の考え方は、上記の「I.企業行動に関する制度の整備」に含まれている(3)親会社等を有する上場会社への対応についての実行計画における直ちに実施する事項(第一次実施事項)に関するものである。
表1 「上場制度総合整備プログラム2007」における実行計画
直ちに実施する事項
(第一次実施事項)
本プログラムの公表後速やかに制度要綱をとりまとめ、又は要請を実施することとした事項
具体案を検討のうえ実施する事項
(第二次実施事項)
2007年度中に制度要綱をとりまとめ、又は要請を実施するために、詳細について有識者を交えて検討を行うこととした事項
検討を継続する事項
基礎的な問題点の洗い出しなど、実現に向けた検討を継続的に行っていくこととした事項
2.親会社を有する子会社上場の考え方について
親会社を有する会社の上場は、上場制度として禁止するのは適切ではないとしながらも、少数株主との利益相反のおそれなどの内在する弊害や問題点があること、昨今の経営環境においては上場会社には本格的な連結経営が求められていることを踏まえれば、投資者をはじめ多くの市場関係者にとって必ずしも望ましい資本政策とは言い切れないとしている。このような認識を、「新規上場の手引き」、「会社情報適時開示ガイドブック」、ホームページ等に掲載し、関係者への周知を図るために、東京証券取引所の考え方を公表することが実行計画の第一次実施事項(直ちに実施する事項)として掲げられていたが、今回その考え方がとりまとめられ公表された。
公表された内容は、以下の通りである。(東京証券取引所Webサイト参照
http://www.tse.or.jp
)
『親会社を有する会社の上場(以下「子会社上場」という。)は、子会社による独自の資金調達力が高まること等を通じて子会社の持続的な成長の実現に寄与する、新たな投資物件が投資者に対して提供されるなど、国民経済上の意義があります。現に、これまでの子会社上場の事例のなかにも、優良な投資物件として投資者から高い評価を受けている会社がいくつもあります。
その一方で、子会社上場には独自の弊害があることが指摘されています。例えば、親会社と子会社の他の株主の間には潜在的な利益相反の関係があると考えられますので、親会社により不利な事業調整や不利な条件による取引等を強いられる、資金需要のある親会社が子会社から調達資金を吸い上げる、上場後短期間で非上場化するなど、子会社の株主の権利や利益を損なう企業行動がとられるおそれが指摘されています。
親会社にとっても、自身の短期的な単体決算対策のための子会社上場や、上場している親会社が企業グループの中核事業を担う子会社を上場させて新規上場に伴う利得を二重に得ようとする事例など、その目的に関して安易であるという批判を受けるケースが見受けられます。
また、本格的な連結経営が求められる昨今の経営環境においては、企業グループ内の会社が親会社以外の株主に対して責任を負うこととなる子会社上場は、一体的な連結経営を行ううえでは必ずしも望ましいこととはいえません。
このように、子会社上場は、その国民経済上の意義及び投資者に多様な投資物件を提供するという証券取引所に期待される役割に照らして、一律的に禁止するのは適当ではない反面、投資者をはじめ多くの市場関係者にとっては必ずしも望ましい資本政策とは言い切れないと考えます。
したがいまして、新規に上場を目指す子会社及びその親会社におかれましては、上記のような子会社上場の特性を十分に考慮のうえでその方針を決定していただくとともに、株主の権利や利益への一層の配慮、投資者をはじめとする市場関係者に対する積極的なアカウンタビリティの遂行に努めていただくことが望ましいと考えます。』
上記のように、親会社を有する上場会社においては、そのような子会社上場の特性を十分に考慮のうえ、株主の権利や利益への一層の配慮、投資者をはじめとする市場関係者に対する積極的なアカウンタビリティの遂行に努めることが望ましいと結んでいる。
3.おわりに
親会社等を有する上場会社の対応については、今回公表された直ちに実施する事項のほかに、具体案を検討のうえ実施する事項(第二次実施事項)及び検討を継続する事項があり、その内容は、表2のとおりである。(「上場制度総合整備プログラム2007」の内容については、『
東京証券取引所による上場整備制度プログラム2007の公表について
』(2007.8.1)ご参照)
表2 親会社等を有する上場会社の対応についての実行計画とその内容
直ちに実施する事項
(第一次実施事項)
●親会社を有する会社の上場に関する東証の考え方を公表
具体案を検討のうえ実施する事項
(第二次実施事項)
●経営陣や支配株主が関わる取引について、利益相反により少数株主が損害を被ることを防止するための施策を企業行動規範に定めることを検討する。
●実質的に一体の親会社及び子会社による上場の防止に向けて、他の証券取引所と協調して検討を行う。
検討を継続する事項
●親会社等を有する会社の上場審査について、審査項目、内容について再整理を行う。
●上場会社が企業再編等により親会社等を有することになった場合の内部管理体制の確認制度の整備に向けた検討を行う。
以上
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