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トピックス 2007.8.29
ジャスダック証券取引所の新市場NEO創設について
IPO支援室 公認会計士 津村 陽介
1.はじめに
株式会社ジャスダック証券取引所が、平成19年3月29日付けで創設することを公表した新市場は、公募の結果「NEO」とネーミングされ、7月6日付けで「新市場NEOの創設に伴う有価証券上場規程等の一部改正等について」及び「『新市場の創設について』に対するパブリック・コメント及び当取引所の考え方について」が公表された。
「新市場の創設について」の内容については『ジャスダック証券取引所の新市場の創設について』(2007.4.25)で紹介しているが、パブリックコメントを受けて有価証券上場規程等の改正案が一部修正されているため、NEO市場の特徴について再度解説する。

2.新市場創設の意義
新市場の創設は、成長可能性のある新技術又は新たなビジネスモデルを有する企業を支援するとともに、投資者に当該企業への投資機会を提供することを目的としている。
ジャスダック市場の上場会社数が1,000社に迫ろうとしている現状において、堅実かつ安定的な成長を目指す企業と、イノベーション、先端的テクノロジーや将来性のあるビジネスモデルによる成長を目指す企業が峻別されることになる。
既存市場からNEO市場への市場変更や、NEO市場から既存市場への市場変更も申請により行うことができるとされている。

3.新市場の特徴
これまでの新興市場を越えた新たな市場として、(1)先端的テクノロジーや将来性のあるビジネスモデルによる成長を目指す企業を支援する一方で、(2)市場の特性に応じた投資者保護の達成の両立を図るものとなっている。
NEOは成長企業の支援を目的としているため、上場審査基準は既存市場に比べて要件が緩和されており、「企業の継続性及び収益性」ではなく「企業の成長可能性」が重視されている。
また、新技術に関しては、ジャスダック証券取引所が新たに設ける技術評価アドバイザリー・コミッティーにおいて評価を得るものとすることと、経営計画・事業計画の進捗・変更状況・計画の達成見通し等の説明を内容とするマイルストーン開示が義務付けられることが大きな特徴である。

4.上場申請手続
既存市場と異なり、「上場申請のための報告書」(いわゆる「IIの部」)と、申請直前事業年度(N-1期)の「上場申請のための半期報告書」の提出が不要とされており、マザーズやヘラクレスと同様の基準となっている。
一方、新たに以下の8つの資料の提出が必要とされている。

●財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための必要な体制について記載した書類
●成長可能性のある新技術又は新たなビジネスモデルについての説明資料
●事業の経過年数に係る報告書
●中期的な事業計画を記載した書面
●取引先等に関する報告書
●役員・大株主等に関する報告書
●上場に向けた整備内容等に関する報告書
●「NEOの上場会社によるマイルストーン開示に関する規則」第7条第1項に規定するマイルストーン開示担当役員届出書及びマイルストーン開示事務連絡責任者届出書

5.上場審査基準と技術評価
上場の形式的資格要件(形式基準)及び上場審査項目(実質基準)の概要は、文末の表に記載のとおりである。
当初の審査基準案では、基礎になっている事業の売上高が上場申請日の前日までに計上されていることが要件とされていたが、例えば創薬事業のような会社の資金需要が旺盛な研究開発段階での上場の途を閉ざすことになるため、売上高に係る基準は設けないこととされた。
一方、NEO市場の目的に照らして、本格的な事業展開から過度に長期間経過していないことが適切であるため、成長可能性のある新技術や新たなビジネスモデルによる最初の売上計上のときから10年を経過していないことが要件とされている。

6.技術評価
成長可能性のある新技術を有する企業がNEOへ上場申請する場合には、必要に応じ、上場申請日の2ヵ月前までに以下の「新技術に係る書類」を提出する必要がある。

●成長可能性のある新技術についての説明資料
●NEOへの上場を希望する者から独立した複数の有識者によるそれぞれの技術評価書
●技術評価手続に係る確約書

当該資料を基に技術評価アドバイザリー・コミッティーの評価が行われ、上場審査においてはその評価が最大限尊重されることになる。
ただし、技術評価アドバイザリー・コミッティーは、上場申請会社より提出された技術を説明する書類及び複数の独立した有識者の技術評価の結果を基に、上場申請時における当該技術の実在性について評価を行うものであり、当該技術や当該技術に基づく最終の製・商品化について何ら保証を与えるものではなく、会社の成長性・収益性について評価するものでもない。
なお、技術の内容に関して企業機密に属する部分が多いことから、技術評価アドバイザリー・コミッティーの評価や意見については公表されない。

7.マイルストーン開示等のIR活動
「NEOの上場会社によるマイルストーン開示に関する規則」が新設されており、NEOの上場会社は、最低限以下の事項を開示する必要がある。

●上場日の属する事業年度の期首から3期間以上の事業計画の内容及びその前提条件
●マイルストーン開示を行う時点における事業計画の進捗状況、今後の達成の見通し及びその前提条件
●事業計画の進捗状況、今後の達成の見通しに関し、事業計画の前提条件との比較に基づく達成又は未達成の要因

また、年2回以上の投資家向け説明会や年4回以上Webサイト上でIR資料を掲載することが求められている。

8.上場廃止基準
上場廃止基準は概ね既存市場と同様であるが、上場会社が新技術又は新たなビジネスモデルに係る事業を廃止した場合が追加されている。
また、別途提出するマイルストーン開示に関する宣誓書について、重大な違反が行われたときも上場廃止となる。
以上
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