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株式公開
トピックス 2007.8.29
2007年 第2四半期におけるIPO市場の動向
IPO支援室 公認会計士 津村 陽介
1.はじめに
株式会社ジャスダック証券取引所が、2007年3月29日付けで新たに創設すると公表した新市場の名前が「NEO」に決定され、7月6日に有価証券上場規程が改正された。成長可能性のある新技術や新たなビジネスモデルを有する企業を支援するとともに、投資者に当該企業への投資機会を提供することを目的としており、ベンチャー企業にとっては資金調達機会が広がることになる。「NEO」が他の市場と大きく異なるのは、事業の基礎となる技術がある場合に技術評価アドバイザリー・コミッティーの評価を得ることと、投資家保護のために経営計画・事業計画の進捗・変更状況等の説明を内容とするマイルストーン開示が義務付けられていることである。(『ジャスダック証券取引所の新市場NEO創設について』(2007.8.29)参照)
このような新しい動きがある状況の中、2007年の第2四半期の3ヵ月では30社が新規上場を果たしているが、その特徴を整理してみることとする。
なお、文中の意見に関する部分は私見である。

2.新規上場会社数
市 場 2007年
第2四半期
2006年
第2四半期
増 減 2007年
6ヵ月累計
2006年
6ヵ月累計
増 減 2006年
年間
一部・二部 2 2 0 6 18 △12 33
ジャスダック 14 16 △2 32 33 △1 56
マザーズ 9 7 2 15 14 1 41
ヘラクレス 4 19 △15 15 22 △7 37
その他 1 5 △4 5 6 △1 21
合 計 30 49 △19 73 93 △20 188

2007年 第2四半期の新規上場会社数は30社となり、昨年の49社を19社も下回っている。1部・2部、ジャスダック、マザーズは横ばい傾向にあるものの、ヘラクレスが15社、その他も4社減少している。6ヵ月累計で見ても73社となり、昨年の93社を20社下回っている。
ヘラクレスについては、2005年にシステムトラブルが発生し、同年5月26日から10月31日まで新規上場申請の受付を停止したため、再開後の2006年において新規上場が集中したと考えられる。
近年引受審査業務に新規に参入する証券会社が多くなってきてはいるが、上場直後に業績の下方修正を行うなどの問題が発生しており、引受審査の状況に格差が生じているとの指摘がなされている。このような指摘を受け、日本証券業協会は昨年9月以降3回に亘って『「会員における引受審査のあり方等に関するワーキング・グループ」における検討状況』の公表を重ね、本年2月に最終報告を公表した。最終報告公表後の新規上場会社数は、昨年度と比較して減少しており、大手証券会社以外が主幹事となることの多いヘラクレスやその他の新興市場に影響が出ているとも考えられる。

3.第2四半期の新規上場会社の特徴
業種別にみると、サービス業11社、情報・通信業9社、小売業3社で大半を占めている。情報・通信業の9社はいずれもシステム開発やソフトウェア開発の会社であるが、サービス業11社の業務内容は多岐にわたっている。これまで多かったインターネット関連の会社は、インターネット広告事業の2社のみと減少しているが、コンピュータ不正調査及び訴訟における電子データの証拠開示支援等を行うコンピュータフォレンジック専業会社(株式会社UBIC、6/26マザーズ)や、幼児・小学生への体育指導及び幼稚園・保育園への経営コンサルティングを行う会社(幼児活動研究会株式会社、5/28ヘラクレス)など、ユニークな新ビジネスを展開する会社も上場している。また、中国でテレビ番組情報ガイドサービスを運営している会社(アジア・メディア・カンパニー・リミテッド、4/26マザーズ)が中国本土系企業で初めて東京証券取引所に上場し話題を集めた。
新規性の高い会社や事業に特徴のある会社に市場の注目が集まっているが、新興市場銘柄の株価が低調に推移している中、初値の公募価格に対する騰落率は、昨年までのように公募価格の200%以上になるような銘柄はないものの、公募価格割れが3社あり、上半期で11社となっている。
騰落率は公募価格の設定水準や上場時の株式市場の地合いが影響するため、必ずしも騰落率の高い銘柄が注目された銘柄とはいえないが、一つの指標として第2四半期の上位3銘柄を紹介する。
                                                                  (単位:円)
上場日 市 場 会社名 公募価格 初 値 騰落率
6/22 ジャスダック 株式会社ネットインデックス 480,000 1,410,000 193%
6/22 マザーズ インフォテリア株式会社 60,000 153,000 155%
6/29 ヘラクレス 株式会社アイル 255,000 650,000 154%

株式会社ネットインデックスは、株式会社インデックス・ホールディングスの子会社で、無線を利用したモバイル端末の開発、PLCモデム(Power Line Communicationモデム、電力線モデム)の開発、システム開発、保守サービスを行っている。当該会社のデータ通信カードはPHS方式では世界初の128bpsという高速通信を実現している。
インフォテリア株式会社は、XLMを基盤技術として情報システム間を「つなぐ」(文字情報、数値情報、定性情報などデジタル化可能な情報の交換)ためのソフトウェアを開発し市場に提供している。企業内データを連携させるミドルウェア「ASTERIA」が主力製品である。
株式会社アイルは、中堅・中小企業の抱える経営課題全般に対し、基幹システムの構築、サポート保守、ネットワーク構築、セキュリティ、コンテンツプロバイダー、人材育成などITを通じたトータルソリューションの提供を行っている。

4.新興3市場の資金吸収の状況
新興3市場の資金吸収額(公募・売出し金額合計)は例年20億円程度で推移している。2007年 第2四半期6ヵ月累計の平均は18億円となっており、ほぼ例年通りとなっているが、各市場の中位の会社の資金吸収額は、ジャスダック8億円(前年は13億円)、マザーズ9億円(前年は15億円)、ヘラクレス7億円(前年は9億円)と小型化している。2007年 第2四半期で100億円以上調達した会社はなく(6ヵ月累計では3社)、最高は株式会社カービュー(6/12マザーズ)の66億円であった。

5.おわりに
本年4月24日付けで東京証券取引所から「上場制度総合整備プログラム2007」が公表されている。株主・投資家の保護及び尊重を図りつつ、流通市場の機能を適切に発揮させ、上場会社の企業価値及び国際競争力の向上を支援する観点から、上場制度の包括的な見直しがなされている。
その中で、マザーズ市場について、成長性の見込まれる企業の上場を促すため、現行の売上高に関する上場審査基準を廃止し、売上高に関する上場廃止基準を上場後5年間は適用しないこととされている。その一方で、上場後一定期間経過後に本則市場の上場審査で実施する実質審査に準じた審査を実施し、不備がある場合には改善を勧告する制度の導入が検討されている。また、上場後一定期間経過後において成長が確認されなかったマザーズ上場会社について、市場から退出を促す方策を導入することについて検討されることになっており、今後マザーズ上場を目指す企業にとっては規則改正に留意が必要である。
以上
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