| トピックス 2007.10.31 |
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| 2007年 第3四半期におけるIPO市場の動向 |
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| IPO支援室 石塚 良光 |
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1.はじめに
日本経済は、回復基調が持続しているといわれているが、株式市場、とりわけ、新興市場は、依然低迷を続けており、新規上場を目指す会社を取り巻く環境は厳しいものとなっている。年間の新規上場会社数は、2004年以降、150社を超える状況が続いていたが、2007年においては、その水準を超えるのは難しいとの報道がなされている。
このような状況の中、2007年 第3四半期の3ヵ月(7月〜9月)では、20社が新規上場を果たしており、その特徴を考察する。
なお、文中の意見に関する部分は私見である。
2.新規上場会社数
2007年 第3四半期の新規上場会社数は20社となり、昨年の34社を大幅に下回る結果となっている。市場別に内訳を見ると、一部・二部への上場が2社増加した以外は、ジャスダック、マザーズ、ヘラクレス及びその他市場のいずれの市場においても減少している。9カ月累計で見ると93社であり、前年同期の127社を34社も下回る大幅な減少となっている。
9カ月累計ではすべての市場において、前年と比べて減少しているが、特に、一部・二部で10社の減少、ヘラクレスで11社の減少となっている。
新規上場会社数の減少の背景には、相次ぐ上場会社の不祥事による上場審査の強化、株式市場の相場の低迷により、期待しているほど資金調達ができないのではないか、といった経営者の懸念や外資系投資ファンドによる敵対的なTOBによる買収懸念等といった様々な要因が影響しているものと考えられる。
3.新規上場会社の特徴
業種別にみると、不動産業5社、小売業4社、サービス業、金属製品、化学が各2社と続いている。従来、情報・通信業、サービス業、小売業で過半数を占める傾向が続いていたが、第3四半期においては、情報・通信業は、僅か1社にとどまっている。
2007年 第3四半期の新規上場会社数は、20社であるが、その半数以上の11社において初値が公募価格を割り込む状況となっている。公募価格は、仮条件の上限で決定される状況が続いていたが、20社中4社については、上限を下回る価格で決定され、その4社すべてにおいて、初値が公募価格を割り込む状況となっている(図表1参照)。
図表1 新規上場会社数
| 市 場 |
2007年
第3四半期 |
2006年
第3四半期 |
増 減 |
2007年
9カ月累計 |
2006年
9カ月累計 |
増 減 |
2006年
年間 |
| 一部・二部 |
5 |
3 |
2 |
11 |
21 |
△10 |
33 |
| ジャスダック |
4 |
9 |
△5 |
36 |
42 |
△6 |
56 |
| マザーズ |
4 |
9 |
△5 |
19 |
23 |
△4 |
41 |
| ヘラクレス |
4 |
8 |
△4 |
19 |
30 |
△11 |
37 |
| その他 |
3 |
5 |
△2 |
8 |
11 |
△3 |
21 |
| 合 計 |
20 |
34 |
△14 |
93 |
127 |
△34 |
188 |
このような状況から、初値の公募価格に対する騰落率が100%を超えた銘柄は、1社のみであった。
初値に対する公募価格の騰落率上位3社は、図表2のとおりとなっている。
図表2 初値の公募価格に対する騰落率上位3社 (単位:円)
| 上場日 |
市 場 |
会社名 |
公募価格 |
初 値 |
騰落率 |
| 7/6 |
ヘラクレス |
株式会社きちり |
152,000 |
390,000 |
156.58% |
| 8/8 |
東証一部 |
チャイナ・ボーチー・エンバイロメンタル・ソリューションズ
・テクノロジー(ホールディング)カンパニー・リミテッド |
160,000 |
276,000 |
72.50% |
| 8/2 |
マザーズ |
株式会社ディア・ライフ |
255,000 |
437,000 |
71.37% |
株式会社きちりは、現代人の食ニーズに合った『モダン和食』(西洋、エスニックなどの要素を含んだ新しい現代的な和食)を商品コンセプトとし、飲食店を展開している。主力の業態は、「Modern Japanese Dining KICHIRI」及び「Casual Dining KICHIRI」である。
チャイナ・ボーチー・エンバイロメンタル・ソリューションズ・テクノロジー(ホールディング)カンパニー・リミテッドは、中国本土企業で初めて、東証一部に上場した。石炭火力発電所の排煙から硫黄酸化物を除去するための排煙脱硫システムや窒素酸化物を除去するための排煙脱硝システムの設計・設置等、発電所廃水、工業廃水等の処理システムを手がけている。
株式会社ディア・ライフは、収益不動産等の企画・開発・再生・販売、不動産投資ファンドの運用・管理・投資、ファミリー向け分譲マンション・投資用マンションの企画・開発・販売その他の事業を行っている。
4.新興3市場の資金吸収の状況
新興3市場の資金吸収額は(公募・売出し金額合計)は例年20億円程度で推移しており、2007年 第3四半期の9ヵ月累計の平均は、18億円となっており、ほぼ例年通りの傾向となっている。
各市場の中位の会社の資金吸収額は、ジャスダック8億円、マザーズ9億円、ヘラクレス9億円と第2四半期における状況とほぼ同様となっている。平均資金吸収額は、それぞれ、16億円、26億円、15億円となっている。
2007年 第3四半期において、100億円以上調達した会社は、サムティ株式会社(7/31ヘラクレス)の1社のみである。
5.おわりに
ジャスダック証券取引所においては、新市場「NEO」が8月13日に創設され、上場申請の受付が開始されている。新しい市場が創設されたことは、ベンチャー企業にとって、資金調達の機会が広がったといえる。
同じ8月の31日、マザーズは、上場会社数が200社になった。1999年の開設以来、7年9カ月での達成である。数の面において、着実に成長を続けるマザーズにおける課題は、信頼回復のため、上場会社の質を高めていくことにある、といわれている。
また、東京証券取引所は、上場申請時の証券会社の調査を厳格化するように求める方針を明らかにし、12月にも新ルールを適用するとしている。
一方、経済産業省は、低迷する新興市場の活性化策を検討するための研究会を設置し、新興企業向けの上場審査を緩和して上場企業を増やすこと等を提言していくとの報道がなされている。
株式市場の信頼回復・活性化に向けて、様々な方面からの対応が実施されようとしている。
そのような中、10月11日には、今年最大の公開規模(3,480億円)のソニーフィナンシャルホールディングス株式会社(東証一部)の上場が予定されており、その行方は注目を集めている。 |
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以上
(2007年10月5日記) |
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