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トピックス 2007.11.28
東京証券取引所による取引参加者における上場適格性に係る調査体制の整備の公表について
IPO支援室 公認会計士 岡田 雅史
1.はじめに
東京証券取引所(以下「取引所」)では平成19年9月25日に、取引参加者規程の一部改正を発表した。取引所では上場規則において、上場申請に際して申請会社の幹事取引参加者(主幹事証券会社(以下「主幹事証券」))の作成した推薦書等の提出を求めているが、昨今主幹事証券による調査が不十分である事例が認められることから、取引所として主幹事証券に求められる調査に係る内容や調査体制を明確化し、その水準を維持向上する観点から改正を発表したものである。
今回の対応は、平成19年2月に日本証券業協会から公表された「会員における引受審査のあり方等に関するワーキンググループ」最終報告と同様の考え方に立って発表されたものであり、平成19年12月を目途に実施される予定である。
なお、本稿での意見に関する部分は筆者の私見である。

2.具体的な改正内容
1)上場適格性に係る調査の実施

今回の改正で、上場申請に際して提出する主幹事による推薦書等の作成に当たり、主幹事証券は上場申請者の経営者の識見、内部管理体制及び業績その他の上場適格性に係る調査を行うことが規則上明確化されることとなった。
従来からの証券業界内の自主規制としての公正慣習規則に加え、取引所規則として義務化されたという点が今回の改正のポイントとなっている。

(1)調査項目
調査項目については、従来取引所が上場審査において調査してきた項目が踏襲されており、上場審査基準及び同取扱いで規定されている各項目について、合理的な根拠をもって説明できる程度の上場適格性の調査が求められている。

(2)監査人からの意見聴取
主幹事証券は、上場適格性調査実施に際しての財務情報に関連する事項については、監査を担当する公認会計士又は監査法人から意見聴取を行うことが求められている。

(3)主幹事証券の交代等があった場合の対応
主幹事証券は上場適格性調査実施に当たり、主幹事証券や監査人の交代、又は申請を予定していた取引所の変更が行われた事実を知ったときは当該交代又は変更の理由を確認するとともに、当該確認した内容の合理性について十分な検討を行うことが求められている。

(4)上場日までの企業動向の把握
主幹事証券は、上場申請後から上場日までの間に、上場適格性調査の結果に影響を及ぼすおそれのある事項が認められた場合には、当該事項の内容を取引所に報告することが求められている。

2)上場適格性調査の独立性の確保
主幹事証券は、上場適格性調査を的確に遂行できる人的構成を確保するとともに、独立した意見形成を行うために、以下のような組織体制を構築することが求められている。

●上場適格性調査部門(いわゆる審査部門)を設置すること
●上場適格性調査部門において上場適格性調査業務を担当する担当者は新規上場案件等を獲得するための営業推進業務及び新規上場申請者に対する指導業務に携わらないこと
●上場適格性調査部門を担当する役員は、上場営業推進部門(いわゆる投資銀行部門の法人営業部門等)及び上場指導部門(いわゆる公開引受部門等)を担当しないこと

なお、上記の要件をすべて満たしていない場合でも、独立した意見形成を行うことができる体制が実質的に構築されていると取引所が認めた場合には、上記の要件を満たしていると認められる場合がある。この場合、主幹事証券からの申請を受け、取引所が必要と認めて行う考査等を通じてその判断が行われる。

3)社内規則等の整備
主幹事証券は適正な上場適格性調査の実施及び調査部門による独立した意見形成のために必要な事項を社内規則等に定めることが求められている。社内規則等には適格性調査に関する社内マニュアルを含み、ここでの社内規則については取引所への提出が求められている。
主幹事証券は、上場適格性調査を行い推薦書その他書類の作成を行った場合には、以下の記録を作成し、5年間当該記録及び当該記録の基となる資料及び情報を保存することが求められている。

●上場適格性調査において収集した資料及び情報並びに当該資料及び情報に対する分析並びに評価の内容に係る記録
●上場適格性調査結果の形成過程に係る記録

4)社内検査の実施
主幹事証券は、上記の社内規則等の遵守状況についての定期的な社内検査の実施が求められている。

3.おわりに
以上のように今回の改正は、従来日本証券業協会の自主規制の枠の中で遵守が求められてきた内容を取引所側で規則化した点が重要である。上記の各要件はいわゆる大手証券会社においては今回の規則改正以前から一般的に行われてきた内容であり、その点で実務的な影響は大手証券による引受審査体制については限定的と予想される。しかしながら、審査体制が十分整っていなかった中小証券もしくは外資系証券等では、審査体制構築に時間と負荷がかかり、結果としてそれら証券会社による主幹事銘柄の減少が予想され、例えば小規模なIPO銘柄をはじめとする新規上場会社数の減少や他市場への変更等の影響が懸念される。
以上
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