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トピックス 2007.12.26
上場制度整備プログラム対応及び組織体制の変更に伴う業務規程の一部改正等について
IPO支援室 公認会計士 岡田 雅史
1.はじめに
東京証券取引所(以下「取引所」)では平成19年10月17日に業務規程の一部の改正を発表した。今回の改正は本年4月に公表された「上場制度整備プログラム2007」(以下「プログラム」)において、直ちに実施する事項として示されていた部分を具体的に規則化したものである。また本年11月1日の東証自主規制法人の分離、市場運営会社から自主規制法人への自主規制業務の委託に伴う上場規則の体系整備等についても同時に行われている。
なお、本改正は既に平成19年11月1日に施行されている。

2.プログラムに対応した改正の概要
1)企業行動に関する制度整備

企業行動に関する整備については、企業行動規範の制定、実質審査項目の明確化等、4つの項目が規程化された。

(1)企業行動規範の制定
プログラムにおいては、上場会社が遵守すべき項目として、従来の適時開示義務に加え、株主・投資者の保護、及び市場運営の観点からの企業行動に適切な対応を求める事項を上場規則上で制定することが示されていた。これに伴い、今回の改正で上場規則上の「企業行動規範」という形で、総論的な遵守義務に加え、MSCB(Moving Strike Convertible Bond:(円貨建)転換社債型新株予約権付社債)等の株式に関する事項、及びガバナンス強化のための機関設計に関する事項等が規定され、さらにそれらの実効性を高めるためのペナルティに関する措置が定められた。

i) 企業行動規範の構成
企業行動規範は、従来の取引所からの要請事項等を集約したものに、以下の項目を追加して構成されている。なお下記のうち機関等に関する事項の監査役会、会計監査人等の設置については施行日の1年後から適用される。このため平成20年11月1日以前に上場申請を予定している会社については、申請時での対応は必要でなく平成20年11月1日時点で対応できる予定であればよいことになる。

 
a) 総則
 
上場会社は流通市場の機能及び株主の権利を尊重することが明示された。
b) 株式等に関する事項
 
MSCB等を発行する場合は流通市場への影響、株主の権利に配慮するものとし、かつMSCB等の買受人による転換又は行使により取得される株数の制限をすることが求められている。
c) 機関等に関する事項
 
株主総会における書面投票制度の導入及び株主総会参考書類の交付が求められている(会社法上は1,000人以上の株主数がいる場合に求められる。)。
取締役会、監査役会又は委員会設置会社における各委員会、会計監査人の設置が求められている。会計監査人を金融商品取引法上の監査人として選任するよう努めることが求められている。
会社法上の内部統制システムの整備に関する取締役会の決定が求められている。

  ii) 公表等による企業行動規範の実効性の確保
   
a) 以下の場合であって、取引所が必要と認める場合については当該上場会社に対し勧告することができる。
 
上場会社が前述したi)b)のうち取得株数制限の設定に違反した場合やその他の事由で流通市場への影響及び株主の権利への配慮が著しく欠けると取引所が必要と認める場合
上場会社が前述したi)c)に掲げる事項に違反した場合
b) 勧告に沿った対応が行われない場合や違反状態となっている場合で取引所が必要と認める場合にはその旨を公表できる。

(2)上場審査項目の明確化
プログラムでも示されていた、従来、実質審査の各項目で関連する部分で個々に確認されていたコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性について、新たに独立した審査項目とされた。この結果、実質審査項目は従来の4項目から5項目(子会社上場の場合は5項目から6項目)となっている。

(3)上場会社による種類株式発行等の取扱い
現行の廃止基準での「株主の権利内容・行使が不当に制限されている場合」に該当するものとして以下が追加された。取締役の過半数の選解任等の重要な事項について制限のある種類株への変更決議又は決定既存の上場株券より議決権の多い株式の発行に係る決議又は決定

(4)有価証券報告書提出遅延への対応
従来から上場廃止項目とされてきた有価証券報告書等の提出遅延について、猶予期間等についての取扱いの変更が行われた。
提出遅延の事実及び提出できる見込みがない旨の開示を法定期限内に行っている場合は上場廃止のおそれがあるものとして、後述する「監理銘柄(確認中)」として取り扱われる。
廃止基準の規程について従来からの法定期限経過後1ヵ月以内の提出に加えて、天災地変等会社の責めに帰すべからざる事由の場合については当該期限が3ヵ月とする内容が追加された。

2)市場制度の整備
プログラムで公表されていたマザーズの信頼性向上、上場審査の形式基準のうちの流動性に係る基準の見直し、上場規則の実効性を確保するための措置が定められた。

(1)マザーズの市場特性の明確化
成長性が高く、将来的に本則市場への上場を目指す成長企業のための市場という位置づけを明確化するため、以下の規則が設けられた。本則市場からマザーズへの市場変更に関する規則の削除売上高に関する形式基準の廃止及び売上高に関する上場廃止基準の5年間不適用

(2)流動性等に係る基準の見直し
従来の基準の見直しに加え、新たな流動性の基準が設けられた。具体的な基準については紙面の都合上、本則市場とマザーズ市場の上場審査と上場廃止について記載する。なお、流通株式比率を除き上場廃止、指定替えについては、猶予期間(1年間等)が設けられている。

●株主数基準について、従来の逓増的なものから一定水準に変更された。
株主数基準 上場審査 上場廃止
本則市場 800人以上 400人未満
マザーズ 300人以上 150人未満

●従来の少数特定者持株比率基準を見直し、新たに流通株式の比率についての基準が設けられた。
流通株式比率 上場審査 上場廃止
本則市場 30%以上 5%未満
マザーズ 25%以上 5%未満

●新たな流動性の基準として流通株式数基準及び流通株式時価総額基準が導入された。
流通株式数 上場審査 上場廃止
本則市場 4,000単位以上 2,000単位未満
マザーズ 2,000単位以上 1,000単位未満

流通時価総額 上場審査 上場廃止
本則市場 10億円以上  5億円未満
マザーズ  5億円以上 2.5億円未満

上場審査時には上記すべてを満たす必要があり、上場廃止時は上記のうちいずれか1つに該当した場合に猶予期間入りとなる。

3)上場規則の実効性の確保に係る対応
(1)特設注意市場銘柄の指定等

上場会社が以下のいずれかに該当し、上場廃止の審査を経て影響が重大と認められず上場廃止とはならなかった場合で、かつ当該会社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと取引所が認める場合、取引所は当該会社の株券を特設注意市場銘柄に指定することができる。

a 有価証券報告書等に「虚偽記載」を行った場合
b 監査報告書等において「不適正意見」又は「意見不表明」が記載された場合
c 上場契約等について違反を行った場合
d その他公益又は投資者保護の観点から上場廃止のおそれがある場合

同銘柄へ指定された上場会社は、当該指定から1年経過するごとに内部管理体制の状況等について記載した書面(以下「内部管理体制確認書」)の提出が求められる。なお、内部管理体制確認書の様式は上場申請時に提出する「新規上場申請のための有価証券報告書(IIの部)」に準じた書類とされている。
取引所は提出された内部管理体制確認書の内容等に基づき検討を行い、その結果内部管理体制に問題が見られない場合、指定が解除される。
それに対し、改善が見られず内部管理体制確認書の提出が3回続き、かつ当該内部管理体制等に引き続き問題があると認められる場合は上場廃止となる。

(2)監理ポスト及び整理ポストの呼称の見直し
現行の「監理ポスト」銘柄については以下の理由で上場廃止の審査を行っている銘柄について「監理銘柄(審査中)」にそれ以外の理由で廃止基準抵触の確認を行っている銘柄については「監理銘柄(確認中)」に指定される。

a 有価証券報告書等に「虚偽記載」を行った場合
b 監査報告書等において「不適正意見」又は「意見不表明」が記載された場合
c 上場契約等について違反を行った場合
d その他公益又は投資者保護の観点から上場廃止のおそれがある場合

●現行の「整理ポスト」銘柄は「整理銘柄」に指定される。

4)多様な商品の上場に向けた対応
国際化への対応に向けて、以下の商品に関する上場制度の整備が行われた。

(1)外国ETFの上場制度等の整備
外国ETF(Exchange Traded Fund:上場投資信託)のうち外国金融商品取引所等に上場若しくは継続的に取引されていることが必要とされている。

(2)外国株信託受益証券等(いわゆる日本型預託証券「JDR:Japanese Depositary Receipt」)の上場制度の整備
有価証券信託受益証券のうち、当該受託有価証券が外国株もしくは外国ETFであるものを対象としている。

(3)内国ETFの流動性等にかかわる基準の見直し
内国ETFの上場審査基準、及び上場廃止基準における上場受益権口数、上場受益者数、上場廃止基準における売買高の基準が廃止された。

3.組織体制の変更に伴う対応
本年11月1日の東証自主規制法人の分離に伴う対応として以下の規則体系の整備等が行われた。

1)上場規則の体系整備
自主規制業務の自主規制法人への委託に伴い、上場に関する規程について体系整備が行われた。
上場審査等に際して実質的な判断を行う部分についてガイドラインが策定され、その作成・変更及び廃止に関する業務が自主規制法人に委託された。
従来の有価証券上場規程や上場審査基準、適時開示規則、上場廃止基準が有価証券上場規程(新)、同施行規則及びガイドラインに集約された。
定義規程が設けられた。

2)取引参加者規定の一部改正等
●取引参加者及び取引資格の取得を希望する者に対する審査、調査等の業務を自主規制法人が行う旨が明確にされた。
●その他規程の集約等の改正が行われた。
以上
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