| トピックス 2008.3.26 |
 |
東京証券取引所の
「金融商品取引法における四半期報告制度の導入等に伴う上場制度の整備」について |
 |
| IPO支援室 公認会計士 茂見 憲治郎 |
 |
1.はじめに
株式会社東京証券取引所(以下「東証」という)から、平成20年1月29日付けで「金融商品取引法における四半期報告制度の導入等に伴う上場制度の整備について」として、金融商品取引法に対応した上場制度の整備、変更の項目が公表された。
この整備内容について解説するとともに、上場準備実務に与える影響を以下に考察する。なお、本文中の意見に係る部分は私見である。
2.整備内容の解説
今回の整備は、平成20年4月1日開始事業年度より適用される金融商品取引法の開示制度に対応して、東証及びマザーズの上場制度を整備することを目的としている。これに、東証の株式売買単位集約に向けての行動計画の実現が加えられた。
したがって、当整備内容の主なポイントは下記の4点となる。
(1)四半期報告制度導入に伴う変更
(2)内部統制報告制度導入に伴う変更
(3)確認書制度導入に伴う変更
(4)売買単位の集約
(1)四半期報告制度導入に伴う変更について
金融商品取引法により、従来の半期報告書にかえて四半期報告書の提出が義務付けられた。これに伴い、上場制度の中でも従来半期報告書として求められていた事項が四半期報告書について求められるように変更となった。
・「有価証券報告書等」の定義の見直し
上場制度上の「有価証券報告書等」の定義に四半期報告書が含められることになった。これに伴い、例えば「虚偽記載」(有価証券上場規程第2条第31号)の範囲に四半期報告書が含まれることになる。
・「上場申請のための四半期報告書」
従来の「上場申請のための半期報告書」及び「四半期財務・業績の概況を記載した書類」(マザーズ)
にかえて「上場申請のための四半期報告書」が必要となる。
・適時開示の取扱い
従来、半期で求められていた下記項目の適時開示が四半期でも求められることとなる。
― 四半期財務諸表等に継続企業の前提に関する事項を注記することを決定した場合
― 四半期末日において保有する有価証券に含み損が発生している場合
・監査法人の四半期レビュー報告書意見
監査法人(又は公認会計士)による四半期レビュー報告書の否定的結論等(「無限定の結論」以外の意見)は、監査報告書における取扱いと同様にその影響が重大な場合に上場廃止となる。
・提出遅延の場合の取扱い
四半期報告書が法定期限に提出できない見込みは適時開示の対象となり、実際に提出できなかった場合には管理銘柄へ指定されることになる(ただし提出初年度については15日間の猶予が認められている)。
また、法定期限後1ヵ月以内に提出されない場合には上場廃止となる。
・既存制度の廃止
マザーズ上場会社における四半期レビュー手続に係る規程は当整備によって廃止となる。
(2)内部統制報告制度導入に伴う変更について
内部統制報告制度についての上場制度における取扱いが下記のとおり公表された。
・上場申請時の取扱い
新規上場申請時には内部統制報告書及び内部統制監査報告書並びに当該報告書に準じた書類の提出は求められないこととなった(ただし、他の金融商品取引所にすでに上場している場合は除く)。
・適時開示
内部統制報告書及びその監査報告書において下記に該当する場合には適時開示を行うこととされた。
― 内部統制報告書において、「重要な欠陥」又は「評価不実施」の記載を行うことを決定した場合
― 内部統制監査報告書において、「不適正意見」又は「意見不表明」の記載が行われた場合ただし、上記をもってただちに
上場廃止審査の対象とはしない旨があわせて公表されている。
(3)確認書制度導入に伴う変更について
金融商品取引法により、有価証券報告書等の記載内容に係る確認書の提出が義務付けられたことに伴い、上場会社に対する有価証券報告書等の適正性に関する確認書の提出に関する規定は廃止されることとなった。ただし、「上場申請のための有価証券報告書」等の記載内容に係る確認書については従来どおり必要とされている。
(4)売買単位の集約について
「売買単位の集約に向けた行動計画」にあわせて、単元株式を100株とすることが求められた。具体的には新規上場の際、もしくは単元株式数の設定又は変更の決議を行う際には単元株式数を100株とすることが必要となる。
3.上場準備実務に与える影響
上記の整備内容のうち、上場実務に与える影響の大きなものとしては、下記の2点を挙げることができる。
・四半期レビュー意見と遅延に対しての措置
金融商品取引法によって四半期報告書の提出期限は45日以内と定められている。上記の上場整備の内容を踏まえると、この45日以内に「無限定」の結論が記載されたレビュー報告書を添付した四半期報告書が提出できる体制が必要となる。すなわち、社内で数値を確定させて四半期報告書を作成し、監査法人のレビューに対応し、そのレビュー報告書が添付された四半期報告書を45日以内に管轄財務局に提出できるだけの正確性とスピードが求められる。
従来の上場準備業務の中でも予算実績管理等、経営管理上の要請から月次決算の精緻化と早期化は求められていたが、開示の要請という点からも月次決算の位置づけはより重要性なものとなると思われる。
・内部統制報告制度の導入に伴う影響
今回の上場制度整備の公表を受けて、上場申請時に内部統制報告書及びその監査報告書は求められないこととなった。
しかし、上場後最初に提出する有価証券報告書においては内部統制報告書等が必要となる。したがって、内部統制報告制度については上場してからの対応では間に合わないリスクが大きく、たとえ上場申請書類等で求められていなくても上場準備作業の中であわせて内部統制報告制度へ対応できる社内体制の整備を行うことが必要と考えられる。
4.適用時期
会計期間としては平成20年4月1日以後開始事業年度から適用され、上場制度としては平成20年4月を目処に実施が予定されている。 |
 |
| 以上 |
 |
|