| トピックス 2008.4.30 |
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| 2008年 第1四半期におけるIPO市場の動向 |
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| IPO支援室 石塚 良光 |
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1.はじめに
2008年は、サブプライムローン問題、原油価格の高騰といった世界経済の動向が日本経済に大きな不安を与える中で始まった。日経平均株価は、年初に14,691円41銭をつけた後、上下動を繰り返しながら下落を続け、3月31日においては、12,525円54銭と13,000円を割り込む展開となっている。
新興市場においては、昨年来よりの個人投資家の市場離れに加えて、サブプライムローン問題の影響による株価の下落により、一段と厳しさを増している。
このような状況の中、2008年においては2月1日から新規上場がスタートし、21社が新規上場を果たしているが、3月末までの第1四半期(以下「当四半期」という)について整理してみることとする。
なお、文中の意見に関する部分は私見である。
2.新規上場会社数
当四半期の新規上場会社数は21社となり、前年の43社から半減する大幅な減少となっている。市場別にみると、前年と同数となったマザーズを除いた他のすべての市場において減少している。特に、ジャスダック及びヘラクレスの減少は顕著でジャスダックは11社減少し7社、ヘラクレスは9社減少し僅か2社のみの新規上場となっている。また、株式相場の低迷により、期待するほどの資金調達が難しいなどといった理由から上場を延期する企業も出てきている。
3.新規上場会社の特徴
業種別にみると、情報・通信業5社、小売業3社、サービス業3社となり、前年と比較すると会社数こそ減少しているものの、これらの3業種が過半数を占めるという傾向は同様となっている。
当四半期では、創薬・創薬支援を行うバイオベンチャーのカルナバイオサイエンス株式会社(3/25:NEO)、ナノテクノロジーを応用した製造技術により創薬の研究開発を行うナノキャリア株式会社(3/5:マザーズ)といった医薬品関連の銘柄の上場や、唯一の大型上場案件である株式会社セブン銀行(2/29:ジャスダック)の上場がトピックスとしてあげられる。
表1 新規上場会社数
| 市 場 |
2008年 第1四半期 |
2007年 第1四半期 |
増 減 |
2007年 年間 |
| 一部・二部 |
3 |
4 |
△1 |
15 |
| ジャスダック |
7 |
18 |
△11 |
46 |
| マザーズ |
6 |
6 |
− |
23 |
| ヘラクレス |
2 |
11 |
△9 |
25 |
| その他 |
3 |
4 |
△1 |
12 |
| 合 計 |
21 |
43 |
△22 |
121 |
初値の公募価格に対する騰落率は、新規上場会社21社中半数以上の11社がマイナス(前年同期8社)、平均騰落率は27%(同40%)となっており、市場環境の厳しさが窺える結果となっている。市場別では、マザーズ及びヘラクレスがすべての銘柄で騰落率がプラスとなった反面、一部・二部及びその他のすべての銘柄、ジャスダックの7社中5社がマイナスとなり、市場間で明暗が分かれる結果となった。
初値に対する公募価格の騰落率上位3社は、表2のとおりとなっている。
ネットイヤーグループ株式会社は、企業が抱えるマーケティング等に関する課題に対して、インターネットやウェブサイトを活用した解決策の提案及び実現を行うことを事業としており、マーケティング戦略策定、ブランディング、ウェブサイト構築・運用、ウェブシステム開発、販売促進サービスを総合的に提供している。
株式会社デジタルハーツは、ソフトウェアの開発会社に対して「デバッグサービス」の提供を行っている。「デバッグサービス」とは、ソフトウェアの動作テストを通じて仕様の設計ミスや製作過程におけるプログラミングミス等により発生する不具合を抽出し、その結果を報告するサービスのことである。
株式会社エス・エム・エスは、対象の職種別に人材紹介サイト(「ケア人材バンク」など)を通じた人材紹介事業、求人情報サイト(「カイゴジョブ」など)を通して求人広告事業、介護・医療分野に特化した資格講座情報サイト「シカトル」の運営を行っている。
表2 初値の公募価格に対する騰落率上位3社 (単位:円)
| 上場日 |
市 場 |
会社名 |
公募価格 |
初 値 |
騰落率 |
| 3/6 |
マザーズ |
ネットイヤーグループ |
32,000 |
100,000 |
212.50% |
| 2/1 |
マザーズ |
デジタルハーツ |
185,000 |
430,000 |
132.43% |
| 3/13 |
マザーズ |
エス・エム・エス |
230,000 |
450,000 |
95.65% |
4.新興3市場の資金吸収の状況
新興3市場(ジャスダック、マザーズ、ヘラクレス)の資金吸収額(公募・売出し金額合計)は例年20億円程度で推移しており、2007年第1四半期の平均資金吸収額も同様であったが、当四半期の平均は、33億円となった。これは、唯一の100億円超の大型上場案件となった株式会社セブン銀行(421億円)の影響が大きく、これを除くと平均資金吸収額は6億円となり小型化が顕著である。それぞれの市場の平均資金吸収額は、ジャスダック65億円、マザーズ6億円、ヘラクレス4億円となっている(ジャスダックについては株式会社セブン銀行の資金吸収額を除くと6億円となる)。
5.おわりに
2008年の新規上場会社数は、上場審査の強化、長引く株式相場の低迷といった要因に加え、来年1月からの株券の電子化を控え(2008年12月半ばから2009年2月半ばまで新規上場がストップする)、年末に上場を予定していた企業の上場延期の影響も考えられる。このため、新規上場会社数は昨年の121社をさらに下回り100社を割り込むとの予測もされている。
こうした状況の中、4月1日以降開始事業年度より、上場会社に対して内部統制報告制度及び四半期報告制度がスタートしている。コーポレート・ガバナンス、内部管理体制の強化・充実やディスクロージャー体制の整備は、個々の企業の信頼性を高めるばかりでなく、市場全体の信頼回復へ一翼を担うものと考えられるものの、一方では新規上場を目指す会社にとっては、かなりの負担を新たに強いられることとなる。
また、大阪証券取引所がジャスダック証券取引所を買収して子会社化を目指している問題は、3月31日に日本証券業協会が大阪証券取引所に対して過半数の株式を売却する方針を決定したとの報道がなされたが、システム統合問題などの課題も残されており今後の動向が注目されるところである。 |
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| 以上 |
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