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トピックス 2008.5.28
各証券取引所の金融商品取引法における四半期報告制度の導入等に伴う規程等の
一部改正について
IPO支援室 公認会計士 崎田 宏之
1.はじめに
平成20年3月28日付けで、東京証券取引所(以下「東証」という)から「金融商品取引法における四半期報告制度の導入等に伴う有価証券上場規程等の一部改正について」として金融商品取引法に対応した上場制度の整備、変更の項目が公表された。
大阪証券取引所(以下「大証」という)など他の取引所でも同様の趣旨の改正がなされているが、以下では東証の公表内容を中心に解説し、大証とジャスダック証券取引所(以下「ジャスダック」という)の公表内容について東証と異なる部分について解説を加えるとともに、上場準備実務に与える影響を考察する。
なお、本文中の意見に係る部分は私見である。
2.改正の概要
今回の改正の主なポイントは下記の4点となる。
・四半期報告制度の導入に伴う対応
・内部統制報告制度の導入に伴う対応
・確認書の提出義務化に伴う対応
・売買単位の集約に向けた対応
なお、この他にジャスダックからは外国株信託受益証券等(JDR)に係る制度整備に伴う対応も併せて公表されている。
1)四半期報告制度の導入に伴う対応について
金融商品取引法施行により、従来の半期報告書に代えて四半期報告書の提出が義務付けられた。これに伴い、有価証券上場規程の中で従来半期報告書に関連して求められていた事項が四半期報告書について求められることとなった。
(1)「有価証券報告書等」の定義の見直し
上場制度上の「有価証券報告書等」 * の定義に四半期報告書が含められることになった。
*
有価証券届出書、発行登録書及び発行登録追補書類並びにこれらの書類の添付書類及びこれらの書類に係る参照書類、有価証券報告書及びその添付書類、半期報告書並びに目論見書をいう。
(2)新規上場申請者の提出書類の見直し
従来の「上場申請のための半期報告書」及び「四半期財務・業績の概況を記載した書類」(東証マザーズもしくは大証ヘラクレス)に代えて「上場申請のための四半期報告書」が必要となるが、これらについては各取引所及び市場区分に応じて提出書類が異なるため、留意が必要である。
A.東証
一部・二部市場についてはN−1期 * の第1四半期(以下「1Q」とし、順に「2Q」、「3Q」とする)から上場日直前までの各四半期分の作成が必要となる。マザーズについてはN−1期は不要であり、N期 * は上場日直前までの各四半期分の作成が必要となる。したがって例えば3月決算会社で必要となるN期の四半期報告書は上場日が12月の場合には1Q、2Qであり、2月の場合には1Q、2Q、3Qとなる。
*N期:上場申請事業年度、N−1期:上場申請直前事業年度
B.大証
一部・二部市場については東証と同様にN−1期の1Qから上場日直前までの各四半期分の作成が必要となる。大証ヘラクレスについてはN−1期は不要であるが、N期は東証マザーズと異なり、上場日直前のみの四半期分を作成すればよい。したがって例えば3月決算会社で必要となるN期の四半期報告書は上場日が12月の場合には2Qのみとなり、2月の場合には3Qのみとなるが、実務的には申請日直前の四半期の分を作成した後、上場日が次の四半期を超えることが多く、この場合には上場日直前の四半期も作成し、追加で提出することになると考えられる。
C.ジャスダック
本則市場については東証・大証と異なりN−1期の3Qから上場日直前までの各四半期分の作成が必要となる。ジャスダックNEO(以下「NEO」という)についてはN−1期は不要であり、N期は東証マザーズと同様上場日直前までの各四半期分の作成が必要となる。大証ヘラクレスに比べNEOの方が必要書類が多くなっている。
【新規上場申請者の提出書類】
市場
東証
ジャスダック
大証
期別
一部・二部
マザーズ
本則
NEO
一部・二部
ヘラクレス
N−1期
1Q、2Q、3Q
提出不要
3Q
提出不要
1Q、2Q、3Q
提出不要
N期
上場日が事業年度開始日から
1.3カ月経過後 → 1Q
2.6カ月経過後 → 1Q+2Q
3.9カ月経過後 → 1Q+2Q+3Q
上場日が事業年度開始日から
1.3カ月経過後6カ月経過前 → 1Q
2.6カ月経過後9カ月経過前 → 2Q
3.9カ月経過後 → 3Q
(3)適時開示等における取扱い
上場会社は以下に該当する場合には適時開示をする必要がある。
a.四半期財務諸表等について継続企業の前提に関する事項を注記することを決定した場合
b.四半期末日に保有有価証券に含み損が発生している場合
(4)監査法人の四半期レビュー意見
監査法人(又は公認会計士)による四半期レビュー報告書の否定的結論等(「無限定の結論」以外の意見)は、監査報告書における取扱いと同様にその影響が重大な場合には上場廃止となる。
(5)提出遅延の場合の取扱い
四半期報告書を法定期限に提出されないか提出できる見込みがない場合を適時開示の対象とし、監理銘柄(確認中 *)に指定される(ただし、提出初年度については15日間の猶予が認められている)。
また、法定期限後1カ月以内に提出されない場合は上場廃止となる。
*事例が発生してからの対応となる予定
(6)既存制度の廃止
東証マザーズ上場会社における四半期レビュー手続に係る規定は今回の改正によって廃止となる。
2)内部統制報告制度の導入に伴う対応
内部統制報告制度についての上場制度における取扱いが下記のとおり公表された。
(1)上場申請時の取扱い
新規上場申請時には内部統制報告書及び内部統制監査報告書並びに当該報告書に準じた書類の提出は求められないこととなった(ただし、国内の他の金融商品取引所にすでに上場している場合は除く)。したがって新規上場会社は上場後最初に提出する有価証券報告書と併せて内部統制報告書を提出することになる(ただし、いわゆる「期越え上場」 * の場合を除く)。
*N−1期の決算数値を用いて上場申請するが、実際の上場日がN期の決算日を過ぎる(定時株主総会前まで)場合
(2)適時開示
上場会社は内部統制監査報告書において「不適正意見」又は「意見不表明」の記載が行われた場合には適時開示をする必要がある。
3)確認書の提出義務化に伴う対応について
金融商品取引法により、「有価証券報告書等の記載内容に係る確認書」の提出が義務付けられたことに伴い、上場会社に対する「有価証券報告書等の適正性に関する確認書」の提出に関する規定は廃止されることとなった。ただし、「上場申請のための有価証券報告書」等の記載内容に係る確認書の提出については従来どおり必要とされている。
4)売買単位の集約について
新規上場の際(他の金融商品取引所に上場している銘柄及びグリーンシート銘柄が当取引所に上場する場合を除く)には単元株式を100株とすることが求められた。具体的には新規上場の際、もしくは単元株式数の設定又は変更の決議を行う場合には、単元株式を100株とすることが必要となる。
3.適用時期
平成20年4月1日から施行されている。
上記2.1)四半期報告制度の導入に伴う対応、3)確認書の提出義務化に伴う対応については、施行日以後に開始する事業年度から適用し、施行日より前に開始する事業年度に係るものについては、なお従前の例による。
上記2.2)内部統制報告制度の導入に伴う対応については、施行日以後に開始する事業年度から適用する。
4.おわりに
今回の金融商品取引法の改正は上場会社の四半期報告制度の導入に伴うものである。上場会社については銀行業・保険業などの特定事業会社を除き、事業年度末の本決算以外で作成される財務諸表等は四半期財務諸表等に一本化され、中間財務諸表等は作成されなくなる。
ところが非上場会社については従前のとおりであるため、有価証券届出書上で中間財務諸表等を掲載する可能性が残っている。開示内閣府令に基づく有価証券届出書の「記載上の注意」等と各市場の上場関係諸規則との間において中間(2Q)における財務諸表等の取扱いが異なる可能性があるため、今後の実務上の取扱いに留意されたい。
以上
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