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トピックス 2007.10.24
中国税務情報
みなし外国税額控除(タックス・スペアリング・クレジット)について
監査法人トーマツ 中国室/中国インバウンドサービスグループ
Q:
外国税額控除制度には、「みなし税額控除(タックス・スペアリング・クレジット)」という優遇措置があると聞きました。また、中国で2008年1月から施行される新≪企業所得税法≫の影響により控除可能な外国税額控除額が大きく変わる可能性があると聞いていますが、どのような内容なのでしょうか?


A:
外国税額控除制度は、区分すると直接外国税額控除、間接外国税額控除、みなし外国税額控除(直接・間接)、タックスヘイブン対策税制に係る外国税額控除に区分されますが、ここでは、みなし外国税額控除に着目して解説をします。

みなし外国税額控除とは、開発途上国が投資優遇政策等として、投資を行っている外国企業に対して減免した租税について、租税条約の取決めに沿って納付したものとみなして、その企業の本国(本件であれば日本)で外国税額控除を適用し、納付すべき法人税額(法人住民税を含む。以下、同じ)から控除することを認める制度です。日本の歳入を減らすことにより現地国への投資を促進させることから、「税務のODA」とも呼ばれることがあります。すなわち、このようなみなし控除が認められなければ、現地法人において税額の減免を行ったとしても、その分日本の親会社での納税額が増加し、結果として開発途上国における減免措置の効果が失われることを回避するためのものです。

例えば、外商投資企業である中国現地法人からの配当金収入を例に挙げると、配当を行う現地法人側では、配当に係る源泉所得税は、現行の≪外商投資企業および外国企業所得税法≫による優遇措置により免税となり課税されません。これに対し配当を受ける日本の親会社側では、現地法人で源泉税の免税措置により源泉所得税を実際には納税していないにもかかわらず、現行の日中租税条約により、独資企業からの配当であれば20%、合弁企業からの配当であれば10%の税率で納税したものとみなして直接外国税額控除が適用され、親会社の法人税額から控除することが可能でした。

新≪企業所得税法≫においては、これまで認められていた配当に係る源泉所得税の免税条項の規定はなく、配当については中国国内法に基づき20%の源泉徴収が必要とされます。しかし、日中租税条約により、源泉所得税は10%に軽減され、独資企業からの配当については20%の税率で源泉税が課税されたものとみなされるため、新≪企業所得税法≫の施行後は、日本親会社については、10%の直接税額控除と、10%の直接みなし税額控除が認められることになります。

さらに企業所得税率の引き下げ(33%→25%)も間接みなし外国税額控除の適用に影響を与えます。現在、日本企業の子会社が中国で優遇税制を享受していれば、現行法に基づき企業所得税率33%から優遇税率を差し引いた税率に相当する中国の法人所得税について間接みなし税額控除を実施することが可能です。新≪企業所得税法≫の施行により、現地法人が新法の移行措置として引続き減免を適用した場合、企業所得税率が33%から25%へと低くなるため、間接みなし税額控除額の効果は現在よりは減少することになります。

このように、新≪企業所得税法≫の施行により、中国の現地法人で税制の優遇措置を受けていたケースにおいて税負担の増加が余儀なくされるのは言うまでもありませんが、これまで免税とされた配当にかかる源泉所得税が課税されるうえ、親会社側の間接みなし税額控除も、企業所得税率の低下に伴い減額となるなど、現地法人・親会社の両サイドにおいて税負担が実質的に増加する可能性も考えられるため、今後、現地法人から日本への利益還流の手法について再検討をすべき時期に来たと考えます。ケースによっては専門家の知恵も借りたスキームへの見直しも必要と言えるでしょう。
以上
(トーマツ チャイナ ニュース 2007年7月号より抜粋)
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