| トピックス 2007.5.10 |
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| 製造業の新興市場における事業革新(2007年度調査結果レポート) |
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| デロイト トウシュ トーマツ編著/抄訳:トーマツ マニュファクチャリング インダストリー グループ |
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はじめに
このトピックスは、デロイト トウシュ トーマツ(以下、DTT)のマニュファクチャリング インダストリー グループが編集した「Innovation in Emerging Markets 2007 Annual Study」を抄訳したものである。
DTTのマニュファクチャリング インダストリー グループが今回行った調査の結果、新興市場では、その市場規模と著しい成長率の高さにも関わらず、意外にも多くの製造企業が新興市場で経営目標を達成できていないことが明らかになった。新興市場での収益目標や経営目標に「非常に成功している」または「とても成功している」と答えた企業の数は回答全体の約半数以下にとどまった。
今回の調査は5つの新興市場(中国、インド、東南アジア、ラテンアメリカ、東欧)にフォーカスし、そこで事業を開始した、もしくは事業を拡大した製造企業が直面している経営課題に焦点を当てた。この調査は2006年昨年末DTTで世界31カ国の企業幹部446名に対して実施したアンケートと、主要製造企業8社へのインタビューなどの結果に基づいており、3月14日に「新興市場における事業革新に関する2007年度調査(Innovation in Emerging Markets 2007 Annual Study)」という調査結果レポートとして発行されている。
調査に参加した企業のうち、中国展開しているのは59%、東欧、東南アジアやラテンアメリカ展開は約35%、インドについては約25%となった。ここ数年内に中国での展開・拡大を図ると答えた企業は全体の2/3で、他の地域についても全体の半数以上が展開・拡大を考えていることがわかった。
※なお、今回の調査には日本からも22社の参加をいただいており、ご協力いただいた方々にはこの場を借りて厚くお礼申し上げる。
※新興市場を対象にした調査結果レポートは、2006年度に発行された「新興市場における事業革新:事業を成功させるための戦略(Innovation in Emerging Markets:Strategies for Achieving Commercial Success)」に続く2度目となる。2006年版(英語)はこちらからご覧いただきたい。
新興市場での成功要因
調査結果から判明した新興市場での成功要因としては、現地市場の知識を蓄積し、特有のニーズに対応する戦略策定の必要性を認識することだ。調査の結果、経営目標達成のため、特に成功を収めている企業には下記のような傾向があった。
(1)それぞれの市場に適した、新しい技術の獲得と組織構造の策定
(2)親会社からの影響力を行使しながらも、権限付与による現地主義を促進
(3)一人当たりGDPが相当低いことを利用して、新興市場における顧客のニーズに合った、低コスト製品の開発
日本、北米、ドイツなどの先進国のビジネス・モデルを新興国であるロシア、インド、中国にそのまま持ち込むことでは成功は期待できず、その新興国に特別なモデルを開発することが重要であり、現地の文化、経済を理解することが、企業の長期的な利益を伴う成長に重要であると考えられる。
今回の調査では新興市場における経営課題の中でも重要と考えられる、人材マネジメント、リスクマネジメント及び事業モデルについての企業の傾向を分析している。
人材マネジメント
新興市場における製造企業の進出は、かつては安い労働力、材料や部品の調達によるコスト削減が主な目的だった。しかし今回の調査の結果、現在こうした地域は、製品やサービスの戦略的成長市場そのものであると同時に、事業革新の起点であると考えられている。調査によると新興市場投資の第1の理由は収益の増加と市場シェアの獲得であり、全体の84%がこの点で「非常に」または「とても重要である」と答えている。第2の理由はコスト削減で77%、それに続き廉価な部品調達等、市場への接近、収益源の多様化、人材の確保などが上位に挙げられた。
こうした認識の変化の結果、新興市場に、複雑な製品製造、研究開発、営業などのより卓越した事業を移転する企業は増加傾向にある。こうした業務は技術力のある人材が不可欠であり、先進国と同様こうした新興市場でも人材不足が大きな問題となっている。このため多くの企業は、増加する離職率と人件費の課題に直面し、優秀な人材を惹きつけ、確保しようと競争している。
製造企業は現地の実情に沿った人事方針を立てなければならず、それはただ単に高額の給料を提示することではない。調査によると、主な人材雇用・維持戦略として第1に挙げられたのは、トレーニング63%、報酬63%、次にキャリアチャンスを与える59%、表彰や評価53%の順だった。
リスクマネジメント
人材確保以外にも製造企業は、新興市場において知的財産の保護、各国の法・規制問題、地域独自の課題などのなじみのないリスクや問題にも直面している。こうした問題を受けて、DTTのグローバル マニュファクチャリング インダストリー グループは、新興市場展開を図る製造企業は「リスク対応型組織」になる必要があると提唱している。リスク対応型組織とは、全てのリスクを抽出し、その個別リスクを包括的な一つのリスク評価に集約する企業である。従業員に対しその国の慣習と文化に合ったリスクマネジメントの習慣を備えさせることもまた不可欠で、企業は新興市場参入前だけでなく、参入後も継続的にリスク評価を行う必要があると考える。
しかしながら今回の調査で、リスクマネジメントの実施状況は企業によって差異が見られることもわかった。新興市場参入前に詳細なリスク評価を行った企業は回答者のうち56%のみ、業務の進展に合わせてリスクを評価している企業は45%にとどまった。
事業モデル
新興市場での事業モデルについては、ジョイントベンチャーや第三者契約によって初期参入を図る企業が多い中、今回の調査では進出当初から完全子会社を設置していると答えた企業が60%にのぼった。強力な統制管理、能力向上の可能性、意思決定の速さといった利点が考えられる。同時に、初期段階からの投資が最も一般的ではあるが、今回の回答者の多くは、新興市場における状況に応じ、必要投資規模、製品化の時間、市場の潜在チャンス、規制条件などに合わせて様々な事業モデルを利用するとしている。
キーメッセージ
「重要なことは、自社のコアコンピテンスを常に自覚し、収益率の高い成長を続けるための適切な戦略をとっていくことである」「今回の報告は、新興市場への進出を図る多くの企業にとって、本社の方針を新興市場で具体化して展開することの難しさを明らかにしている。全世界ベースで事業が複雑化する今、製造企業は多様なビジネス地域で経営し、かつ統合していく大きな課題に直面している。こうした中で成功を収めるには、事業を展開するそれぞれの地域において現地特有のニーズに適応した事業運営を行っていくことが不可欠である。」とDTTのグローバル マニュファクチャリング インダストリー グループの最高責任者であるGary Colemanは語っている。 |
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| 以上 |
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| 「Innovation in Emerging Markets 2007 Annual Study」の原文(英語)はこちらからご覧ください。 |