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行政経営 コラム 2006.1.11
パブリックセクターウィンド vol.1 新市長の挑戦
本部パブリックセクター 公認会計士 森田 祐司
今年春、私のオフィスをA市の新市長であるB氏が訪ねてきた。A市は平成17年初頭に複数の町が合併してできた市であり、B氏は県議、参議院議員、JAの組合長を経た後、新しいA市の市長になった方である。
「A市のデューデリジェンスをやってほしい」という市長の言葉に、私はとても頼もしく、またうれしい気持ちでいっぱいになった。デューデリジェンスとは、企業が他社を買収する場合や、新たな経営者が自らの経営責任の範囲を明確にするため、企業の財政状態を徹底的に調査することをいい、民間企業では必須のものである。
もう、5年くらい前になるであろうか。平成の市町村合併推進が進んできたころ、バランスシートや行政コスト計算書に代表される企業会計的な手法で自治体の財政状態や行政コストの状況を総合的に把握するという手法が、合併対象自治体の現状分析に使えないかとの検討をいくつかの合併検討自治体と行ってきた。しかしながら、実際には有効に機能しなかった。そのひとつの原因は、未だ自治体会計に企業会計的手法を導入する動きが本格的になっておらず、その効果についての認識が広がっていなかったこともあるだろうが、主な原因は「財政状態や行政コストの状況があまりにも明らかになると、かえって合併が進まない」という寂しいものであった。
既に市民権を得た「マニフェスト」においても、政権を預かり、一定期間後にどのような財政状態にするかを約束するためには、政権を預かるスタートの状態を明らかにしなければ責任ある約束はできない。マニフェスト策定において現状の適切な把握は基本であるが、残念ながらそのような取り組みはなかなか進んでいない。
B市長率いるA市においては、過去に遡って企業会計的手法を活用した旧町の財政状態や行政コストなどを把握し、民間企業で行うようなデューデリジェンスのプロセスの一つである財政の総合的な分析を行った。そして、地方自治体が今後進むべき方向を示す「総合計画」を市長就任後3か月で策定し、更に、合併後の新市についての財政状態や行政コストの将来目標を設定し、「第1次A市行政改革大綱(集中改革プラン)」を平成17年中頃にスピード策定するなど、これに向けた計画や改革が着実に始まっている。今後の進展が楽しみである。
以上
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