Deloitte.
トーマツグループ トーマツ
Home サービス ニュース&ナレッジ セミナー 出版物 グループ案内 コラム 問い合わせ サイトマップ
Home > ニュース&ナレッジ > パブリックセクター > 地方自治体 > 公会計改革 コラム 2006.5.10
ニュース&ナレッジ
パブリックセクター
地方自治体
公会計改革 コラム 2006.5.10
地方公共団体におけるバランスシート作成の現状と課題
【第2回 バランスシートから何が分かるのか?】
公認会計士 小室 将雄
前回は、バランスシートや行政コスト計算書作成の意義について述べ、最後にこれらは「地方公共団体の財政状況をより多面的に把握する糸口になる」と締めくくった。では、具体的にどのようなことが分かるのか、事例を交えながら考えてみたい。

自治体の首長や職員からは、バランスシートや行政コスト計算書について、「今まで分からなかった多くのことが明らかになる」、「バランスシートは万能ツールとなりうる」といった大きな期待が寄せられる一方、「総務省方式のバランスシートは正確性に欠けるなどの欠点があるため、まったく使い物にならない」などといった批判的な意見も聞かれる。なるほど、総務省方式のバランスシートや行政コスト計算書だけでは、思ったほどの情報を得ることはできないが、まったく使えないというものでもない。すなわち、このような期待や批判は、バランスシートや行政コスト計算書が果たす役割についての認識誤りによるところが大きいと思われる。

ここで、本コラムの読者の方々にまず念頭に置いていただきたいことは、バランスシートや行政コスト計算書は、「作成団体の財政状態やコスト発生状況についての特徴点(異常点)を見出すためのツールである(にすぎない)」ということである。
健康診断にたとえていうならば、「自身の肥満度がどの程度なのか」とか、「同年代と比べて血圧は高いのかどうか」、「この10年で血圧はどう推移してきたのか」といったようなことがわかるということである。しかし、「血圧が高い」という結果が出た場合に、遺伝によるものなのか、生活習慣によるものなのか、といった原因は個人ごとに千差万別であり、問診やより詳細な検査をしない限り、探ることはできない。
バランスシートや行政コスト計算書も同様である。「全国市区のバランスシート調査」で、『住民一人当たり実質負債』が全国ランキングで上位に位置していることが分かったとしても、その原因が「大規模な自然災害」や「市町村合併」のような特殊事情なのか、単なる負担先送りの結果なのかは、より詳細な分析をしない限り見えてこない。そのため、「将来の交付税措置等を無視して算出される『住民一人当たり実質負債』を他団体と比較してランキングすることは、住民の誤解を招くことからするべきではない」という声もあるようである。しかし、それは「高血圧と判定された場合、いくつかの原因が複雑に絡み合っているため、患者の混乱を招くことから血圧測定はすべきではない」といっていることと同じである。その結果を真摯に受け止め、原因を追究し、今後どう対応していけばよいかを考えるべきなのである。

では、具体的にどのようなことがバランスシートや行政コスト計算書から分かるのか、下表で例示的に示してみた。

  経年比較 他団体比較
バランスシート どのような資産形成が行われてきたか、将来世代の負担がどのように変化してきたかなど、その団体の特徴を知ることができる。 資産規模・将来負担の状況などについて、自団体の位置づけがどの程度であるのか知ることができる。
【分析例】
最近10年間で駅前再開発やスポーツ施設の整備を進めたため、資産規模は1.5倍になった。一方で、多額の起債も行ったため、将来世代の負担割合は高まる結果となっている。
【分析例】
他団体と比較して住民一人当たり資産・負債ともに相対的に大きいが、職員の退職手当支給に備えた基金を多額に積み立てているため、実質的な将来負担は相対的に小さい。
行政コスト
計算書
どのような分野のどのような性質の経費が増減しているのか、収入項目とのバランスは取れているのかなどを知ることができる。 コストの発生状況などについて、自団体の位置づけがどの程度であるのか知ることができる。
【分析例】
最近5年間で児童手当の拡充や介護保険事業会計への繰出金が増加しているため、民生費の割合が大幅に上昇している。
【分析例】
他団体と比較して住民一人当たり行政コストが大きいが、その大きな要因は人口1,000人当たり職員数が多い人件費である。
比較にあたっての留意点 たとえば5年以上など、ある程度の期間の比較を行うことが有用である。 住民一人当たり数値、各種比率を近隣類似団体あるいは地理的特性が近似した類似団体と比較することが有用である。

このように、バランスシートや行政コスト計算書を作成・分析することで、自団体の特徴を把握する土台が整えられる。したがって、ランキング結果に一喜一憂したり、ランキングの実施自体を否定するのではなく、なぜそのようなランキング(もしくは数値)になっているのかを把握・分析し、今後の行財政運営に活用していく姿勢が重要といえるのである。

※本文中の意見に関わる部分は私見である。
以上
⇒『第3回 バランスシートは万能か?』に続く
English 安全確保の措置 利用規定 プライバシーポリシー コンプライアンス・ホットライン
▲ページトップ
Member of Deloitte Touche Tohmatsu
Copyright (c) 2009 Deloitte Touche Tohmatsu, Tohmatsu Tax Co. All rights reserved.
Deloitte(デロイト)とは、スイスの法令に基づく連合組織体のデロイト トウシュ トーマツおよび相互に独立した個別の法的存在であるネットワーク組織のうちのメンバーファームのひとつあるいは複数を指します。デロイト トウシュ トーマツとメンバーファームの法的な構成についての詳細は、www.tohmatsu.com/deloitte/ をご覧ください。
 
RSSフィード トーマツグループ ヘッドライン RSSによりトーマツWebサイトの最新情報をご案内しています。
RSSフィード RSSとは