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| 公会計改革 コラム 2006.11.29 |
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| 地方公会計改革に向けた地方公共団体における具体的対応策 |
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| 公認会計士 小室 将雄 |
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1.地方公会計改革に関する最近の総務省をはじめとした国の動向
『地方公共団体におけるバランスシート作成の現状と課題 【第3回 バランスシートは万能か? 〜新地方公会計制度研究会などの動向も踏まえて〜】』(2006.7.12)において、「骨太の方針2006」までの地方公会計に関する動向を紹介した。その後も、「地方行革新指針」が公表されるなど、取組みはさらに具体化されてきている。そこで、これらの動きに関して趣旨などを含め簡単に整理したい。
(1)新地方公会計制度実務研究会の発足(平成18年7月11日 総務省)
地方公共団体の公会計整備について提言した「新地方公会計制度研究会報告書」を踏まえ、同報告書で示されたモデルの実証的検証及び資産評価方法等の諸課題について、有識者等により実務的な観点から検討を行うため、「新地方公会計制度実務研究会」が設置された。
同実務研究会では、公会計モデルの実証的検証、資産評価の実務指針、財務書類の体系整備などが議論されることとなっている。これらのうち、公会計モデルの実証的検証については、岡山県倉敷市が「地方公共団体財務書類作成にかかる基準モデル」を、静岡県浜松市が「地方公共団体財務書類作成にかかる総務省改訂モデル」を活用して、検証作業を行っているとのことである。第2回の同実務研究会配布資料によると、これらの検証作業を踏まえた形で作成マニュアルが取りまとめられ、各地方公共団体への実務普及が図られるようである。
(2)「地方行革新指針」の公表(平成18年8月31日 総務事務次官通知)「骨太の方針2006」を踏まえ、「地方公共団体における行政改革の更なる推進のための指針(以下、「地方行革新指針」という。)」が公表された。これは、平成17年3月に公表された「地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針」の続編であり、集中改革プランの公表などと同様、その対応が求められる指針であるといえる。地方行革新指針では、以下の3つの改革の推進が求められている。
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(a)総人件費改革
職員数や給与にとどまらず、第三セクター等の人件費改革にまで踏み込んでいることが特徴である。
(b)公共サービス改革
行政改革推進法、公共サービス改革法及び「骨太の方針2006」を踏まえ、いわゆる「事業仕分け」や市場化テストの積極的な活用などが求められている(これについては、別稿にて詳述したい)。
(c)地方公会計改革(地方の資産・債務管理改革)
行政改革推進法、「骨太の方針2006」を踏まえ、公会計の整備と資産・債務管理が明記された。
公会計の整備については、「新地方公会計制度研究会報告書」で示された、普通会計ベースおよび連結ベースの4表、すなわち貸借対照表、行政コスト計算書、資金収支計算書、純資産変動計算書を3年後ないし5年後までに整備することとされている。資産・債務管理については、4表の財務書類の作成・活用等を通じ、資産・債務の適正な管理を進めるとともに、未利用財産の売却促進や資産の有効活用等を内容とする改革の方向性と具体的な施策を3年以内に策定することとされている。 |
(3)資産債務等専門調査会報告―中間整理―(平成18年9月22日 経済財政諮問会議)
経済財政諮問会議の資産債務等専門調査会では、その中間整理の「公会計改革」の項目において、「新地方公会計制度研究会報告書」に基づく財務書類の整備などの取組みを通じて、将来的には、国と地方が整合性のとれた財務書類を作成し、国や地方の財務状況が通覧できるようになることが期待される、とされている。
そのうえで、公会計・財務書類の予算編成等への有効活用の方策について2年を目途に結論を得るとともに、その基礎となる財務書類の信頼性を担保する観点から、こちらも2年を目途に財務書類の監査のあり方について結論を得ることとされている。
(4)新しい地方財政再生制度に向けて―方向性の提示―(平成18年9月25日 新しい地方財政再生制度研究会)
総務省が所管する「新しい地方財政再生制度研究会」では、「骨太の方針2006」を踏まえた再建法制等の適切な見直しや「地方分権21世紀ビジョン懇談会報告書」の考え方を踏まえた新しい地方財政制度の法制化に向けた枠組みとしての制度の概要について検討されている。そして、その第4回の研究会において、標記のペーパーが提示された。
この中で、早期是正や再生スキームの検討と密接な関係を有する公会計改革については、「新地方公会計制度研究会報告書」を前提とするとされている。また、早期是正や再生スキームを念頭においたフロー指標・ストック指標については、その基礎データの開示を求めるとともに、指標の正確性等を担保するための監査機能のあり方等の必要な措置を検討すべきとしている。さらに、健全性の基準を下回り、早期是正スキームの対象団体となった場合、速やかにその要因等を分析し、財政健全化計画を策定することとされている。
この対応策は、本来「集中改革プラン」の策定段階で取り組んでおくべきものであるが、現実に実施している団体は、まだ少数派であろう。また、要因等の分析を毎年の決算公表時に合わせて行うのが有効であることは、民間企業経営の例を見ても明らかであるが、これについても同様である。今後の各団体の取り組みに期待したいところである。
2.「地方行革新指針」を踏まえた地方公共団体における当面の対応策
「地方行革新指針」が公表されて以降、筆者のもとに地方公共団体の職員の方々から「これから具体的にどのように対応していったらよいのか?」といった質問が寄せられることが多い。そこで、「地方行革新指針」が示す3年後までに4表を整備することをターゲットに、筆者が考える具体的対応策を記してみたい。
(1)平成18年度〜平成19年度
上述のとおり、「新地方公会計制度実務研究会」において、2団体での検証作業の結果を踏まえた作成マニュアルが公表されることとなっているため、それまでは現行総務省方式に基づくバランスシート等の作成を行っておけばよいと考える。なぜなら、2つのモデルのうち「地方公共団体財務書類作成にかかる総務省改訂モデル」については、現行の総務省方式をベースに提示されたものであるため、基礎データ等は総務省方式の大部分が活用可能と考えられるためである。
すなわち、平成19年度中には、総務省方式のバランスシート等の作成に加え、新たな作成マニュアル(「新地方公会計制度実務研究会報告書(筆者想定)」)の研究、売却可能資産として開示する対象資産の洗い出しや評価作業など必要データの整理、場合によっては4表の試作まで取り組むことが考えられよう。
(2)平成20年度
平成19年度は準備期間と位置づけられるが、平成20年度は普通会計4表の作成に取り組むことが適当である。そして、連結4表に向けたデータ整理、たとえば連結範囲に含められる会計や団体の確定、過年度も含めた決算書等の入手などを行うことが考えられる。もちろん、連結4表の試作まで取り組むことができれば、なおよいであろう。
(3)平成21年度
平成21年度は、普通会計4表に加え、連結4表の作成に取り組むこととなる。それなりの作業ボリュームとある程度高度な会計知識等が求められるため、計画的に取り組んでいくことが必要であると考える。少なくとも財政担当者に簿記知識は不可欠であるため、一定程度の研修受講等の機会が必須であろう。
3.新地方公会計制度研究会報告書を活用した静岡県浜松市の実践事例
現行の総務省方式にせよ、新たな作成マニュアルにせよ、総務省から示される指針は、あくまでもミニマムスタンダードであり、各団体の置かれた環境や対処すべき課題、住民の情報開示ニーズの程度などによって、適宜カスタマイズしていくことが必要と考える。
静岡県浜松市は、前述の「地方公共団体財務書類作成にかかる総務省改訂モデル」のモデル団体になる以前より、浜松市行財政改革推進審議会の「公会計への企業会計手法の導入」との答申に基づき、浜松市新公会計制度研究会を設置し、全国で最初の普通会計4表の作成をはじめ、精力的な取組みが進められている。
浜松市新公会計制度研究会では、全面公開の場で7回の研究会が開催され、「体系」としての公会計改革の必要性などに言及した、具体的かつ厳しい報告書が提出された。この報告書は、浜松市における今後の取組みの指針となるものであり、また、他団体における取組みにも大いに参考になると考えられる。非常に興味深い取組みであるため、実際に何を目指したものなのか、どのような点に特徴があるのか、などについても別稿にて詳述したい。
浜松市は平成17年7月に12市町村が合併して誕生した市であり、旧市町村は中核市から人口数千人の町村までバラエティに富んでいるため、全国自治体への普及を図るために行われているモデルの実証的検証結果が楽しみである。
※本文中の意見に関わる部分は私見である。 |
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| 以上 |
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