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行政経営 コラム 2008.5.28
「自治体にも内部統制」の時代
公認会計士 森田 祐司
民間企業で内部統制報告制度がスタートした平成20年4月、総務省に設置された「地方公共団体における内部統制のあり方に関する研究会」により中間報告(論点整理)(以下、「報告書」という)が公表された。報告書の「はじめに」にも記載のとおり、地方分権、行財政改革、不祥事、財政健全化法など地方公共団体を巡る環境変化は著しく、これらを踏まえて、今、自治体の内部統制のあり方について議論を喚起することは大変時機を得たものである。
そこで、報告書で検討されている内部統制の意義における「自治体を取り巻くリスク」と内部統制の4つの目的(「業務の有効性と効率性」「財務報告の信頼性」「法令等の遵守」「資産の保全」)について今後更に議論を深めることが望まれる論点をあげ、今後の議論の進展を見守りたいと思う。

1.自治体を取り巻くリスクとは何か
自治体の内部統制のあり方を議論するに当たっては、まず自治体を取り巻くリスクを識別しなければならない。それでは、自治体にとってのリスクとは何だろうか。「住民の福祉と安全が脅かされること」「財政が破綻してしまうこと」といった考え方があるだろう。しかし、自治体にはそのリーダーを選挙で選ぶという制度、すなわちガバナンス機能があるため、そのようなリスクが現実になる前に、現在の行政の継続に住民が「NO」ということができる。そう考えれば、住民の福祉や安全が脅かされつつあるにも関わらず、あるいは財政破綻が迫っているにもかかわらず、そのような状況を主権者たる住民が把握できず、適切なガバナンスを効かすことができないこと、すなわち、「適切な行政経営情報が十分に住民に説明されていないこと」がリスクであるという整理ができる。民間企業の社会的使命やガバナンス構造を前提に構築された内部統制概念を元に自治体向けにアレンジすることでも、ある程度の機能発揮は期待できるが、根本的な論点が欠落するおそれがあると考える。
ここに、INTOSAI(各国の会計検査院が加盟している最高会計検査機関国際組織)が発表している「公的機関の内部統制ガイドライン」(PDFファイル)において、公的機関の内部統制目的の一つに「アカウンタビリティ」をあげ、民間企業の内部統制目的の一つである「財務情報の信頼性」の範囲を非財務情報に拡大している意義が見出せると思う。

2.業務の有効性と効率性
競争原理やコスト意識が働きにくい自治体行政活動においては、4つの内部統制の目的のうち「業務の有効性と効率性」が重要であることに異論はない。その際にはとりわけ、不必要な政策や事業が行われることに対する内部統制がまず先に論じられるべきであることは自明である。そのためには、多くの自治体で行われている行政評価を内部統制のひとつとして捉えて、改めてその機能発揮に取り組むことが期待されるところである。

3.自治体における資産保全とは
自治体の資産には、「使う資産」すなわち行政サービス提供が期待できる資産と、「回収する資産」すなわち将来キャッシュフローが期待できる資産がある。特に前者は民間企業会計の資産概念にはない考え方だが、自治体の資産に占める金額的重要性は圧倒的に大きい。従って、内部統制目的として「資産の保全」を議論する場合においても、この2種類の資産概念を踏まえて考える必要がある。

意見に関わる部分は筆者の私見である。
以上
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