Deloitte.
トーマツグループ トーマツ
Home サービス ニュース&ナレッジ セミナー 出版物 グループ案内 コラム 問い合わせ サイトマップ
Home > ニュース&ナレッジ > パブリックセクター > 地方自治体 > 行政経営 トピックス 2004.2.18
ニュース&ナレッジ
パブリックセクター
地方自治体
行政経営 トピックス 2004.2.18
PPPによる行政マネジメント改革 第2回 PPPにおける行政マネジメントの体感
公認会計士 森田 祐司
I PFI/PPPとは
PFI(Private Finance Initiative)とは、狭義に解せば「公共施設等の建設、維持管理等を民間の資金を活用して行う手法である」といえる。しかし、公共施設建設事業は建設すること自体が目的ではなく、これを活用して行政サービスを提供することに目的がある。また、建設、維持管理、運営を通じた行政サービスの提供の過程において活用されるのは民間の資金だけでなく、資金調達能力、技術能力、経営能力などの民間の持つ知的財産である。したがって本稿ではPFIを「行政サービスの提供に民間の資金・知的財産を活用すること」と定義しておくこととする。

一方、PPP(Public Private Partnership)とは、直訳すれば官民共同となるが、具体的にはPFIを含むアウトソーシングや民間委託などをいう。PPPは民間を活用した行政サービスの効率化をもたらすとともに、民間企業に新たなビジネスチャンスを与えることが期待される。本稿ではPFIを包含する概念としてPPPを用いることとした。

PPPは単に行政執行手法にとどまらず、VFM(注1)、SLA(注2)、LCC(注3)、リスクの定量化(注4)など行政マネジメントに不可欠な機能を含むものであり、NPMと同様にイギリスで誕生したものである。わが国においてもPFI推進法や小泉構造改革により導入が推進され、地方公共団体が先行する形で活用が進んできている。

注1: VFM(Value for Money):一定のコストのもので、より価値の高いサービスを提供しようとする考え方。PPPにおいてはサービス価値を一定に定義することにより、どのような執行形態が最も財政負担を軽減できるかの指標となる。
注2: SLA(Service Level Agreement):提供されるべき行政サービスについての行政と民間事業者間の同意書。ここで定義されるサービスレベルを個々の作業レベルから成果レベルに近づけることで、執行段階での創意工夫の余地が生まれてくる。
注3: LCC(Life Cycle Cost):PPP契約期間全体を通じた財政負担の現在価値合計。
注4: リスクの定量化:事業の実施にともなって発生するリスクを負担する代償として得るべき対価の額。PPP検討対象事業のVFMを測定する時に考慮される。

II PPPにおける行政マネジメントの体感
行政マネジメントの(PDCAの各機能を改革改善することによる)システム改革とともに重要なのが、意識改革である。行政マネジメント改革で求められる意識改革としては次のようなものがある。

(1)前例主義・形式主義から目的志向へ
現状の仕事ありきで、その目的を意識することなく形式的な前例を踏襲するという考え方は、画一的な価値観のもと行政機関の役割に変化がない時代には有効に機能した。しかし、この意識のままで行政マネジメントシステムを改革しても、その形式的な手続き遵守のみに追われて変化に対応できない。その結果、誰も利用しない行政サービスが延々と続けられることになる。
仕事の目的を明らかにし、常に現在の仕事やそのやり方を目的達成の観点から見直す意識が求められる。

(2)供給者側の論理から顧客志向へ
仕事をやり遂げることのみに関心が集中すると、その目的を見失うと同時に、行政サービスの受け手である国民の視点をも見失うことになる。行政機関の目的はどれだけの行政サービスを提供したかではなく、その結果、国民がどのようになったかである。顧客志向は目的を適切に設定する上でも不可欠の考え方である。

(3)予算消化主義からコスト志向へ
行政機関に与えられる受託責任は予算という形で表されるため、予算遵守は受託責任を果たすことであり、予算を使い残すことはやるべき仕事をしなかったことであるという意識は根強い。もちろんこの考え方は現行の行政機関に対するガバナンス構造からして正しいともいえる。しかし、形式的な歳入・歳出に目を奪われる結果、予算策定時にはマネジメントされていた負担とコストと受益の関係が、厳しい社会環境変化で崩れていることを見逃すことになる。これを回避するために、常に発生主義によるコストを意識し、コストが負担と受益それぞれとの関係においてどのような状況になっているかを意識する必要がある。

(4)単年度主義からライフサイクル志向へ
行政機関の行う事業は、行政サービスの特徴上、長期間にわたり継続するものが多い。言い換えれば一度着手した事業を途中で止めたり変更したりすることには相当な困難をともなう。にもかかわらず前述の予算制度の弊害から単年度主義による意思決定のもと事業着手されるのが一般的である。その結果、翌年度以降、多額の維持修繕費負担に苦しむ行政機関は多い。事業計画を行う際の受益とコストと負担は、事業実施期間全体を視野に入れてマネジメントする必要がある。

(5)無謬神話からリスクマネジメントへ
行政機関に誤りがあってはならない。行政サービスに求められる公共性や公平性に照らして、これは正しい考え方であるが、無謬性の追求は、実際には不可能であるか、非常に不効率となる。公共性や公平性に対する価値評価は簡単ではないが、ある程度の犠牲を認めることによるコスト効率性の追求は、これからの行政にとって不可欠な考え方である。このような意識改革を図る上でPPPが持つ特徴がどのように作用するかを以下にみていく。これこそがPPPを活用する勘所であるともいえる。

イ.目的志向・顧客志向
PPPにおいては対象事業で達成すべき目的・目標が明らかにされ、その手段として最も効率的な(より高いVFMが得られる)執行プランが選択される。この時、民間事業者のノウハウを有効に活用するためには、事業の個々の作業内容ではなく、対象事業の受益者に対する成果達成を契約することが望まれる。PPPを官民ともに有効活用しようとする過程において、目的志向、顧客志向が推進される。

ロ.コスト志向・ライフサイクル志向
PPPでは契約期間全体での財政負担を、さまざまな執行手段間で比較検討するプロセスが含まれるため、コスト意識やライフサイクルの視点は必須のものとなる。

ハ.無謬神話からリスクマネジメントへ
PPPは長期間の事業継続を前提とするため、当初予定していなかった社会環境の変化や前提条件の変化を無視することはできない。言い換えれば当初の予定どおりに進む可能性は少なく、事業遂行上のさまざまなリスクの存在を前提としてプランニングが行われることになる。リスクの顕在化が計画の失敗とはいえないが、いわば失敗を前提としていかにこれを極小化し、さらに残ったリスクを契約に織り込み、管理していくというPPPにおけるリスクマネジメントのプロセスは、行政の意識に与える影響は大きい。

そもそも行政におけるリスクマネジメントはリスクアセスメントから始まる。その結果は図1のように表わされる。行政機関にとって重要なのは「許容できないリスク」の軽減策の立案実行とともに現状のリスクアセスメントの状況とその対策状況を説明することである。PPPにおける契約当初に認識されたリスクはその負担者が民間事業者の場合には行政が支払う対価算定に含められ、行政が負担すべきリスクはPPPのVFM算定時に考慮されて、それぞれPPP契約に織り込まれている。行政にとってなじみの薄いリスクを契約という形で明らかにすることで行政におけるリスクマネジメント意識の高揚が図れる。さらにその後は、モニタリング等により継続的なリスクマネジメントを行うことが求められる。このようなPPPのプロセスはリスクマネジメントに関する行政機関の説明責任のあり方を示唆しているものであるといえる。

許容不可能なリスクをPPPにより軽減
以上
『リスクマネジメントBusiness』(株式会社ダイヤモンド国際経営研究所/2003年10月号)森田祐司執筆分より抜粋
English 安全確保の措置 利用規定 プライバシーポリシー コンプライアンス・ホットライン
▲ページトップ
Member of Deloitte Touche Tohmatsu
Copyright (c) 2009 Deloitte Touche Tohmatsu, Tohmatsu Tax Co. All rights reserved.
Deloitte(デロイト)とは、スイスの法令に基づく連合組織体のデロイト トウシュ トーマツおよび相互に独立した個別の法的存在であるネットワーク組織のうちのメンバーファームのひとつあるいは複数を指します。デロイト トウシュ トーマツとメンバーファームの法的な構成についての詳細は、www.tohmatsu.com/deloitte/ をご覧ください。
 
RSSフィード トーマツグループ ヘッドライン RSSによりトーマツWebサイトの最新情報をご案内しています。
RSSフィード RSSとは