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公会計改革 トピックス 2007.6.6
自治体財政健全化法案についての誤解
本部パブリックセクター 公認会計士 森田 祐司
自治体財政健全化法案(以下、「財政健全化法案」という。)については、いくつかの誤解をもって捉えられている感がある。財政判断指標の内容・意味についての誤解と、地方公会計制度整備との関係についての誤解である。

1.財政判断指標についての誤解
動き出した自治体財政健全化法』(2007.5.30)で解説したとおり、財政健全化法案では、普通会計の「実質赤字比率」に加えて、公営企業まで含めた赤字の比率である「連結実質赤字比率」、借金残高の財政負担である「実質公債費比率」、公社・三セクに対する将来的な税金負担である「連結将来負担比率」という4つの指標を算定・公表し、その結果に基づき種々の措置がとられる。
このうち、「連結」と名のつく2つの指標について次の点で誤解があることが多い。

●連結実質赤字比率の「連結」は、普通会計に公営企業等までを含めたものであるが、地方公共団体とは別法人等である一部事務組合、地方三公社、地方独立行政法人、三セクは含まない指標である。

●連結将来負担比率の「連結」は、普通会計に公営企業等を含み、更に、当該地方公共団体とは別法人等である一部事務組合、地方三公社、地方独立行政法人、三セクまでを含むものの、それら普通会計以外のもつ負債の全てを指すのではなく、普通会計が将来的に負担することになる負債に限定して算定される指標である。

●したがって、自治体財政健全化法での「連結」指標は、現在検討されている新地方公会計制度に基づき作成される連結財務諸表とは概念が異なるものであり、ストック指標といえども連結貸借対照表などから算定される指標ではない。

2.新地方公会計制度との関係についての誤解
それでは、今回の法案は、地方公会計制度整備とは関係のないものなのであろうか。答えはNOである。『動き出した自治体財政健全化法』(2007.5.30)で述べたとおり、財政健全化法案は、財政状態の悪い自治体に黄色信号や赤信号をつけること自体が目的ではなく、そのような自治体に経営改革を迫り、早期の財政健全化・再生を達成するための法案であることを忘れてはいけない。
黄色信号による財政健全化計画や、赤信号による再生計画の立案に当たっては、まず、地方公会計制度整備で目指す、連結ベースでの、フロー・ストック両面からの統合的な財政状況の把握が不可欠である。更に、それらの適切な健全化・再生計画の進捗管理にあたっても同様の財政状態の継続的な把握が不可欠である。
最後に、黄色信号も赤信号もつかなかった自治体について付言しておきたい。ひとまずはご同慶の至りであるが、将来の見通しはどうであろうか。住民や議会に対しては、中・長期的な視野での各財政判断指標の見通しを明らかにしておくことが求められるであろう。いずれにしても、連結ベースでの、フロー・ストック両面からの統合的な財政状況の継続的把握を行うため、地方公会計制度整備も待ったなしといわざるを得ない。

監査委員の重い責任 〜自治体財政健全化法を機能させる〜』(2007.6.13)では、財政指標の信頼性を確保するための監査委員の審査について解説したい。

※本文中の意見に関わる部分は私見である。
以上
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