| ニュース&ナレッジ |
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| 情報・メディア・通信 (TMT:Technology, Media & Telecommunications) |
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| トピックス 2006.7.5 |
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| Thought Leadership TMT Trends:Predictions, 2006 メディア(2) |
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| 抄訳 池末 成明、訳注 工学博士・高橋 淳一 |
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はじめに
このトピックスは、デロイト トウシュ トーマツ(以下、DTT)の情報・メディア・通信(TMT:Technology, Media and Telecommunications)グループが編集した「Prediction, 2006 A focus on the media sector」に掲載された10のテーマから、以下の3点を抜粋、抄訳したものに、訳注として私見を加筆したものです。
●メディア制作のデジタル化が進む
●ブログの商品化
●IPテレビは、従来型テレビの代替ではない
1.メディア制作のデジタル化が進む
新聞・出版・放送などのメディア・セクターでは2006年、コスト削減と増収という2つの目標のため、制作プロセスのデジタル化がさらに進むと思われます。
制作プロセスのデジタル化は、コスト削減につながります。デジタル化で、複数部門の人員が最大50%まで余剰とみなされる企業も出てくるかもしれません。記者やジャーナリストが制作プロセスの大部分を受け持つことになるため、専門の制作スタッフを抱える必要はなくなります。デジタル化の進展は、多くのメディア企業に雇用の喪失を意味しますが、コスト削減で生き残れる企業も出てきます。
●デジタル化の目的は売上増
メディア企業も、制作プロセスのデジタル化で収益源をさらに拡大できます。コンテンツのアーカイブを取り出しやすくしたり、デジタル権利の管理を自動化したり、コンテンツのデジタル化や再利用も簡単にできるようになります。
また、それぞれに適した形式(フォーマット)でコンテンツを提供することが容易になります。例えば、新聞のために取材したインタビューをポッドキャストとして販売したり、テレビやラジオのコメディをデジタル録音図書に変換したりできます。新聞記事向けに撮影した写真は、大半が印刷されないままで埋もれてしまいますが、それを世界中の通信社や消費者に配信する方法もあります。デジタル化の最大の目的は売り上げの拡大です。しかし、デジタル化と増収をどう結びつければいいのか、十分に理解しようとしない企業もあります。
Bottom line
●無視できないデジタル化
メディア制作のデジタル化は、すべてのセクターにとって無視できない動きですが、メディア企業はデジタル化のタイミングや安全管理面への配慮、プロセス変更といった細かい点までよく詰めてかかることが必要です。
デジタル化を急ぎすぎると、不安定で未熟なテクノロジーに振り回され、効率性を改善するどころか、かえって損なってしまうおそれがあります。また、価格競争の激化でテクノロジーの価格が大幅に下落しているため、拙速な投資は無駄な投資になりかねません。逆にタイミングが遅すぎると、ライバル各社が早い段階で安定した収益源を確保し、効率的なコスト構造を作り上げることに出遅れます。
●知的財産のリスク対策
制作現場の設備全般をデジタル化しているメディア企業は、年々増え続けるハッカーや知的財産の盗難といったリスク対策も講じなくてはなりません。ネットワーク・ベースで情報を保存、管理していれば、すぐにアクセスできて便利ですが、メディア企業の最も貴重な資産がコンピュータ・ウイルスや情報漏えいの危険にさらされます。
最も重要なことは、メディア企業経営者が制作プロセスのデジタル化を単なるテクノロジー刷新ととらえないことです。デジタル化には新しいスキルと新しいプロセスが求められます。制作担当部署の人間が情報技術(IT)のスキルを身につけなければならないのはもちろん、出入りの業者や正社員以外の人員もITの知識が必要です。新しいテクノロジーの導入に伴って制作全体のプロセスが見直されるため、デジタル化の影響は極めて大きいといえます。また、バック・カタログの販売に対しても認識を改め、単なる臨時収入ではなく利益の柱のひとつと捉える必要があります。
●次世代テクノロジーを見据えた経営
最後に、メディア企業は、制作プロセスをデジタル化するチャンスがいつでも目の前にあると考えるべきです。新聞セクターは25年前、デスクトップ・パブリッシング(DTP)への移行でデジタル化のプロセスは完了すると想定しました。しかし、インターネットの登場とともにウェブサイトやポータルサイト、最近ではブログといった新たなテーマが浮上しています。ダイナミックな動きは新聞セクターのみならず、出版社や放送局といったすべてのメディア・セクターに及んでおり、どの企業も、次世代のテクノロジーを見据えた経営を模索することが不可欠です。
2.ブログの商品化
2006年は、個人のウェブログ、いわゆる「ブログ」が世界全体で6,000万件を超えるとみられます。年末までにブログは毎日10万件、1秒に1件以上に増加する勢いです。ただ、個々のブログの品質や内容の妥当性、価値などは低下しそうです。ブログの中でも文章力があり、示唆に富み内容が深いものはごく少数しかなく、多くの読者の共感を得られずにすぐに止めてしまうブログが増えています。現状では、ブログの半分以上が立ち上げてから3か月以内に休眠状態となっており、1週間に1回以上内容が更新されているブログは13%しかありません。
●「ブログ・アグリゲーター」が登場
良質なブログを探すのは難しく、一般的な読者が興味のあるブログを探し出すのはほとんど不可能といっても過言ではありません。こうしたことから、ブログ探しを受け持つ新事業、すなわち「ブログ・アグリゲーター」が登場してきます。ブログ・アグリゲーターは広告代理店が資金提供するものが大半で、ネット上の無限の情報の中から高品質のコンテンツを見つけ出し、読者に配信します。登場すれば、ブログの読者は欲しいコンテンツをより早く、より簡単に見つけられるため、読者の増加につながると思われます。
また、プロのジャーナリストが多くの読者獲得のためや、勤務している会社のウェブサイトに読者を引き寄せるために自分の記事をブログに転用したり、新しいブログを作ったりする例も増えそうです。
Bottom line
●ブログは資産
ブログ人気の高まりは、メディア業界で驚きを持って受け止められています。平均的なブログの質が低いため、一時的な流行にすぎないと無視するメディア企業も多いのですが、そういう考え方は今後、事業機会を逃しかねない早まった判断となると思われます。
メディア企業は、ブログを脅威ではなく資産ととらえるべきです。ニュース・メディアは社員が書いた専門的なブログを使って、より身近な言葉で読者に訴えることができます。ブログに対する意見や感想は、記事のその後の動向についての情報提供のきっかけとなり、内容のフィードバックも即座に得られます。もちろん、メディア企業としての責任と当事者意識をもち、議論を注意深くチェックする必要があります。
ブログは、メディア企業にとって才能のある書き手を発掘する場ともなります。ブログが爆発的に増えているため、かなりの選別作業が必要になるとしても、2006年はまずブログで注目され、それがきっかけで本が出版されてベストセラーになる、という例が何件か出てくるでしょう。
3.IPテレビは、従来型テレビの代替ではない
IPテレビは今年から、通信ネットワークの運営会社を中心に世界各地でさまざまなサービスを開始する予定です。IPテレビは、コンテンツ・プロバイダーからすると多様な配信手段のひとつでしかなく、比較的小さい市場にすぎません。しかし、通信事業者には、高速インターネット・アクセス、通常の固定電話と一緒にパッケージ販売する「トリプル・パッケージ」成長戦略の中心的役割を果たすものとなります。今年はIPテレビに投資してきたバリューチェーンのすべての当事者が、投資に見合った高い収益を上げたいと考えています。
●好調に推移するIPテレビ
朗報は、2006年のIPテレビが比較的好調に推移することで、年末までにIPテレビが世界のデジタル・テレビの5%程度を占めると予想されます(図表1参照)。障害となるのは、IPベースのテレビ信号を衛星放送やケーブルテレビ並みの画質で配信できるだけの、十分な容量を持つネットワークがないことです。周波数帯域は少なくとも5メガビット/秒が必要ですが、今は標準的なテレビ放送並みの画質すら期待できません。大半のブロードバンド接続はスピードが遅いために、IPテレビで標準並みかそれ以上の画質を安定的に実現するのは難しいと思われます。

通信系のIPテレビ・サービス提供会社は、メディア・サービスの販売に不慣れなことも課題となります。大手放送局は、何十年ものコンテンツの委託と配信の経験を持ち、一部では「ビデオ・オン・デマンド」も手がけています。通信事業者にはそうした経験がありません。設立が古い通信事業者は自らが抱えている膨大な顧客ベースにIPテレビを売り込むことができ、実際にその3分の1近くを「トリプル・パッケージ」サービスに転換していますが、ここからの需要の掘り起こしは難しいかもしれません。
(訳注1)
放送の再送信やビデオ・オン・デマンドのようにコンテンツ送信という世界では、放送事業者やコンテンツ事業者の経験に基づく強みと戦うことになるので、通信事業者は苦戦を強いられるかもしれません。これを打破するためには、IPテレビのサービスに通信事業者らしい特徴、すなわち“コミュニケーション”の性格をもつ機能を盛り込むという方向性が考えられます。双方向通信という特徴を効果的に活用するという視点です。例えば、放送番組に付属する広告やドラマなどに使われる商品や企業あるいは関連の情報を、番組を見ながら、ユーザがタイムリーにアクセスして情報を得たり、問い合わせしたりして、ユーザの生活行動に関連付けるようなサービスが想定されます。このようなサービスは、IPTVのサービスのプラットフォームに所望の機能を構築する必要がありますが、新たなCRMのチャネルとして、コンシューマビジネス分野の企業などに魅力を提示できる可能性があると考えられます。
Bottom line
●IPテレビは“両刃の剣”
IPテレビは、通信、メディアの両セクターにとって両刃の剣になるとみられます。プラス面を多く引き出せるよう、IPテレビの業界は以下のような姿勢で臨むことが必要です。
| (1) |
バリューチェーンを分割する:
通信事業者とメディア企業が直接競合するような事態は避けます。協力態勢を取るほうが生産的です。 |
| (2) |
IPテレビの持ち味を理解する:
IPテレビは、対話型で付加価値の高いテレビ・サービスを提供する基盤です。しかし、より安い料金で従来型テレビと同等のサービスを提供できない限り、現行の放送技術に代わるものにはなりません。むしろ、IPテレビは、従来型のテレビを補完するというのが理想的な形といえます。業界はIPテレビの望ましい利用法を考え、消費者にとって価値があり、他のテレビにはないIPテレビ独自のサービスを開発していく必要があります。 |
| (3) |
タイミングを計る:
IPテレビは、定着している他のテレビに対抗できるようになるまでは手がけない、というのが理想かもしれません。不人気なサービスや一貫性のないマーケティング、不完全なアライアンス、未熟なテクノロジーのままでは、IPテレビの名前に傷がつきかねません。 |
| (4) |
必要なときにIPを使う:
IPテレビはこれまでにない双方向性と多彩さを兼ね備えています。しかし、平均的な視聴者は、毎日3時間も自分向けの対話型番組を見る必要はないと考えるかもしれません。このため、IPテレビの技術や機能は、顧客のニーズや嗜好がゆっくりと形成されていくのに合わせて高めていくべきです。一方向の放送と双方向のIPテレビのバランスをとることがより望ましいアプローチです。 |
| (5) |
IPテレビは単に「テレビ」と呼ぶべき:
ほとんどの消費者はIPがどういうものかを知らないし、興味もありません。事業者はサービスをただ「テレビ」と呼ぶべきで、技術的な部分は自分たちの中だけで処理すればいいものです。 |
(訳注2)
大型HDテレビの需要拡大と並行して、日本で4月から開始された「ワンセグ」のように携帯電話による映像配信が増加します。2006年には、映像が見られる携帯電話は数億台に達すると思われ、メディア企業や携帯電話事業者、端末メーカーは、携帯電話向けの映像やサービス開発を新たなビジネスチャンスと考えているでしょう。放送コンテンツが携帯で見られるといっても、TVと同じサービスだけでは顧客ニーズを駆り立てるのは限定的と考えられます。
それは、携帯電話は画面が小さく、大きな画面で長時間、放送コンテンツを見るというこれまでの顧客の習慣/価値観にマッチしないからです。IPテレビ普及に対する提言と同様に、画面が小さいことを凌駕できるような魅力をもった放送コンテンツやサービスが重要となるでしょう。スポーツ番組などの決定的瞬間の映像を提供することや、モバイルコマースと対話型放送の組み合わせなど、顧客にとってはっきりと意識できる付加価値が重要となります。 |
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| 以上 |
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