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ニュース&ナレッジ
情報・メディア・通信 (TMT:Technology, Media & Telecommunications)
トピックス 2006.7.5
Thought Leadership TMT Trends:Predictions, 2006 メディア(3)
抄訳 池末 成明
はじめに
このトピックスは、デロイト トウシュ トーマツ(以下、DTT)の情報・メディア・通信(TMT:Technology, Media and Telecommunications)グループが編集した「Prediction, 2006 A focus on the media sector」に掲載された10のテーマから、以下の2点を抜粋し、抄訳したものです。

●「細分化」が実を結ぶ
●コンバージェンスが地固めをする

1.「細分化」が実を結ぶ

新聞・出版・放送などのメディア業界は、市場の細分化をデメリットではなく、メリットと考えるようになります。商品やサービスを提供する基盤が増えれば増えるほど、潜在需要が拡大するからです。実際に、従来型の媒体、新型媒体とも利用度と支出が増えています(図表1参照)。

欧州のメディアの浸透度と消費の伸び(2004/2005年)

●2006年はルネッサンス
媒体利用の内訳は国別で違いはあるものの、インターネット、ラジオ、テレビ、新聞の利用はいずれも伸び、世界的な拡大傾向が続いています。並行してDVDの売上高やレンタル収入、ケーブルテレビ、衛星テレビの加入者数、衛星ラジオ、デジタル・ラジオの加入者数その他の新事業が全般に伸びていることを考えると、メディア業界の2006年は「ルネサンス」、いわゆる「復興」の年になると思われます。

これは意外なことでもありません。多くの業界が新しいテクノロジーに多額の投資をしてきたことが、メディア消費の増加を支えています。電子メディアや新しい基盤、機器の開発で、ブロードバンド接続からデジタル・オーディオ放送まで、新しい市場へのアクセスや新たな製品仕様が可能となり、メディア企業の選択肢を拡大しました。これらのテクノロジーが成熟するにつれ、消費者の細分化が急速に進みます。

●広告主に絞り込みやすい対象
細分化した消費者は、専門的に選別された消費者でもあるため、広告主にとっては対象を絞り込みやすくなります。こうした特定対象を絞り込んだ広告は現実にはまだ初期の段階にあるものの、2006年には増加すると思われます。具体的な方法としては、広告入りの家庭用ゲーム機や携帯電話のバナー広告、ポッドキャストに掲載するオーディオ広告などがあり、今後の動きに注目したいところです。ただし、広告支出の大部分は、テレビやラジオなどの従来型媒体が占めており、その状況に変化はないと思います。

Bottom line
●細分化する消費者

メディア業界の各セクターは、消費者の細分化の流れを受け入れ、新たな事業機会を掘り起こしていくべきです。メディア企業は、消費者が巨大なマス・マーケットを形成していた時代を懐かしむのではなく、市場が徐々に細分化されていく状況をうまく取り込み、収益につなげていくべきです。今の時点で戦略を練り、事業計画をスタートさせれば、付加価値が生まれるのはほぼ確実といえます。消費者が一晩で完全に細分化されるわけではありませんが、メディア企業にとって準備をしておくことが重要です。

●潜在成長性を持つニッチ消費者
消費者は今後も自分が知っている信頼性の高いメディア・ブランドを使い続けるでしょう。しかし、そのメディア・ブランドをコアとして利用する一方で、個人的な活動については、親しみを持つブランドが提供するメディアを補完的に使うとみられます。消費者は知らないうちに広告の対象層と特定され、広告企業が目標を絞り込んだ販促活動をする際に活用されます。ニッチ消費者はコンテンツへの消費性向が高いため、大きな潜在成長性を秘めていると考えられます。この層は確実性が高く理解しやすいセグメントを形成しているため、関連商品と一括販売する「クロス・セリング」や、より高額な商品やサービスへと誘導する「アップ・セリング」の対象になりやすいと考えられるからです。

メディア企業は消費者の細分化を取り込むことに重点を置く一方で、すべてのコンテンツを自分流にカスタマイズしたい、と思う消費者はごくわずかです。最も多いケースは、メディア企業が配信するコンテンツを消費しつつ、これを補う形で自分専用のパーソナライズド・コンテンツを作るというパターンです。このパーソナライズド・コンテンツの消費を取り込むことを最優先すべきです。

●自社コンテンツの法的権利を検証
最後に、メディア企業には、すぐにでも自社コンテンツに関わる法的権利を検証しておくことを勧めます。最近は新たなメディア・フォーマット(仕様)や新しい機器が次々に登場しているため、メディア企業が保有する権利の検証が十分に行われていない心配があります。特定コンテンツが有している権利が、新しいメディアを通じた配信をどこまで容認するかを注意深く調べておくことが大切です。特に、デジタル時代の到来以前に制作された大半のアーカイブのコンテンツを検証することが重要です。将来、訴訟にならないようにするためにも、権利関係を確認しておく必要があります。

2.コンバージェンスが地固めをする
2006年は、テクノロジーや企業の融合を意味する「コンバージェンス」の地固めの年になります。コンバージェンスは、融合型の商品やサービスの種類が広がるにつれ、価値を生み出すものと理解されます。今年はIPテレビや、インターネットを通じたビデオ・オン・デマンドのほか、ネットラジオを携帯プレーヤーに音声データファイルとして自動録音し、それを好きなときに聞くことができる「ポッドキャスティング」といったサービスが伸びると思われ、コンバージェンスが生活に密着した価値あるものだということが理解されるはずです。

2006年は、コンバージェンスにいくつかの大きな追い風が吹きます。コンバージェンスの実現に必要な基幹テクノロジーが成熟段階に達するとともに、ブロードバンドの浸透が進み、接続当たりの平均容量も増えます。

消費者が使う機器類は、小型メディア・プレーヤーからデジタル・ゲーム機、マルチメディア携帯電話まで、価格の低下によって人気が出そうです。製品の多様化に加え、デザインと使い勝手がよくなったことも旺盛な需要につながると思われます。

●恩恵を受ける映像コンテンツ
コンバージェンスの恩恵を主に受けるのは、映像コンテンツです。ブロードバンド・ネットワークとIPテレビを介したビデオ・オン・デマンドは、テレビ放送を中心とする既存メディアに比べニッチ市場ですが、高い成長が見込まれます。ポッドキャストをベースにした音響コンテンツも、コンバージェンスの威力を示すよい例です(図表2参照)。今年はポッドキャスト番組が数万件に達する勢いで、携帯電話でポッドキャストのコンテンツを聴けるようになったことも追い風となっています。

●成否はニーズの把握
しかし、すべてのコンバージェンスが成功するとは限りません。わざとらしい製品やサービスを無理して作ることは、業界全体にとってマイナスです。企業によっては、コンバージェンスという名の下に機能やコンテンツをぎっしりと詰め込み、訴求力のほとんどない製品を作り続けるかもしれません。単に技術的に可能になったからと、コンテンツを新しい媒体にそのまま移行させる企業もあるでしょうが、これは価値の創出にほとんど寄与しません。

成否を分けるのは、どれだけ消費者のニーズを把握して対応するかです。問題は、コンバージェンスがニーズに対応するための方法のひとつにすぎないことをどれだけ正しく理解しているか、ということです。

ジャンル別ポッドキャスト(2005年12月)

Bottom line
●コンバージェンスの成果を証明する2006年

コンバージェンスはTMT業界が常に強い関心を持つ、やりがいのある課題です。コンバージェンスは、製品でもサービスでも、セグメントでも戦略でもありません。コンバージェンスは、通信、メディア、テクノロジー業界が価値を生み出すためにどのように相互に関わり合えるのかを示す、概念的なモデルです。

成功するコンバージェンスは消費者のための価値を生み出すことに重点を置いています。2006年は、コンバージェンスが価値を創出できることを今まで以上にはっきりと証明できるはずです。しかし、コンバージェンスの分かりにくさは消えません。メディア企業は、コンバージェンスという言葉が業界内では適切でも、消費者にはほとんど意味がないことを肝に銘じておく必要があります。

●他社との提携が大事
コンバージェンスは、多様化するネットワークに接続し、メディア消費を可能にするさまざまな機器の組み合わせを作り出します。したがって、メディア企業は、変貌する市場のダイナミズムを取り込める有利な位置につけていることが重要です。これは、他社との連携を指しています。消費者の経験を大事にして、それぞれの新分野に合うようにコンテンツを制作しパッケージするため、他社との連携が必要です。

タイミングも重要です。メディア業界にはかつてないほど大きな成功のチャンスがありますが、自らイニシアチブをとって融合型の製品やサービスを開拓しようという心構えがあっての話です。メディア企業は、通信会社やテクノロジー企業に主導権を与え、コンテンツを提供するだけの存在に甘んじてはなりません。メディア企業の多くは高いブランド力をもち、市場での販売力や販売ルートも確立しており、固定客を確保しています。メディア企業は今年、そうした底力を発揮して、コンバージェンス市場の成果を取り込んでいくことが重要です。
以上
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