| ニュース&ナレッジ |
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| 情報・メディア・通信 (TMT:Technology, Media & Telecommunications) |
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| トピックス 2006.8.30 |
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| Thought Leadership 2010年:TMT業界が変える交通 |
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| デロイトリサーチ編著/全訳:池末 成明、監修・訳注:滝川 正巳、監修:浅枝 芳隆 |
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このトピックスはデロイト トウシュ トーマツ(以下、DTT)のデロイトリサーチの情報・メディア・通信(TMT:Technology Media Telecommunications)グループが編集した「未来を見る目:2010年TMTが変える私たちの生活(Eye to the Future:How TMT advance could change the way we live in 2010)」の中から「2010年:TMTが変える交通(How TMT could change the way we travel in 2010)」のほぼ全文を翻訳したものに、トーマツ コンサルティングのTMTグループでTMT業界が交通輸送機器に与える影響を研究してきたコンサルタントがレビューし、訳注をつけたものです。
ロボット化する自動車
2010年、コンピュータがドライバーに代わって多くの運転操作を処理するようになるでしょう。たとえば、方向指示、ヘッドランプやフロントガラスのワイパーの制御、オーディオシステムの音量を下げること、パーキングのガイドなどについてコンピュータが運転中のドライバーを支援します。また、車間距離の適正な保持、走行レーンから外れた時の操縦修正、危険区域にさしかかった際の速度修正などの重大な機能もコンピュータが自動制御するようになります。加えて、ヘッドアップディスプレイ(HUD:Head up display)と呼ばれるフロントガラスに重要な情報が表示する機能が装備されるようになり、ドライバーは道路から目を逸らさずにすむようになるでしょう*1。
これらの様々なシステムから発せられる種々の警告は、かえってドライバーの注意散漫を引き起こすリスクがあるため、自動車会社は、さまざまな状況に対応した機能を検討する必要があり、認知心理学者の助言も必要です。
*1 日本では国土交通省主導にASV、AHSの2つのプロジェクトがあります。ASV(Advanced Safety Vehicle:先進安全自動車)は自動車メーカー、国土交通省、学識経験者からなる産官学メンバーで構成されるASV推進検討委員会が設置され、運転の快適性と安全性を向上させるための研究開発、技術開発を1991年から行っています。AHS(Advanced Cruise-Assist Highway Systems:走行支援道路システム)については技術研究組合の走行支援道路システム開発機構(AHSRA)が1996年に発足し、道路インフラに対するIT活用による道路交通の安全性、効率性などの向上を目指す走行支援道路システムの開発を行っています。
音声認識システム
2010年、音声認識システムが進歩し、ドライバーは、車内の自動車電話、カーナビゲーションシステム*2、オーディオ装置などのエンターテインメントシステムは、ボタンやダイヤル、タッチスクリーンではなく、音声で指示できるようになるでしょう。この結果、ドライバーがハンドルから手を離すことがなくなり、前方から目を逸らすこともなくなるため、走行の安全性が高まります。2010年までに、全米だけで1,100万台以上の自動車向けの音声認識システムの売上があると予測されています。
車内のシステムに対して口頭でより曖昧な指示を出せるようになると考えられます。2010年には、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)に対して「ガソリンスタンドを見つけて」と指示すれば、もっとも近くのガソリンスタンドを見つけ出すようになるでしょう。また頻繁にでかける場所を機器のメモリに保持しておくことで、「家に帰る」や「オフィスに戻る」と言えば済むようになるでしょう。
*2 一部のカーナビゲーションシステムで既に実現されていますが、今後は音声認識の精度が向上し、更に使いやすくなることが期待できます。
ナビゲーションシステム*3
衛星ナビシステムに依存するようになるにつれて、我々は、地図を読み、道路をナビゲーションする能力が低下するでしょう。GPS関連部品の価格が下落して、携帯電話のありふれた機能になるかもしれません。2010年には、現在は600万台である自動車用のGPS機器の年間売上は、その倍である1,200万台に達すると予測されています。携帯型のGPSユニットも同程度の市場規模が予測されており、PDA(Personal Digital Assistants:携帯情報端末)やノート型コンピュータでは高い頻度でGPSテクノロジを組み込むので、道に迷うことも少なくなるでしょう。
*3 財団法人日本自動車研究所(2005):ITS産業動向に関する調査研究報告書によると、日本でのカーナビゲーションシステムの普及状況は、2004年度末の累計出荷台数は2,000万台を上回り、自動車総保有台数に対する普及率は買換えによる廃却を考慮したとしても20%を超えるとみられます。
リビングルーム化する車内
誰もがいつでもどこでも簡単にネットワークに接続できる世界をユビキタス社会といいます。ユビキタスな社会では、誰もがいつでもどこでも移動中でさえもコンテンツを入手できるようになります。その結果、自動車自体がエンターテインメントの基地となり、同乗者たちがゲームを楽しんだりTVを見たり、あるいはインターネットにアクセスできるようになります。こうして、2010年には、消費者は、車内のエンターテインメント機能を満喫するようになります。この新しいリビングルームでは、ラジオを聴いたり、音楽CDを再生したりするだけではなく、TVやDVDを見たり、何千曲にもおよぶMP3の楽曲を選んだり、ビデオゲームで遊んだり、インターネットに接続したり、併走する車などにメッセージを送ることもできるようになります。
多くの新車にはこうした新機能が搭載されますが、消費者の大半は手持ちのゲーム機やメディアプレイヤーや携帯電話などといった既存の多様な携帯機器を自動車に装備された機器と接続できることを願うでしょう*4。その結果、Bluetooth*5が車内のイントラ機器ネットワークの無線通信の標準となります。その理由は、周波数帯域やネットワーク仕様が理想的であり、電力をあまり消費せず、チップセットの費用が比較的安価だからですが、何よりもすでに何億台の携帯機器で事実上の標準となっているからです。このため、Bluetooth対応の自動車は2010年には27%の成長率を達成すると予測されています。
メディア企業は、車内のエンターテインメントを求める人々が増えていることを認識して、移動中の自動車での視聴に特化したコンテンツを作るとよいでしょう。ゲーム等のコンテンツは車での移動の特性に沿って開発された新しいタイプが人気を博すと思われます。たとえば、長時間の集中を必要としない短編的なゲーム等が考えられます*6。
*4 消費者は日常生活で利用する音楽やゲーム等のコンテンツを大容量記録メディア・機器に収納して携帯し、それらを自動車内でも利用するか、自分が利用したいコンテンツが収納してある自宅のホームサーバや外部業者のコンテンツサーバに都度アクセスしてコンテンツを取得するかは通信料、コンテンツ利用料および利便性により各人が選択できる環境になると予想されます。
*5 携帯情報機器向けの無線通信技術
*6 自動車は密室空間であることから、前述した音声認識技術の進化に伴い、音声を使う聴覚型のゲームが台頭することも考えられます。
車内もオフィス化
2010年、ビジネスパーソンが自家用車を選ぶ際には、その車が装備している仕事向けツールの範囲をある程度考慮に入れるかもしれません*7。求められる機能では、到着した電子メールの読み上げ、その返信の口述筆記、ミーティングの設定支援、TO-DOリストの更新、メモ書きの作成などがあります。しかし、我々はすでに、運転中にハンズフリーの電話を利用することは通常の携帯電話を利用するより安全だとは言えないことを学んでおり、複数のタスクをこなそうとするドライバーの安全に懸念が向けられるでしょう。
*7 通信機能を内蔵した情報携帯端末が普及した場合には、自動車側にはテキスト音声変換、音声認識アプリケーションを搭載したインターフェイスを用意するだけにとどまる可能性もあります。このような形で普及すると自動車選びの差別化ポイントにはなりにくいと考えられます。
自動車の役割を奪う航空宇宙産業のテクノロジー
航空宇宙産業が開発した触覚装置システムと呼ばれるシステムは、マン・マシン・インターフェースに触覚を組み入れたシステムであり、さまざまな方法でドライバーに警告を与えるでしょう。たとえば、自動車メーカーは、居眠り運転のドライバーを目覚めさせるためや、危険な状態の際に警告を与える手段として、ハンドルを振動させたり運転席のアクチュエータを作動させたりする形で、触覚装置システムを取り入れるでしょう。
航空宇宙分野のもう一つのイノベーションであるヘッドアップディスプレイ(HUD:Head up display)と呼ばれるフロントガラスに重要な情報を表示する技術は、ドライバーの視野に入るフロントガラスに、膨大な情報を表示できます。たとえば、HUDには、スピードやガソリン残量だけではなく、路面条件や天候からエンジンの効率や排気まで表示できます。そのため、HUDの市場は、昨年で10万ユニットだったものが2010年には400万ユニット以上に成長するでしょう。
自動車のウィルス対策
2010年、30%以上のドライバーが自家用車のシステムを何らかの形で外部の無線ネットワークと定期的に接続し*8、2020年には900万台の新車がインターネットとのブロードバンド接続に対応した形で販売されているとされています。この10年の終わりには、電気製品が自動車の総価額の40%近くを占めるようになっていると思われます。
しかし、こうした自動車に対するTMT業界のイノベーションとネットワークへの接続性の向上は良い影響を与えるだけではありません。ハッカーは、アクセス中の自動車をターゲットと見なすでしょう。これは走行する自動車を危険な状態に追い込む可能性さえありえます。自動車の電気的システムを使えなくすることを目的としたウィルスやワームが作成され広められるということがありえます。すでに、自動車のマニアは、無線ゲーム機をコントローラーにして、エンジンの出力を高めたりもしているのです。
TMTベンダーと自動車製造業者は、顧客の車をウィルスやハッカーの脅威から防衛する必要があります。
*8 近年ETCの普及に伴い、ETCでは各ゲートでDSRC(Dedicated Short Range Communications:専用境域通信)を使って大量の情報のやりとりをしています。これを活用して各種情報のやり取りをする方法に加えて、最近の動向として、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access:無線通信技術の規格の一つ)が注目されています。この技術はセル半径が3km程度と広く、時速120kmの移動でも通信可能となっております。WiMAXは既に2005年から商用化されています。
オフィスからの避難所が消える
バス、列車、路面電車、地下鉄などから航空機にいたるありとあらゆる交通機関は、ネットワークへの接続手段、通信手段、そしてエンターテインメントの選択肢を提供するでしょう。無線での接続が可能となり、特にWiFi(Wireless Fidelity:無線LANの標準規格に対する互換性を保証するために定めた名称)によって、移動の最中*9にもインターネットにアクセスしたり電子メールを送ったりすることもできます。このテクノロジーは航空機の中でも急増していきます。しかし、社会規範や周囲の雑音のひどさもあって、多くの人は混雑した航空機やバス、地下鉄などから電話をかけないでしょう。しかし、SMS(Short Message Service:ショートメッセージサービス)から電子メールにいたるまでのメッセージサービスは、こうした場所でも連絡を取る手段として、人気を増していくでしょう。ビジネスパーソンは、電話や電子メールが届かない場所はなくなります。例えそれが上空10,000メートルの飛行機の中であっても地下30メートルの地下鉄の中であっても業務を遂行できるようになり、「飛行機の中だ」という言い訳はできなくなります。世界のほとんどの場所が連絡可能になることは、多くの人には不愉快なものになるにちがいありません。
*9 日本の場合、一部の鉄道会社で実証実験が進められ、2006年8月から商用化される予定です。また、地下鉄を含む駅構内については首都圏の駅を中心にアクセスポイントの設置が進んでいます。 |
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| 以上 |
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| Deloitte(デロイト)とは、スイスの法令に基づく連合組織体のデロイト トウシュ トーマツおよび相互に独立した個別の法的存在であるネットワーク組織のうちのメンバーファームのひとつあるいは複数を指します。デロイト トウシュ トーマツとメンバーファームの法的な構成についての詳細は、www.tohmatsu.com/deloitte/ をご覧ください。 |
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