Deloitte.
トーマツグループ トーマツ
Home サービス ニュース&ナレッジ セミナー 出版物 グループ案内 コラム 問い合わせ サイトマップ
Home > ニュース&ナレッジ > 情報・メディア・通信 > トピックス 2007.4.25
ニュース&ナレッジ
情報・メディア・通信 (TMT:Technology, Media & Telecommunications)
トピックス 2007.4.25
Technology Predictions 2007, TMT Trends テクノロジー
デロイトリサーチ編著/抄訳・訳注 工学博士 高橋 淳一
はじめに
このトピックスは、デロイト トウシュ トーマツ(以下、DTT)の情報・メディア・通信(TMT:Technology, Media and Telecommunications)グループが編集した「Technology Prediction 2007, TMT Trends」を抄訳し、訳注を付したものである。

環境へ向かうテクノロジー
環境問題が過激な環境保護運動の独壇場であった時代はとうに過ぎ去った。英国政府が発行した「スターン報告」は世界の注目を集め、政府や企業から行動を求める真剣で切迫した声が上がるようになっている。
2007年は、テクノロジーの環境への影響と、環境がさまざまなテクノロジーのコンセプトやマーケティング、流通にどのように影響するかが、最も重要なテーマになるとみられている。
環境への懸念に対して、テクノロジー企業はより効率的な機器を設計したり、技術をベースとするサービスが出張のような活動において環境に優しい選択肢を提供できることを示したり、あるいは責任ある企業として電力消費を抑制し、他社との差別化を図ることができるはずだ。おそらく最も重要なのは、地球環境の保護が一部のテクノロジー企業の増益につながる可能性である。テクノロジーの応用が、今日の主な環境問題のいくつかを解決するかもしれない。

大事なユーザインターフェース
調査によると、大半の消費者が新しく買った機器を動かすために努力する忍耐力のレベルは、わずか20分にすぎない。これを過ぎると努力を諦め、製品に欠陥があると判断して店に返品する傾向があるという。使えない製品は、基本的な技術がいかに優れていようと、故障品と同じくほとんど価値がない。
2007年は、製品をできる限りシンプルにできる企業が、高性能でも相対的に操作性の悪い製品を製造するライバル企業より成功を収める可能性が高い。重要になるとみられる新技術には、手を触れるだけでフィードバックとコントロールができる触覚学(ハプティクス)がある。もう一つの新技術は、運動センサーの1形態であるアクセロメーター(加速度計)で、当初は、ビデオゲームのコントローラに使われて人気が出るとみられる。
シンプルであることは、特にユーザインターフェースにおいて、あらゆる形態のテクノロジーを汎用化、実用化させる独特の力を持つ。簡素化に当たっては、複雑な製品の簡素化に努力するより最初からシンプルな設計をするのが望ましい(訳注参照)。

デジタル保存の隠れたコスト
ここ数年のテクノロジーの主な特徴は、デジタル保存の価格が徐々に低下してきたことである。2007年もこの法則が当てはまりそうだ。消費者も企業も、デジタル保存にはそれ以上の直接・間接のコストがかかることを認識し、関心を抱くようになるだろう。デジタル保存の隠れたコストとは、企業の法的責任や、何年間も数ペタバイト相当のデータを保存することなどである。消費者は、ファイル破損でデジタル写真や音楽コレクションが回収不能となったときにコストを意識するはずだ。
2007年は、多くの有名企業がオンライン・ストレージ・サービスに乗り出すとみられている。テクノロジー企業はこの機会を逃さず、ビジネスチャンスとしたいところだ。懸念を和らげることのできる一連のバックアップや復元サービス、保険などに多くのビジネスチャンスが潜んでおり、そうした可能性には常に目を配っておかなければならない。顧客のニーズを完全に満たし、真に恒久的な保存ソリューションを提供するには、ハイテクとローテクのソリューションを組み合わせることが欠かせない。

生体認証(バイオメトリクス)のメリット
セキュリティは、常に社会が関心を寄せるテーマである。2007年は、すべてのデータを安全に保管する新手法への需要が高まるとみられる。中でも眼球の虹彩や指紋、手のひらなどの生体認証データはその人固有のものであり、忘れる心配もなく偽造もされにくい。このため、個人の物理的特徴を利用した生体認証によるセキュリティ対策の需要は、2007年に急増する可能性がある。
業界にとっての大事な課題は、生体認証の国際基準に合意し、バックアップ・システムを実施し、人々に生体認証のメリットを周知させられるかどうかである。同時に、生体認証システムに障害が発生した場合のバックアップ・ソリューションを確立しておく必要がある。
万が一、承認済みの指紋管理アクセスのデータベースが破損し、消費者が家に入れず締め出されたり、企業幹部が自分のファイルを取り出せなかったりすることは不幸なことだ。いずれにしても、物理的資産、デジタル資産の価値の高まりが、生体認証にとって強力な追い風となりそうだ。

無料テクノロジーのコスト
テクノロジー企業の多くは一定の製品やサービスを無料で提供する可能性がある。しかし、無料メールの増加に伴って蔓延してきたスパムのように、2007年はこうした無料の製品やサービスにコストがかかってくるかもしれない。
スパムは2006年に送信された電子メールの95%以上を占めた模様だ。スパムは迷惑な存在であり、ウイルスやワーム等の悪質なコードを媒介させる存在となってきたが、無料のIMサービスも同じ結果を招いている。無料のIP電話はそれ自体が、「スピット(Spit)」として知られるスパムの宿主になった。
このため一部の企業は、これまで無料としてきたサービスを有料に切り替えるかもしれない。消費者は、無料のテクノロジーが実は無料ではなく、隠れたコストがかかっていることに気づき始めており、今後はより質の高い、有料の製品やサービスを求める傾向が強まるとみられている。

世界に影響を与える「回転木馬」詐欺
税務当局は、国家に何百億ドルもの損失を与えているテクノロジー関連製品のVAT(付加価値税)詐欺による租税回避を阻止できれば歓迎するはずだ。いわゆる「回転木馬型詐欺」は主に欧州の問題だが、2007年はその悪影響が世界に広がりそうだ。
この詐欺は、輸入業者が顧客からVATを徴収し税当局に納税する一方で、輸出業者がVATの払い戻しを請求できるという欧州連合(EU)で起きている。すなわち、詐欺師たちはVATの還付を受けながら、税当局に支払うべきVATを支払わない。この詐欺では、価格の高い半導体や携帯電話などの電子製品が好んで使われる。EU加盟各国は「回転木馬型詐欺」を阻止するため新たな規制を導入しており、EU域内で事業を営んでいるか、販売を行っているテクノロジー企業は新制度に対応してサプライチェーンを変更し、輸送、運送の物流管理を調整する必要があるかもしれない。

変わるテクノロジー研究開発
2007年は、多くの企業が次の最先端技術を求めて膨大な時間と資金を投じる構えのようだ。しかし将来、世間の注目を浴びるとみられる技術は、すでに今日存在している可能性が高い。そのテクノロジーを成功へと導くのは、既存技術を革新的発想に基づいて組み合わせることのできる業界の力である。一つの技術やイノベーションそのものより、テクノロジーの組み合わせが強力な力を発揮する。
また2007年は、技術を取り巻く状況とブランド設定だけが変化して、外見上まったく新しいテクノロジー・ベースの製品とサービスが出現するかもしれない。技術者の思いつきより、消費者のニーズに即した製品とサービスのほうが成功するだろう。エンドユーザーと緊密な関係を持つ販売とマーケティングのチームが設計・開発に加われば、成功する確率は高くなるとみられる。次の最先端技術を模索しているテクノロジー企業や起業家、投資家は、他の事業の中に今ある基本的なテクノロジーの進化を追跡し、それらの組み合わせからどんなものを作ることができるのかを考えたほうがよさそうだ。

ソーシャル・ネットワークからの配当
消費者主導の技術に基づくサービスの典型が、2006年に急成長したソーシャル・ネットワーキングである。このサービスは、2007年には何十億ドルの水準に達する可能性がある。しかし、成功に伴って問題も生じており、テクノロジー企業はこれらの課題への取り組みをビジネスチャンスにできそうだ。
メディア企業を待ち受ける最大の課題の一つは、ソーシャル・ネットワーキング・サイトにおける著作権保護資料の掲載に適切に対処することである。2007年はソーシャル・ネットワーキングが、テクノロジー企業に対し、著作権物の特定と排除からコンテンツの可能な限り迅速な投稿とダウンロードにいたる、一連の課題を解決するよう求めてくる可能性がある。おそらく主に広告という形で収益を実際に生み出せるかの試金石になるだろう。ソーシャル・ネットワーキング企業の成熟を迅速かつ合理的に支援することは、テクノロジー企業にとって成長への大きな柱になるとみられる。

寄生電源開発が重要課題
ポータブル電源は、テクノロジー業界にとって最も重要で最も広範な問題の一つである。2007年はこの問題への対応が始まる最初の年になりそうだ。新型電池には、年間何百億ドルもの費用がかかえるうえ、数十億個の廃棄電池を安全に処理する費用も大きな負担となっている。業界が始めるとみられる新たな取り組みは、電池の改良ではなく、周囲の環境からエネルギーを引き出すパワー・スカベンジング(power-scavenging)ソリューションへの着目である。これは体温や自然光、振動や物体の運動を捕捉し、パワー不足の電池に追加充電する仕組みである。
携帯電話は、パワー・スカベンジング技術を搭載すれば、持ち運びしている間に電気が蓄積するため、再充電なしにはるかに長時間使うことができるようになるはずだ。ボタンとキーに取って代わる圧電式エネルギー・コンバータから、小型機器内蔵の運動エネルギー・コンバータまで、パワー・スカベンジング技術を応用できる余地はかなり大きく、これを活用することでテクノロジー企業にプレミアム価格をもたらすかもしれない。

超人類への進化
最後に、2007年のテクノロジーは、疲れた人を回復させるだけではなく、より能力が高められた人類を作り出すこともできそうだ。超人的な歩行や走行能力を得るため、人工外骨格が利用される可能性がある。人工装具の進歩で、義手義足のアスリートが世界最高の健常者のアスリートと対戦し、勝つことができるかもしれない。人工赤血球は酸素の貯蔵と放出が最大200倍も効率的で、これによって人類は水中で何分どころか何時間も息を止めていられるようになるかもしれない。
こうした状況が、医療や倫理、宗教の分野で議論を巻き起こしている。新しい規制も必要になるだろう。政府と業界は人類を強化する問題について、積極的かつオープンに議論すべきである。2007年は、種の起源が自然淘汰のゆっくりしたプロセスに頼るよりは、世界の研究所で矢継ぎ早に生み出されるイノベーションに依存する度合いが強まる年になりそうだ。進化の進化が始まったのかもしれない。

訳注
コンバージェンスによって様々なコンテンツ・アプリケーションが色々なシーンにおいて活用できる情報通信インフラとして、次世代ネットワーク(NGN:Next Generation Network)が開発されつつある。ユーザーとの接点である端末の操作性の良し悪しは、インフラによってもたらされる便益を引き出せるか否かに大きな影響を与えると考えられ、ユーザインタフェースは非常に重要である。
以上
English 安全確保の措置 利用規定 プライバシーポリシー コンプライアンス・ホットライン
▲ページトップ
Member of Deloitte Touche Tohmatsu
Copyright (c) 2008 デロイト トウシュ トーマツ
Deloitte(デロイト)とは、スイスの法令に基づく連合組織体であるデロイト トウシュ トーマツ、そのメンバーファームおよびその関係会社を指します。デロイト トウシュ トーマツ(スイスの法令に基づく連合組織体)とそのメンバーファームおよびその関係会社はお互いの作為または不作為について責任を負いません。このように、各メンバーファームおよびその関係会社は、「デロイト」「デロイト&トウシュ」「デロイト トウシュ トーマツ」あるいはその他の関連名称のもとで業務を行なう相互に独立した別々の法的存在です。サービスは、各メンバーファームおよびその関係会社によって提供されるものであり、連合組織体としてのデロイト トウシュ トーマツそのものによって提供されるものではありません。