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ニュース&ナレッジ
情報・メディア・通信 (TMT:Technology, Media & Telecommunications)
トピックス 2008.5.28
Telecommunications Predictions 2008, TMT Trends テレコム
デロイトリサーチ編著/抄訳 池末 成明
このトピックスは、デロイト トウシュ トーマツ(以下、DTT)の情報・メディア・通信(TMT:Technology, Media and Telecommunications)グループが編集した「Telecommunications Prediction, TMT Trends 2008」を抄訳したものです。

信用収縮は脅威ではなく機会である
米国のサブプライム・ローンの破綻は、世界の景気減速につながる可能性があります。この景気減速は、各国の通信業界の業績悪化の原因になるかもしれません。景気が減速すると、企業も消費者も通信費の削減を進め、通信機器の購入を控えるからです。
電話会社はこの脅威を商機として活用するでしょう。携帯電話事業者は、景気減速の見通しを消費者に訴え、月額基本料を支払っている固定電話を止め、音声通話を携帯電話に一本化するよう勧めるかもしれません。固定電話事業者も中期的な収入の安定化を狙い、月額料金を割安にする代わりに長期で契約するといったパッケージを開始するかもしれません。

30億から300億へ:10ドルの携帯電話で収益を上げる方法
世界の携帯電話の小売価格は大きく下落し、50ドルを切る機種も増えています。2009年には10ドルの携帯電話が発売される計画がありますが、携帯端末の値段の下落は、携帯電話の普及を進める結果、普及率は飽和点に近づきます。ベンダーは、その活路を開発途上国の市場に求めるかもしれません。しかし、豊かになった開発途上国の消費者も高額な電話機を持つ傾向がありますので、低価格な電話機が成長の起爆剤になるとは思えません。
10ドル端末の主要消費先としてもうひとつ、ほとんど未開拓の市場があります。それは、自販機や銀行ATMといった機械の市場です。モバイル接続機能を機械に組み込むことで、携帯電話加入者の最大実現可能市場は数百億件に達するかもしれません。モバイルが広範囲に機械に組み込まれるためには、通信モジュールのコストを抑える必要があることはもちろん、実装コストも抑える必要があります。
このため、携帯端末メーカーは連携し、携帯通信モジュールと通信プロトコルの世界標準の単一規格を定めるとよいでしょう。携帯通信モジュールと通信プロトコルが標準化されれば、ATMや自販機を製造する企業は、自社の機械に携帯モジュールを組み込むことでしょう。

革新的崩壊:既存の大手の電話会社は脅威を機会に変える
通信業界は、過去数十年、何度も革新的崩壊に直面してきました。しかし、既存の大手電話会社こそが、その革新的崩壊から最も利益を得てきました。
デジタル化は、アナログに比べ大規模な容量拡大と効率性の大幅改善を可能にしました。世界最大級のモバイル・ネットワークの多くは親会社の固定電話事業者が構築したもので、固定電話会社の収益の一部はモバイルビジネスからの接続料に依存しています。そして、大手の電話会社は、競合企業がインフラ・ベースや技術開発の競争に失敗すると、その資産を格安で取得してきました。
VoIPはPSTN(公衆交換電話網)と携帯電話を崩壊させるという予想がありました。無線LANは移動データ通信網を葬り去るという予想もありました。WiMAXによって通信大手のデータ事業が崩壊するという予想もありました。しかし、いずれの技術も大手の電話会社が本気で採用してこそ、普及が促進する可能性が高くなり、その果実は大手の電話会社が得るのです。

モバイルGPSに方向性を与える
既存製品に新たな機能を組み込めば、必ず価値が付加されるわけではありません。たとえば、衛星による位置測定技術の価格が数ドルに下落したからという理由だけで、この技術を携帯電話に組み込むべきではありません。2008年は、GPS(衛星利用測位システム)を携帯電話に組み込むよりも、携帯電話の一機能をGPSに組み込むほうが、うまく適合することが明らかになるかもしれません。メーカーは、GPSを組み込んだ携帯端末の売上だけでなく、GPSに携帯電話機能を組み込んだ製品の売上の規模を検討するはずです。携帯電話の機能があれば、人工衛星の見通し線(line of sight)確保というGPSの主な弱点のひとつを解決する方法ともなりうるでしょう。

通信のニーズが高まるニューメディア市場を開拓
2008年、多くのニューメディアのウェブサイトが、電子メールから新しいテクノロジーを使った実験的な媒体まで、多くの通信ツールを搭載するでしょう。ニューメディアのサイトはまた、1対多数、あるいは1対全員の通信を展開させていくと予想されます。ニューメディア・サイトで提供される通信ツールの広がりと質は、競争が激化している市場においてはかなりの差別化要因になるからです。この傾向はいずれも、通信需要がかつてないほど旺盛であることを業界に改めて認識させるものになります。しかし、ニューメディアに対する需要が増えても、その需要を収益化できない状態が続くでしょう。
通信会社は、通信会社のバリューチェーンがどこにあるのか確認してください。言い換えれば、通信インフラの提供と並んで、どのサービスを収益源にできるのかを探って欲しいのです。次に来る通信の大波を見極めるための調査も重要です。その上で、通信会社は、顧客が代金を支払ってもよいと考える通信サービスと、あればいいと思うだけの機能をはっきり分けなければなりません。
そして、ニューメディア・サイト上で利用される通信ツールにブランド名をつけて提供することは、重要な長期戦略になります。そのためには、安全で安心な通信ツールの提供こそが、消費者のブランドロイヤルティを勝ち取る手段になるに違いありません。

屋内での携帯電話使用がネットワーク・シェアリングを促進
先進諸国には複数の携帯電話通信事業者が存在し、それぞれ2Gや3G(第2世代や第3世代)という2種類の通信網を持っています。それぞれの通信網の認可、構築にかかる固定費は数百億ドルになり、その運用コストも膨大です。21世紀に入り、携帯電話事業者は3Gのみならず、最近では3.5世代のHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)など、他の通信網の強化を含め、ネットワーク全体の更新を実施してきました。このため、収益の伸びは鈍化し、競争激化を背景に利益率も圧迫されています。
携帯電話のネットワークはここ数年、屋外から屋内へと着実に広がってきました。事業者は2008年も、屋内通信エリアを拡大するさまざまな方法を模索すると思われます。まずは、GSMベースのフェムトセル(超小型の基地局装置)を配備するのが人気の高い選択肢でしょう。しかし、この方法は最終的に技術面、戦略面で課題が多すぎます。FMC(Fixed Mobile Convergence)としても知られるシングルハンドセットが検討される可能性がありますが、この方法は端末コストの他、建物内で良好な音声品質の無線LANを確保する必要性、無線LANのハンドオフ(注:移動中の基地局の切り替え)に対するセルラー管理の技術的課題があります。
2008年は、こうした流れに加えて強力な代替製品が現れないとみられることから、一部の事業者はネットワーク関連の経費削減と屋内通信エリアの拡大に向けた最適な方法として、ネットワーク・シェアリングを検討するでしょう。ネットワーク・シェアリングは設備投資と経費の削減につながりますが、品質や通信のセキュリティの確保など課題もあります。ですから、ネットワーク・シェアリングに参加する事業者は想定される事態を広く検討し、意見の対立を調整して、総合的な合意事項を網羅する必要があります。このため、ネットワークの戦略と企画を担当する共有部門をいかに効果的に作り出すかが成功のポイントとなります。

中高年層に注目
通信業界は、若年層の市場を重視しており、富裕層である中高年層にはなじみにくい製品やサービスが増えています。通信業界は、もっと中高年層をターゲットとした製品やサービスの開発に精力を傾けてみてはいかがでしょうか。大きいボタンや音声によるテキスト・メッセージの読み上げなど、中高年層や障害のある人たちに便利なように設計してある製品やサービスは、すでに一部の国では大きな市場に成長しています。

被買収企業が買収企業になる
無線通信業界は、企業買収を通じた成長への意欲が引き続き強いと思われます。先進国の携帯電話事業者は、新興市場の成長力と利益率の高さに魅力を感じて権益取得を狙っているようです。しかし、欧米の事業者は、コストの最適化に関して途上国の事業者から学ぶことも多いと思われます。
2008年は、これまで買収される対象となってきた企業が逆に買収する企業に変わる場面が増えてくると予想されます。たとえば、新興市場の携帯電話会社は2007年の買収件数こそ少なかったのですが、積極的な買収攻勢に打って出るものと思われます。その際、先進国ではなく新興市場での買収に強い関心を持ったほうがよいでしょう。この時、新興市場に参入している事業者は、他の国を基準に携帯端末とサービスの課税基準を評価してみることも重要です。

高速性の追求は本当に必要か
高速性は、通信業界にとっては常に重要な課題です。現在、固定通信では100Mビット/秒を、無線通信では7Mビット/秒以上を達成しています。固定ブロードバンドの急速な広がりは、少なくとも3億3,000万世帯の中に、高速性が必要なアプリケーションとサービスに対する膨大な需要が存在することを示しているわけですが、世界的には無線ブロードバンドの利用は出遅れています。携帯電話業界の収入の大半は、先進国でも2Gによる音声、データサービスから生じています。
しかし、2008年は信用収縮の影が投資判断に影響を与える可能性があることから、消費者が高速処理を必要とするかどうか、またそれにかかる数百億ドルの投資が必要かどうかを疑問視する投資家が増えると思われます。したがって、通信会社は、技術の限界に挑戦することよりも、収益性を重視する必要があるでしょう。

21年目を迎えるGSM
携帯電話の事実上の世界標準であるGSMは、2008年9月7日、統一規格として採択されてから21年目を迎えます。この日、世界200カ国以上700以上のGSMネットワークが、160億分以上の通話と60億件のテキスト・メッセージを運ぶと予想されています。GSMの世界の加入者数は120万件増加し、製造されるGSM方式の端末は600万台を超える見通しです。GSMは世界の1日のGDPの1.36%、金額にして30億ドルを生み出していると言われています。GSMは、2008年初めまでに85%の市場シェアを確保すると予想されています。
顧客のデータサービスの採用はもっと進んでもよいはずですが、どの国でも規制面や大手と新興企業の利害関係での課題があります。2008年は携帯電話事業者にとって事業のあらゆる側面を戦略的に見直す年にもなるでしょう。
以上
※全訳は、添付のファイルをご参照ください。
Telecommunications Predictions 2008, TMT Trends テレコム Telecommunications Predictions 2008,
TMT Trends テレコム

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