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コラム
会計と監査のしくみ
第4回 バブル経済と監査法人
1990年代初頭、日本経済のバランスが突如崩れました。土地と株式の暴騰によるバブルは、不良債権問題など数多くの爪跡を日本経済に残すことになりました。一方、この間にも経済のグローバル化は大きく加速し、それに対応して会計基準も大きく変わっていきました。日本も遅ればせながら、会計ビッグバンと呼ばれるグローバルスタンダードへの対応に迫られていきます。
バブル経済の崩壊
バブル崩壊後の株価の推移
バブル崩壊後の株価の推移
1989年12月29日、日経平均株価は38,915円の過去最高値を記録し、この株価はいまだに更新されていません。当時の日本経済は好況一色に染まっていましたが、これは過剰投資による土地と株式の暴騰が原因であり、実経済の競争力を反映したものではありませんでした。実体以上に膨れ上がった経済の収縮はその後急激に進み、不良債権やモラルハザードなど様々な問題が折り重なって経済環境を悪化させていきました。株式市場の信頼は大きく揺らぎ、担保力の減少によって企業の資金調達力は大きく低下していったのです。また、本来企業の信頼を支えるはずの会計士に対しても、厳しい目が向けられました。
1995年12月、大蔵省から金融機関の資産査定に外部監査を導入する方針が打ち出されました。これにより、公認会計士には金融監査という従来以上の重要な役割が求められることになったのです。また、監査法人に対する「品質管理レビュー制度」を導入するなど、公認会計士協会も信頼回復のために自発的な活動を進めていったのです。
会計ビッグバンとレジェンド問題
会計業務は経営管理の中枢を占める機能ですが、従来は一部の先進的企業を除きバックオフィス的役割と考えられてきました。しかし、会計ビッグバンは、会計業務のあり方をはじめ、企業経営そのものを大きく変えるほどの影響を与えることになったのです。会計ビッグバンは、企業グループの実体を明らかにする「連結財務諸表制度における子会社等の範囲の見直し」、含み損益を表面化させる「金融商品に係る会計基準・退職給付に係る会計基準」の設定、会計上と税務上の相違を埋める「税効果会計に係る会計基準」の設定などから成りますが、これらはいずれも日本の企業経営に激震を与えるものでした。
従来の日本企業の会計は、親会社の含み損を連結対象以外のグループ会社に付け替えたり、取得原価主義の下、株式などの資産を取得価格のままにして時価を反映させないなど、必ずしも経営状況の正確な判断のための情報として投資家に提供されていたか疑問がありました。
グローバル経済の進展に伴い、日本の企業に目を向け始めた海外の投資家にとって、これは極めて不明瞭なやり方に映りました。そこで1999年に、世界的な5つの会計事務所「ビッグ5」は日本企業の監査報告書に以下のような趣旨の文章を記載することを求めてきました。「この財務諸表は日本の会計基準に準拠して作成したものであり、日本以外の会計基準に拠ったものではない。監査基準についても同様である」これは、日本の会計基準が世界的な基準に比べて劣っていると警告されたと同然でした。これがいわゆる「レジェンド問題」です。
日本はこれを機に、グローバルスタンダードを強烈に意識せざるをえなくなりました。
IAS(国際会計基準)とIASC(国際会計基準委員会)
ここで、日本が新基準を作成するにあたって準拠したIASについて説明しておきましょう。実は、完全なグローバルスタンダードと呼べる会計基準は存在しません。それに近いものとして、各国会計士によって構成されるIASCが作成したIAS(国際会計基準)と米国のFASB(財務会計基準審議会)による米国会計基準の2つがあります。多くの国がIASを採用してきました。現在は米国もIASを支持する方向にあります。
もともとIASCとは、1973年に世界的な会計基準の作成を目的として、各国会計士によって設立された民間の国際組織です。IASCは1983年までの10年間に22の国際会計基準を公表するなど、会計基準の国際的調和のために多大な貢献を果たしてきましたが、民間組織であるがゆえに法的強制力を持っていませんでした。しかし1980年代に入って、国際的な会計基準の必要性が叫ばれるようになり、各国の証券市場監督者の国際機関であるIOSCO(証券監督者国際機構)がIASCの支持を表明。これによって、IASは各国政府機関から支持を受けることとなり、一挙にグローバルスタンダードへと駆け上がります。
現在もIASCはIASBと名前を変え国際会計基準をさらに強化することを目指し、各国の会計基準設定機関とともに、会計基準統一化の活動を推進しています。
*参考文献
『よくわかる国際会計基準』西川郁生著/中央経済社
『50年のあゆみ』 日本公認会計士協会
『2001年からの会計入門』山田徳昭・工藤雅俊著/エクスメディア
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