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コラム
会計士の仕事
第1回 株主総会
株主総会とは
定時株主総会が終わったという知らせを聞くと、担当の会計士の仕事にも一区切りがつき、ようやくその長い1年が終わります。
株主総会とは、定款の変更や役員の選任など株式会社の基本的なあり方を決める商法に定められた株式会社の最高意志決定機関ですが、いわゆる定時株主総会は、会社の1年間の営業活動を報告し、その活動の結果である利益(または損失)の処分案(または処理案)について決議する重要なイベントです。
利益処分案とは、ご存知のように当期利益に前期の繰越利益を合わせた「当期未処分利益」を含む配当可能利益から、株主配当金や役員賞与をいくら支払うか、利益準備金、別途積立金、次期繰越利益等としていくら内部に留保するかを決めるための提案です。もちろん、これは株主にとって最大の関心事項に他なりません。
毎年6月末には、大企業の株主総会の様子が新聞などで報道されますが、これは日本の上場企業の多くが3月末決算を採用しているためです。
株主総会までの業務
さて、会計士は、株主総会に向けてどんな仕事をしているのでしょうか。
通常、株主に対して株主総会前に「定時株主総会召集通知」が郵送されますが、この召集通知の中に「会計監査人の監査報告書」が謄本として記載され、会社の財務諸表等が適法に作成されたものかどうかについての会計士の監査意見が表明されています。会計士は1年間を通じて様々な監査業務を実施していますが、その実施した結果の最終成果物がこの監査報告書であり、監査意見の表明です。
それでは、会計士はこの監査意見の表明のために具体的にどのような業務、言い換えれば監査の手続きを実施するのでしょうか。
監査の手続きは大きく分けて、「期中監査」と呼ばれる内部統制の状況を対象とする取引記録の監査と、「期末監査」と呼ばれる財務諸表項目の監査があります。3月決算の会社であれば、多くの場合4月以後に、期末残高の検証、決算整理事項の検証、財務諸表の表示方法などを中心とする「期末監査」を行い、これを経て「監査意見の形成」という最も重要な業務に至ります。
4月上旬には、クライアント企業のトップや経理担当役員などと「決算打ち合わせ」を持ち、決算の方向性を確認します。さらに、5月には新聞等のメディア向けに決算短信が発表されますが、この前に監査意見を決定します。
監査意見とは、財務諸表や営業報告書(会計に関する部分)が、一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成され、企業の状況を判断するのに必要十分な情報が誤解を招かない方法で開示されているかどうかを判断するものです。会計監査人である会計士は、監査役に対して監査意見を含む「監査報告書」を提出し、監査役による監査をもって法定監査が完了します。
こうして準備が整うと、株主総会の招集通知が発送されます。
株主総会と会計士
会計士は株主総会には出席しません。決算書類については、監査役が株主に対する説明責任を負っているからです。会計士はその監査役に対し説明責任を負うという関係になっています。
株主総会で利益処分案が承認されると、「利益処分案」が「利益処分計算書」となりますが、その利益処分計算書を含んだ財務諸表を、会社は別途に有価証券報告書として作成のうえ金融庁に提出します。法律に即して言えば、株主総会は会社法上のゴールであり、有価証券報告書は金融商品取引法上のゴールということになります。
クライアント企業と一緒にゴールまで走り抜けた会計士の締めくくりの仕事は「監査覚書」の提出です。監査覚書とは、1年間の監査実務の間に発見した会計処理上あるいは内部統制上の問題や課題について、クライアントに改善の方法などを勧告したものをまとめたものです。監査意見の表明が会計士の「批判的役割」であるとすれば、こちらは「指導的役割」ともいえるでしょう。ただ指導的役割のもっとも重要な部分は、決算方針の決定にあります。公認会計士協会は、企業の内部統制の強化のために、ひいては監査の品質向上のために、監査覚書の提出を義務付けています。
こうして、株主総会を終えた会計士は、すでに始まっている今期の監査業務に戻っていくのです。
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