Deloitte.
トーマツグループ トーマツ
Home サービス ニュース&ナレッジ セミナー 出版物 グループ案内 コラム 問い合わせ サイトマップ
Home > コラム > 会計士の仕事 第3回 内部統制の評価
コラム
会計士の仕事
第3回 内部統制の評価
内部統制とは何か
前回は、監査計画が監査リスクを軽減する「戦略」であることをお話しましたが、読者の皆さんは、リスクの中に「統制リスク」というものがあったことを記憶されているでしょう。今回は、この統制(内部統制)に焦点を当て、その実体を明らかにすると同時に、統制リスクを評価する方法等を紹介します。
では、内部統制とはいったいどのようなものでしょうか。
日本公認会計士協会監査基準委員会報告書第20号は、「内部統制とは、(1)事業経営の有効性と効率性を高め、(2)企業の財務報告の信頼性を確保し、かつ、(3)事業経営に係る法規の遵守を促すことを目的として企業内部に設けられ、企業を構成する者(企業構成員)の全てによって運用される仕組みである」と定義しています。
また、企業がこれらの3つの内部統制の目的を達成するためには、統制環境・リスク評価の機能・統制活動・情報伝達の機能・監視活動という5つの構成要素が相互に影響し合い、経営管理の仕組みの中に組み込まれていることが必要です。
統制環境は、内部統制の基盤であり、他の4つの構成要素に影響します。統制環境は、企業構成員の誠実性・倫理的価値観や能力などの属性である(特に「トップの正しい姿勢」が重要)とともに、構成員が業務を遂行する環境のことをいいます。統制環境は、社風・慣行等に影響を受けるとともに、構成員の内部統制に対する意識等に影響します。
企業はその目的を達成するために直面する様々なリスクを識別し、その影響を評価することが必要です(リスク評価機能)。また、その目的を達成するための経営者等の命令・指示が適切に実行されるように定めた方針、手続が必要です(統制活動)。事業活動の実行に際して必要かつ適切な情報が関連する部門・部署に、また部門・部署間において適時に伝達される必要があります(情報伝達の機能)。また、これらの機能の状況が常時監視され、評価され、内部統制に弱点等があった場合にはそれが是正されることを可能とする監視活動が必要になります。
内部統制の評価
会計士はここでいう3つの目的に関連するすべての内部統制を理解し、評価する必要があるのでしょうか?会計士の実施する財務諸表監査の目的は、企業の公表する財務諸表が適正に表示しているかどうかにつき意見を述べることにあるのですから、通常は上述した(2)の目的、つまり財務報告の信頼性を確保する目的に関連する内部統制に限定し、この目的達成を阻害するリスク(統制リスク)に焦点を絞って監査を実施することになります。
この「統制リスク」は、言い換えれば、重要な虚偽記載が会社の内部統制によって防止されず、適時に発見されない可能性をいいます。例えば、売上の計上が、実際には商品の引渡しがないまま記録された場合には、架空の「売掛金/売上」の記録が生じる可能性(リスク)が存在してしまいます。そのリスクを少なくするには、「売上は必ず商品の発送を示す資料(出荷票等)に基づき記録される」という統制活動が機能(整備・運用)している必要があります。この例示による「事実に基づいた(架空でない)売上計上」という監査要点に対する「売上は出荷票に基づき記録される」という統制活動を理解し、その整備及び運用状況を評価した結果が、財務諸表項目の検討のために実施する実証手続の範囲及び実施時期に影響します。つまり、内部統制がしっかり機能していれば、言い換えると統制リスクの程度が低いと判断した場合には内部統制に依拠して、証明力の弱い監査証拠を入手する実証手続を実施したり、実証手続の実施範囲を狭めたり、或いは期末日以前に実証手続を実施することができることになります。
統制リスクの評価プロセス
統制リスクの評価つまり、内部統制の有効性の評価過程は、次の4つの過程を通じて実施されます。

(1)内部統制の理解
これは、会計士が内部統制の5つの構成要素に関する内部統制の整備状況、すなわち内部統制のデザイン及びそれが実際に業務に適用されているかどうかに関する情報を入手し、内部統制を理解することです。この理解に基づいて、監査契約そのものを締結するのかの検討をはじめ、監査を実施するにしても内部統制に依拠して実施するのか、あるいは依拠しないのかの基本戦略を決定します。

(2)監査要点ごとの統制リスクの暫定的評価
これは、監査要点に関連する内部統制を理解し、統制リスクを暫定的に評価することです。監査要点ごとに関する内部統制(主として統制活動)について、過年度の監査において入手した情報を利用したり、内部統制の責任者等への質問、関係書類の閲覧あるいは観察等を実施して、統制リスクの暫定的な評価の程度を決定します。従って、この統制リスクの暫定的評価の程度が実証手続の実施計画に影響することになります。

(3)内部統制の整備・運用状況に係る統制評価手続の実施及び統制リスクの評価
内部統制の整備状況に係る統制評価手続及び運用状況に係る統制評価手続を実施し、この結果が統制リスクの暫定的評価を裏付けるものとなります。統制評価手続の結果が、暫定的評価の程度を裏付けた場合、暫定的評価の程度が統制リスクの評価の程度として決定することになります。しかし、統制リスクの程度が暫定的評価より高い場合には、当初計画した実証手続を強化して実施するよう計画の改定が必要となります。
内部統制の理解、監査要点ごとの内部統制の理解、統制評価手続の実施結果などについて、監査調書に記録することが必要となります。
最終的な会計士の判断は、内部統制が監査対象期間にわたって継続的に適用されていることを裏付ける十分で適切な証拠を入手して形成されます。
このように、内部統制評価はその後の監査のあり方を規定するきわめて重い業務であり、文字通り会計士の力量が問われる仕事なのです。
▲ 会計士の仕事
第1回第2回|第3回|第4回第5回
English 安全確保の措置 利用規定 プライバシーポリシー コンプライアンス・ホットライン
▲ページトップ
Member of Deloitte Touche Tohmatsu
Copyright (c) 2009 Deloitte Touche Tohmatsu, Tohmatsu Tax Co. All rights reserved.
Deloitte(デロイト)とは、スイスの法令に基づく連合組織体のデロイト トウシュ トーマツおよび相互に独立した個別の法的存在であるネットワーク組織のうちのメンバーファームのひとつあるいは複数を指します。デロイト トウシュ トーマツとメンバーファームの法的な構成についての詳細は、www.tohmatsu.com/deloitte/ をご覧ください。
 
RSSフィード トーマツグループ ヘッドライン RSSによりトーマツWebサイトの最新情報をご案内しています。
RSSフィード RSSとは