GHG検証ガイドラインとしてのISO140642008/12/22 |
排出量取引やカーボンビジネスを検討する際、企業の環境部門の方々が抱えるGHG(温室効果ガス)検証に関する問題として、CO2削減の成果を”クレジット化”するために、GHG検証ガイドラインとして何を採用すべきかといった課題が見受けられます。本稿では、GHG検証ガイドラインとしてのISO14064をとりあげ、その有効性につき検討してみます。さらに、グローバルなGHG検証ニーズへの応用についてもとりあげます。なお、意見に関する部分は私見である旨、お断りしておきます。
1.「国内排出量取引制度(国内統合市場)」を巡る動向の整理
2008年10月21日、低炭素社会実現のための対策として、政府から「排出量取引の国内統合市場の試行的実施」についての発表がありました。これは、従来から取組みや検討が行われてきた施策や試行事業を「統合市場」として構築する試みとなります。排出量取引やカーボンビジネスを巡る指針は、大きく分けて次の3つの柱から構成されます。
1)日本経済団体連合会(経団連)「自主行動計画」の延長として自主的な高い目標設定
経団連が発表した「自主行動計画」参加企業の中で、GHG排出・削減量の第三者検証が求められるのは、余剰「排出枠」を売却するケースです。それ以外でも自主的に検証を受けることも可能です。
実際にGHG第三者検証を受けるかどうかは、企業として本制度に参加する目的は何か、将来企業が目指すカーボンマネジメントの位置づけは何か、によって判断が分かれると考えられます。
また、「自主行動計画」に非参加の企業は、自動的にGHG第三者検証が必要とされます。
2)経済産業省「国内クレジット制度(国内CDM)」
経済産業省による「国内クレジット制度(国内CDM)」に関するGHG第三者検証については、検討が始まったばかりです。現時点ではGHG検証ガイドラインの詳細は決まっていません。
この制度は主に中小企業でのCO2削減対策に力点が置かれており、制度としての幅広い浸透を図ることと、検証費用の負担や検証精度とのバランスが課題になるようです。
3)環境省「自主参加型排出量取引制度(JVETS:Japan's Voluntary Emissions Trading Scheme)」
環境省の「自主参加型排出量取引制度」は、2005年から継続的に試行事業として取り組まれています。
4年にわたる排出量取引試行事業の中で、GHGの算定・報告・検証についてのガイドラインや検証機関が則るべき基準(ISO14065ベース)を含めてしっかりしたインフラが整備されてきました。排出枠(JPA)の登録や取引する「市場」の仕組みも環境省によって整備されています。
こういった排出量取引やカーボンビジネスを巡る目まぐるしい状況の中で、最近多くの企業、特に経団連「自主行動計画」に取り組んで来た企業の環境部門の方々が抱えるGHG検証に関する問題には、次のような共通の課題が見受けられます。
A) 「CO2削減の成果を”クレジット化”するために、GHG検証ガイドラインとして何を採用すべきか?」
B) 「「国内排出量取引制度」に参加すべきかどうか経営層から説明を求められているが、ビジネスインパクトの明確な根拠が示せない。」
C) 「これまでの”自主的な取組み”の延長で、グローバルなカーボンビジネスに本当に対応できるのか?」
以下に、これらの課題解決について検討してみたいと思います。
2.GHG(温室効果ガス)検証へのソリューション
1)いま企業がGHG検証に取り組む『メリット』
GHG検証を巡るニーズの高まりの中で、企業がいち早くGHG検証インフラを確立するメリットとして次のようなものが考えられます。
- GHG(温室効果ガス)削減努力の『クレジット化』(財務的価値化)
- 将来の法規制に備えカーボンリスク(GHG排出負債)の『見える化』
- 取引先へ精度の高いGHG情報の迅速な提供による『差別化』
2)既存マネジメントシステムの活用と「ISO14064」
CO2削減の成果を”クレジット化”するために、GHG検証ガイドラインとして何を採用すべきかに関する答えの一つが「ISO14064」といえるでしょう。
「ISO14064」は内部統制システム、環境マネジメントシステム(ISO14001等)、省エネ法の定期報告や地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)に基づく公表制度、経団連「自主行動計画」対策等々、確立されたノウハウや資源を活かしながら、企業の「カーボンマネジメントシステム」としてステップアップするものです。
「ISO14064」は既に2006年3月に発行され国際的な活用も広がっています。わが国においてもJIS化の最終段階にありながら、一部プロジェクトでは導入が始まりました。
3.グローバルなGHG(温室効果ガス)検証ニーズへの応用
グローバルなGHG検証インフラ構築とグローバルCSR報告
国際的にビジネスの拠点を展開する企業にとっては、国内のみならずグローバルな視点でのCSR(企業の社会的責任)活動を展開する必要があります。とりわけGHG排出量削減への国際的な取り組みは、避けて通れない道と言えるでしょう。そこで、法制度の異なる国々にまたがるグローバルな「カーボンマネジメントシステム」を確立することが企業にとって重要になってきます。
具体的なステップとしては、次の例のように、まず出来ることから始め既存の仕組みを十分に活かすことでしょう。
例:グローバルなカーボンマネジメントシステム確立のステップ
(第一歩) 「CSR・環境報告書」全体の第三者審査を実施し、問題点と検証対象の洗い出し
(第二歩) 国際ガイドライン(ISO14064等)による国内拠点を中心としたGHG第三者検証の実施
(第三歩) 海外拠点を複数サンプリングし現地GHG検証へ展開
(完 成) グローバルな「カーボンマネジメントシステム」の確立とグローバルCSR報告の信頼性向上
以上
関連するサービス
GHG検証を巡る企業のニーズに対し、私たちトーマツ審査評価機構はGHG検証を巡る企業のニーズに対し、GHG検証に関する様々な実績と経験を踏まえ、「ソリューションのヒント」を提示したいと考えています
トーマツ審査評価機構のISO14064/ISO14065への取組み
- 「自主参加型国内排出量取引制度」に本年第4期まで4年連続して参画しており、今後もオフセット・クレジットをはじめISO14064/ISO14065をベースとしたプロジェクトに積極的に参画する予定です。
- 企業の負荷軽減のため、既に導入されているマネジメントシステムを最大限に活用しながら、「ISO14064」(GHG排出・削減量の算定・報告・検証に関する国際標準)等のガイドラインと相互補完するアイデアをご提示します。
- 2008年、日本適合性認定協会(JAB)の行ったISO14065実証研究プロジェクトに参画し、認定実証審査を受けるなど、国際的な認定ガイドラインISO14065に対応するGHG検証機関であることを実証しました。
- 国内排出量取引制度(国内統合市場)に高い保証レベルでGHG検証サービスを提供するため、企業有志の方々をお招きしての研究会やISO14064セミナーを準備中です。
デロイト トウシュ トーマツのグローバルGHGネットワーク
トーマツ審査評価機構もその一角をなすデロイト トウシュ トーマツは、世界4大監査法人グループとして初めてグローバルなCSR・環境報告書のGHG検証ネットワークを整備しました。「CSR・環境報告書」第三者審査の第一人者として活動しております。
また、デロイト トウシュ トーマツでは、23カ国200名以上のプロフェッショナルからなる「気候変動と持続可能な資源グループ」を形成し、気候変動に関する情報の共有、技術の開発・普及、サービスの提供しています。トーマツ審査評価機構では世界有数のグローバルGHGネットワークを活用し、企業のグローバルなCSR・環境報告書のGHG検証や「カーボンマネジメントシステム」の確立に貢献します。
国連認定機関としての責任
トーマツ審査評価機構は、2006年5月の国連CDM(クリーン開発メカニズム)のDOE(指定運営機関:E-0006)認定に加え、この度2008年11月10日付けでJI(Joint Implementation/共同実施)で有効性決定および検証を行うAIE(認定独立機関)として、国連から仮認定(JI-E-0003)を受けました。
監査法人系のGHG検証機関として世界で初めてのAIE仮認定であり、日本のISO審査機関としても初となります。

