繰延税金資産の計上2009.1.29 |
質 問
繰延税金資産について、教えてください。
回 答
繰延税金資産は、税効果会計を適用した場合に、貸借対照表の流動資産又は固定資産に計上されます。
1.税効果会計
税効果会計は、企業会計上の収益又は費用と課税所得計算上の益金又は損益の認識時点の相違等により、企業会計上の資産又は負債の額(=会計上の簿価)と課税所得計算上の資産又は負債の額(=税務上の簿価)に相違(=一時差異)がある場合において、法人税その他利益に関する金額を課税標準とする税金(以下「法人税等」という)の額を適切に期間配分することにより、法人税等を控除する前の当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする手続です。
一時差異には、将来減算一時差異と将来加算一時差異とがあり、将来減算一時差異は繰延税金資産に、将来加算一時差異は繰延税金負債に関連します。我が国では、会計上は当期の費用であっても税務上は当期の損金と認められないために税務申告上加算し、次期以降に損金算入が認められる状態になった際に減算するという調整が申告調整の大部分を占めます。よって、将来減算一時差異が認識されるケースの方が多く、将来減算一時差異は、貸倒引当金損金算入限度超過額、賞与引当金、退職給付引当金、棚卸資産評価損、減価償却損金算入限度超過額などから生じます。
2.繰延税金資産
将来減算一時差異(又は将来加算一時差異)に係る税金の額は、将来の会計期間において回収(又は支払)が見込まれない税金の額を除き、繰延税金資産(又は繰延税金負債)として計上します。
下記3の具体例におけるX1年では、棚卸資産評価損200と貸倒引当金超過額300の合計500の将来減算一時差異が生じており、この500に係る税金の額200(=500×税率40%)に回収可能性が認められるため、繰延税金資産を計上しています。
繰延税金資産を計上する仕訳は以下のようになります。
| (借方) | 繰延税金資産 | 200 |
/ |
(貸方) |
法人税等調整額 |
200 |
なお、繰延税金資産の回収可能性については慎重な検討が必要であり、日本公認会計士協会から公表されている監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」が参考となります。
3.税効果会計を適用した場合と適用しない場合との違い(具体例)
具体例で見ると、税効果会計を適用した場合には税引前当期純利益と法人税等の税金費用(法人税等+法人税等調整額)が対応しており、その結果、適用した場合と適用しない場合とでは、当期純利益が異なってくることが分かります。
(申告調整項目内容)注:( )は利益
| X1年 | X2年 | ||
|
税引前当期純利益 |
(1,000) | 1,000) | |
|
加算: |
棚卸資産評価損 |
(200) | |
|
|
貸倒引当金超過額 |
(300) |
(200) |
|
減算: |
貸倒引当金超過額認容 |
|
300 |
|
加減算計 |
(500) |
100 |
|
|
課税所得 |
(1,500) |
(900) |
|
|
法人税等(40%) |
600 |
360 |
|
(一時差異の動き)
|
|
X1年末 |
増加 |
減少 |
X2年末 |
|
棚卸資産評価損 |
200 |
- |
- |
200 |
|
貸倒引当金超過額 |
300 |
200 |
300 |
200 |
|
一時差異合計 |
500 |
200 |
300 |
400 |
(税効果会計を適用しない場合の損益計算書)
|
X1年 |
X2年 |
|
|
税引前当期純利益 |
(1,000) |
(1,000) |
|
法人税等 |
600 |
360 |
|
当期純利益 |
(400) |
(640) |
(税効果会計を適用した場合の損益計算書)
|
|
X1年 |
X2年 |
|
税引前当期純利益 |
(1,000) |
(1,000) |
| 法人税等 | 600 | 360 |
|
法人税等調整額 |
(200) |
40 |
|
法人税等+法人税等調整額 |
400 |
400 |
|
当期純利益 |
(600) |
(600) |

