繰延税金資産の回収可能性2006.3.3 |
質 問
繰延税金資産の計上に当たっては、回収可能性の検討が不可欠であると聞きましたが、その理由を教えてください。
回 答
もともと有税処理の対象となった事象(棚卸資産の陳腐化、不良債権の発生など)と有税項目が将来無税項目となって将来の課税所得から減算され納付税額を減額することとなる事象は全く異なる会計事象であり、両者は別個に会計処理されるべきものです。
重要なのは、有税評価損が当期に発生したことではなく、当該評価損が将来において損金算入され将来の課税所得、ひいては納付税額を減額する効果が認められるか、すなわち繰延税金資産の計上根拠そのものにあります。
実務上の対応としては、将来年度の会社の収益力を客観的に判断することは困難な場合が多いため、日本公認会計士協会から繰延税金資産の回収可能性を基本的に会社の過去の業績を踏まえて判断することを求める重要な実務指針(監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」)が公表されています。
当該実務指針では、会社を5つに分類し、それぞれの会社が計上できる繰延税金資産の計上限度額を設定しています。例えば、繰延税金資産の計上限度額として、会社の業績が不安定な会社の場合にはおおむね5年内の課税所得見積額、重要な欠損金を計上している会社の場合には翌期の課税所得見積額としています。
このように、繰延税金資産は有税評価損の発生に連動する形で自動的に計上される性格のものではないため、繰延税金資産の計上に当たっては、有税評価損の損金算入時期を特定して(これをスケジューリングといいます。)納付税額の減額効果を評価すること、すなわち、繰延税金資産の回収可能性の検討が欠かせない実務となっているわけです。

