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2009.12.25付 「包括利益の表示に関する会計基準(案)」等について解説

財務諸表表示

著者: テクニカルセンター 庄内 彰子

企業会計基準委員会(ASBJ)は、平成21年12月25日付で企業会計基準公開草案第35号「包括利益の表示に関する会計基準(案)」(以下、「本公開草案」という。)を公表した(コメント募集期限は平成22年2月1日)。本公開草案は、財務諸表における包括利益及びその他の包括利益の表示について定めることを目的としたものである。財務諸表の表示に関しては、国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)の共同プロジェクトで検討が進められているが、本公開草案は、コンバージェンスの観点から、現行の国際財務報告基準(IFRS)との差異のうち、包括利益の表示について短期的に対応することとし、現行のIFRSと同様の定めを設けることを提案するものである。

包括利益の導入に伴い、以下の会計基準等を改正する公開草案が同時に公表されている。これらは主に、「評価・換算差額等」を「その他の包括利益累計額」に修正するなど必要な改正を行うものである。また、2009年12月に公表された企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」に対応するための修正も合わせて行っている。
・企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」の改正案
・企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準」及び同適用指針の改正案
・企業会計基準第6号「株主資本等変動計算書に関する会計基準」及び同適用指針の改正案

◆本公開草案の構成 
本公開草案の構成

◆範囲 
個別財務諸表及び連結財務諸表(いずれも四半期財務諸表を含む。)の両方に適用する。

◆用語の定義

「包括利益」:ある企業の特定期間の財務諸表において認識された純資産の変動額のうち、当該企業の純資産に対する持分所有者(当該企業の株主、当該企業の発行する新株予約権の所有者、少数株主)との直接的な取引によらない部分。

「その他の包括利益」:包括利益のうち当期純利益及び少数株主損益に含まれない部分。

【包括利益のイメージ】
包括利益イメージ

※個別財務諸表におけるイメージ。連結財務諸表においては当期純利益ではなく、少数株主損益調整前当期純利益。

◆包括利益の計算 
*個別財務諸表:包括利益=当期純利益+その他の包括利益
*連結財務諸表:包括利益=少数株主損益調整前当期純利益+その他の包括利益

◆その他の包括利益の内訳の開示 
その内容に基づき、その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、為替換算調整勘定等に区分して表示する。原則として税効果を控除した後の金額で表示し、各内訳項目別の税効果の額を注記する。
ただし、持分法適用会社のその他の包括利益に対する持分相当額については、税効果を控除した後の金額で一括して区分表示するが(貸借対照表上の累計額については各内訳項目に含めて表示)、被投資会社の税金は連結財務諸表には表示されないため、税効果の注記には含まれないことに留意する。

◆包括利益を開示する計算書 
次のいずれかの形式を選択適用する。
*「2計算書方式」:当期純利益を計算する損益計算書と、包括利益計算書で表示する形式
*「1計算書方式」:当期純利益の計算と、包括利益の計算を1つの計算書で表示する形式
(参考)包括利益の表示例
(1)個別財務諸表
個別財務諸表
(2)連結財務諸表
連結財務諸表

(出所)ASBJ「包括利益の表示に関する会計基準(案)」より転載。

◆適用時期等 
平成22年4月1日以後開始する事業年度の年度末に係る財務諸表から適用する。ただし、当該事業年度の期首から適用することができる。
また、平成22年6月30日以後に終了する事業年度の年度末に係る財務諸表から適用することができる。

◆適用初年度の取扱い 
本公開草案の適用初年度においては、その直前の年度における包括利益及びその他の包括利益の内訳項目の金額を注記する。また、四半期財務諸表に最初に適用する年度においては、前年度の対応する四半期会計期間及び期首からの累計期間について、これらの金額を注記する。

以上