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資産除去債務

2010.2.4

著者: テクニカルセンター 渡邊 陽子

質問

資産除去債務について、教えてください。

回答
1 定義 
資産除去債務とは、有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して、法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものをいいます。

2 資産除去債務の認識における留意点 
以下の留意点があります。

1)

対象となる有形固定資産には、建設仮勘定やリース資産、さらに、「投資その他の資産」に分類される投資不動産も含む。

2)

通常の使用とはいえない不適切な操業等の異常な原因によるものは、資産除去債務に該当しない。

3)

使用期間中に実施する環境修復や修繕は除去に関わるものではないため、資産除去債務の対象とならない。

4)

有形固定資産を除却する義務自体のほか、除却する際に当該有形固定資産に使用されている有害物質等を法律等の要求による特別の方法で除却する義務も資産除去債務に含む。

5)

法律上の義務に準ずるものとは、債務の履行を免れることがほぼ不可能な義務であり、例えば、過去の判例や行政当局の通達等のうち法律上の義務とほぼ同等の不可避的な支出が義務付けられるものは資産除去債務に含む。

6)

有形固定資産の除去が企業の自発的な計画のみによって行われる場合は、資産除去債務に該当しない。

7)

有形固定資産の使用を終了する前後において、当該資産の除去の方針の公表等により除去費用の発生の可能性が高くなった場合であっても、有形固定資産を取得した時点または通常の使用を行っている時点において法律上の義務またはそれに準ずるものが存在していない場合には、資産除去債務には該当しない。

 

3 会計処理 
資産除去債務の発生時に、資産除去債務の合理的な見積額(除去に要する割引前の将来キャッシュ・フローを見積り、割引後の金額で算定)を負債として計上し、同額を関連する有形固定資産の帳簿価額に加えます。資産計上された資産除去債務に対応する除去費用は、減価償却を通じて、当該有形固定資産の残存耐用年数にわたり、費用配分されます(=設例における「決算時の仕訳その2 減価償却」)。
さらに、資産除去債務は割引後の金額であるため、利息費用を計上する必要があります(=設例における「決算時の仕訳その1 時の経過による資産除去債務の増加」)。

<設例>

取得原価10,000、耐用年数5年の設備を4/1に購入。決算日は3/31。
取得時点で判明している将来の法的義務での除去に要する支出見積額1,000、
割引率3%とする。


取得時の仕訳

有形固定資産

10,863

現預金

10,000

 

 

資産除去債務

    863(=1,000÷(1.03)5)

 

決算時の仕訳その1 時の経過による資産除去債務の増加

費用(利息費用)

     26

資産除去債務

      26(=863×3%)

 

決算時の仕訳その2 減価償却

費用(減価償却費)

  2,173

減価償却累計額

  2,173(=(10,000+863)÷5年)


なお、適用初年度の期首における既存資産の帳簿価額に含まれる除去費用と関連する資産除去債務との間に差額が生じますが、この差額は、原則として特別損失に計上します。

4 適用時期 
企業会計基準第18号「資産除去債務に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第21号「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」は、平成22年4月1日以後開始する事業年度から適用となります(早期適用も可)。