過去勤務債務及び数理計算上の差異2009.3.19 |
質 問
「過去勤務債務」及び「数理計算上の差異」について、教えてください。
回 答
1.過去勤務債務
過去勤務債務とは退職給付水準の改訂等に起因して発生した退職給付債務の増加又は減少部分であり、退職金規程等の改訂に伴い退職給付水準が変更された結果生じる、改訂前の退職給付債務と改訂後の退職給付債務の改訂時点における差額を意味します。「退職給付水準の改訂等」の「等」には、初めて退職給付制度を導入した場合で、給付計算対象が現存する従業員の過年度の勤務期間にも及ぶときが含まれます。なお、過去勤務債務のうち費用処理(又は費用の減額処理)されていないものを未認識過去勤務債務といいます。
過去勤務債務と紛らわしいものに、ベース・アップによる退職給付債務の変動がありますが、この変動は、退職金規程自体の改訂により生じたものではないため、過去勤務債務ではなく数理計算上の差異となります。
2.数理計算上の差異
数理計算上の差異とは、年金資産の期待運用収益と実際の運用成果との差異、退職給付債務の数理計算に用いた見積数値と実績との差異及び見積数値の変更等により発生した差異であると定義されています。なお、数理計算上の差異のうち、費用処理されていないものを未認識数理計算上の差異といいます。
定義で示されているとおり、数理計算上の差異には、次の2種類があります。
1)あらかじめ定めた基礎率と実際の数値との差異(見積りと実際との差異)
2)基礎率を変更した場合に生じる差異
3.会計処理
過去勤務債務及び数理計算上の差異は、費用処理しなければなりません。この費用処理の方法には3通りあります。いったん採用した費用処理方法は、正当な理由により変更する場合を除き、継続的に適用せねばなりません。
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定額法(=原則) |
定率法 |
発生時費用処理 |
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処理方法 |
各期の発生額について平均残存勤務期間内の一定の年数で按分する方法。 |
残高の一定割合を費用処理する方法。この場合の一定割合は、発生額の概ね90%が平均残存勤務期間以内に費用処理される割合。 |
発生した期に一括費用処理する方法。 |
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長所 |
・損益への影響が平準化される。 |
・損益への影響が平準化される。 |
・未認識部分が生じない。 |
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短所 |
・各期毎の発生額の管理が必要。 |
・永久に費用処理されない部分が生じる。 |
・発生した期の損益への影響が大。 |
なお、いずれの方法においても、過去勤務債務の費用処理は発生した期からですが、数理計算上の差異の費用処理は、発生した期の翌期からとすることもできます。
また、過去勤務債務と数理計算上の差異とは、発生原因及び発生頻度が相違するため、費用処理の方法も費用処理年数も、それぞれ別個に設定することができます。

