回廊アプローチ2009.3.19 |
質 問
回廊アプローチ(コリドーアプローチ)について、教えてください。
回 答
毎期決算時に発生する数理計算上の差異について、一定の範囲内(=回廊)は費用処理の対象としない取扱いを、回廊アプローチ(コリドーアプローチ)と呼びます。
1.国際的な会計基準における取扱い
現行の国際財務報告基準では、IAS第19号において、「前年度末の数理計算上の差異残高の総額のうち、回廊(前年度末における年金資産の10%と退職給付債務の10%のいずれか大きい額)を超える額について、平均残存勤務期間で除した金額を損益計算書で認識する」方法が選択可能な方法のうちの1つとして示されており、回廊アプローチが認められています。
但し、国際会計基準審議会(IASB)は退職給付に関する会計基準を見直すプロジェクトを進めており、平成20年3月公表のディスカッション・ペーパー「IAS第19号『従業員給付』の改訂に係る予備的見解」において、回廊アプローチを含む遅延認識の廃止が提案され、検討が始まっています。
2.日本基準における取扱い
現行の日本基準は、回廊アプローチを採用しておらず、「割引率を含めた基礎率等の計算基礎に重要な変動が生じない場合には計算基礎を変更しない等、計算基礎の決定にあたって合理的な範囲で重要性による判断を認める方法(=重要性基準)」を採用しています。平成10年6月公表の「退職給付に係る会計基準」において、数理計算上の差異の取扱いについて、回廊アプローチとの比較を行った結果、退職給付債務が長期的な見積計算であることを踏まえて、重要性基準が導入されたものです。このため、割引率の設定に関する重要性の判定にあたっては、「前年度末に用いた割引率により算定されている退職給付債務と比較して、当年度末の割引率により計算した退職給付債務が10%以上変動すると推定されない限り、割引率を見直す必要がない」とされており、国際的な会計基準における回廊アプローチと同程度になるように考慮されています。
但し、日本においても退職給付会計基準の見直しの議論が開始されており、平成21年1月に「退職給付会計の見直しに関する論点の整理」が企業会計基準委員会より公表されています。
3.IAS第19号の回廊アプローチと現行の日本基準との比較(例示)
(前提条件)
1) 当年度(X1年度)に640の数理計算上の差異が生じた。その他の年度に生じた数理計算上の差異は考慮しない。平均残存勤務期間は4年、当年度から費用処理。
2)
回廊アプローチによる方法では、回廊を超過する部分を費用処理するものとする。なお、回廊は240で不変であるとする。
(それぞれの方法による数理計算上の差異の費用処理額及び未処理残高)
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X1年度 |
X2年度 |
X3年度 |
X4年度 |
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日本基準における定額法 |
費用処理額 |
*1 160 |
160 |
160 |
160 |
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未処理残高 |
480 |
320 |
160 |
0 |
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日本基準における定率法 |
費用処理額 |
*2 280 |
*3 158 |
88 |
50 |
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未処理残高 |
360 |
202 |
114 |
64 |
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回廊アプローチによる方法 |
費用処理額 |
*4 100 |
*5 75 |
56 |
42 |
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未処理残高 |
540 |
465 |
409 |
367 |
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*1:当初発生額640÷4年
*2:当初発生額640×0.438(発生額の90%が費用処理される4年の定率)
*3:前年度末未処理残高360×0.438(発生額の90%が費用処理される4年の定率)
*4:回廊超過分(当初発生額640-回廊240)÷4年
*5:回廊超過分(前年度末未処理残高540-回廊240)÷4年

