2011.12.22付 「改正法人税法及び復興財源確保法に伴う税率変更等に係る四半期財務諸表における税金費用の実務上の取扱い(案)」について解説税金費用 |
企業会計基準委員会(ASBJ)は、平成23年12月22日に実務対応報告公開草案第37号「改正法人税法及び復興財源確保法に伴う税率変更等に係る四半期財務諸表における税金費用の実務上の取扱い(案)」を公表した(コメント募集は平成24年1月11日まで)。
平成23年12月2日付で「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」(以下「改正法人税法」という。)及び「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」(以下「復興財源確保法」という。また、改正法人税法と復興財源確保法を合わせて、以下「改正法人税法等」という。)が公表され、税率の変更等が行われた。本実務対応報告は、改正法人税法等に伴う四半期財務諸表における税金費用の取扱いについて、ASBJに対して開示の迅速性を踏まえた実務上の対応方法に関する質問が寄せられたことに対応し、実務上の取扱いを明らかにするものである。
なお、本実務対応報告は、改正法人税法等の公布日を含む事業年度に係る四半期会計期間を適用対象としており、翌事業年度以降における税金費用の取扱いについては、ASBJで引き続き検討することとされているため留意が必要である。
1. 改正法人税法等による主な改正点
| (イ) | 平成24年4月1日以後に開始する事業年度の所得金額に対する法人税の税率が、現行の30%から25.5%に引き下げられる。 |
| (ロ) | 他方、復興財源確保法においては復興特別法人税法が創設され、平成24年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度において、各課税事業年度の基準法人税額に10%の税率を乗じて復興特別法人税額が計算される。 |
| (ハ) | 上記より、改正法人税法等の公布日以後の決算において、税効果会計上で適用される法定実効税率は、法人税率の引き下げと課税期間が限定的な復興特別法人税の双方の影響を考慮することとなる。 |
| (ニ) | 欠損金の繰越控除制度について、平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた欠損金の繰越期間が7年から9年に延長されるとともに、平成24年4月1日以後に開始する事業年度の所得金額に対する控除限度額が繰越控除前の所得金額の80%に制限される。 |
2.四半期累計期間中に税率の変更等が行われた場合の会計処理
1) 年度決算と同様の方法で税金費用を計算している場合(Q1)
- 繰延税金資産及び繰延税金負債は、原則的な考え方により、支払又は回収が行われると見込まれる期に対応した改正後の税率により計算する。復興特別法人税額が上乗せされる期間に支払又は回収が行われると見込まれる繰延税金資産及び繰延税金負債については、復興特別法人税額を上乗せした税率で計算する。
- スケジューリングが不能な一時差異については、一律に復興特別法人税額を含まない税率で繰延税金資産及び繰延税金負債を計算する。
2) 四半期特有の会計処理により税引前四半期純利益に見積実効税率を乗じて税金費用を計算している場合(Q2)
- 税率の変更に伴う見積実効税率の調整のために、当期末に予想される一時差異等を見積る際には、1)と同様、一時差異等のスケジューリングに基づき、繰延税金資産・負債については、復興特別法人税額を含む法定実効税率で計算する。
- 当年度の期首の一時差異等については、以下の方法によることができる。
① 経営環境に著しい変化が生じていないなど一定の状況にある場合
前年度末における繰延税金資産の回収可能性の検討において使用した将来の業績予測、タックス・プランニング、一時差異等のスケジューリングを利用することができる。(四半期適用指針第16項の取扱いを勘案)
② ①のような一定の状況にない場合
前年度末の検討において使用したものに、経営環境の著しい変化又は一時差異等の大幅な変動による影響を加味したものを使用することができる。(四半期適用指針第17項の取扱いを勘案)
- 税率変更後の見積実効税率の算定において、一時差異等の見積りは、財務諸表利用者の判断を誤らせない限り、重要な項目に限定する方法によることができる(四半期適用指針第19項)。
- 税務上の繰越欠損金についても、重要な影響が見込まれる場合には見積実効税率の算定上、考慮する。
- 連結納税制度を採用している場合においても、上記と同じ考え方によることができる。
3) 適時に一時差異等のスケジューリングを行うことが実務上困難な場合(Q3)
- 合理的で実態にも即していると考えられる方法により算出した単一の税率により税金費用を計算することも認められる。この場合には、その旨、使用した税率及びその算定方法を注記する。
<単一の税率の例>
①繰延税金資産の回収可能性の判断の際に使用した課税所得の見積期間の各期の法定実効税率を単純に平均した税率
②一時差異等の項目の主な解消見込時期に対応した法定実効税率
3. 開示
- 税率変更に係る会計処理の結果、四半期連結財務諸表等に重要な影響を及ぼすと認められるなど、財務諸表利用者が四半期連結財務諸表等を理解する上で重要な事項であると考えられる場合には、その旨及び影響額を注記する。影響額の注記にあたり、適時に正確な金額を算定することができない場合には、概算額によって注記することもできる。
4. 適用時期等
- 本実務対応報告は、改正法人税法等の公布日を含む事業年度に係る四半期会計期間のうち、改正法人税法等の公布日以後に終了する四半期会計期間に適用される。なお、改正法人税法等の公布日以後で、本実務対応法報告の公表日前に終了した四半期会計期間についても適用となる。
- 3)の取扱いは、改正法人税法等の公布日以後に最初に終了する四半期会計期間のみに適用される。
- 本実務対応報告の適用については会計方針の変更として取り扱わない。
以上

