2011.07.29 外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)FASビジネスキーワード |
1. FATCAの概要
外国口座税務コンプライアンス法(Foreign Account Tax Compliance Act of 2009、以下「FATCA」)とは、米国人の海外口座を使った脱税を阻止するため、「海外の金融機関(Foreign Financial Institution, FFI)」に報告義務を課すという米国の法律である。2010年3月18日に、追加雇用対策法案(Hiring Incentives to Restore Employment Act)の一部として成立しており、2013年から施行される予定である。なお、「海外の金融機関(FFI)」には銀行、証券会社等の他、ヘッジファンドやPEファンド等も含まれている。また、2010年8月に米国内国歳入庁(Internal Revenue Service, IRS)において通達2010-60(以下、「第一弾ガイダンス」)が公表されており、以下の点が検討されている。
- 一定の条件を満たす退職プランについて米国人の租税回避リスクが低いとして報告義務が免除されていたが、当該免除対象となる退職プランの拡大
- 米国と各国の退職プランの相違点・類似点、慈善団体や非課税団体の適用除外、FATCA対象となる保険商品の範囲の明確化
今後公表されるガイダンスでは、各国の業界団体及び金融機関から寄せられた多数の質問、コメント、要望等についての米国政府の対応が示されることになる。
FFI契約は、拡大関連者グループ(Expanded Affiliated Group、議決権及び価値において50パーセント超の資本関係にある関連会社群でパートナーシップなどの法人形態ではない事業体も含まれる)に属する法人等も含まれる。そのため関連会社グループ全体で影響を受ける事業体を特定し、全社的な視野から判断を行うことが必要となる。
図表:2013年施行開始までのプロセス

2. 日本の金融機関の今後の対応
FATCAに基づき、「海外の金融機関(FFI)」が米国口座保有者に関する報告義務を満たさない場合には、「海外の金融機関(FFI)」に対して「源泉徴収可能な支払い」の30%の源泉税が課されることになる。ここで「源泉徴収可能な支払い」とは、一般的に米国を源泉とする所得の支払いのことをいい、利子、配当、賃料、給与、保険料、年金等が該当する。よって、米国投資を行う日本の金融機関は、現状を評価しFATCAが与える影響を分析し、以下の点について、今後の方針を決定する必要がある。
- メガバンク・大手金融グループ:拡大関連者グループの規程により、グループ内のいずれかの金融機関が米国投資を継続し、FFI契約を締結する場合には、原則として、拡大関連者グループに属する全ての金融機関口座について、米国人口座を特定し、IRSへの報告が必要となる可能性がある。
- 他人の計算(顧客分)の米国投資を扱う金融機関(証券会社、信託銀行、アセットマネジメント会社等):すでにIRSとQI(Qualified Intermediary)契約を締結しており、多くの金融機関がFFI契約を締結することが想定される。今後は従来実施していた米国口座についての本人確認、米国人の特定をすべての口座について本人確認が必要となる。
- 自己の計算(自己分)で米国投資のみを行う金融機関の場合:米国投資の取りやめ、もしくは米国人口座保有の排除が考えられる。
参考文献
・「外国口座税務コンプライアンス法」(FATCA)ガイダンスの概要、Deloitte Tohmatsu Tax Co.
・米国税務・QI/FATCA関連情報:2011年03月10日、Deloitte Tohmatsu Tax Co.
問い合わせ
デロイト トーマツ FAS株式会社
問い合わせフォーム
TEL:03-6213-1180

