国際会計基準とM&Aについて 第1回2008.4.27 |
国際会計基準の採用
国際会計基準(IFRS、国際財務報告基準ともいう)への関心が日本で急速に高まっている。2009年1月28日に企業会計審議会は「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)(案)」として、日本におけるIFRSの取り扱いの方向性を示した。その案によると、IFRSは2010年3月期から任意適用が可能となり、強制適用は2012年にその是非を判断する予定となっている。強制適用はその準備期間を考慮すると2015年または2016年からと考えられている。本稿では、日本でのIFRSの適用が企業結合会計の面からどのような影響があるか、またIFRSの適用はM&A自体にどのような影響があるのか、を検討してみたい。
企業結合会計のコンバージェンス
最初に忘れてはならないのは、IFRSを適用する前に、会計基準のコンバージェンス(収れん)の一環として日本の会計基準の改正が継続的に行われている点である。IFRSの適用にはシステム対応、従業員教育等で相当な投資が必要という見解があるが、その前に日本の会計基準の改正への対応にも、十分な準備が求められる。企業結合に関係した会計基準の改正は2段階で行われる。第一段階は2008年12月26日に「企業結合に関する会計基準」をはじめとする会計基準、適用指針の改訂が行われた。これをコンバージェンスの工程表では「ステップ1」と称している。「ステップ2」は2010年に公開草案が公表されることになっているが具体的な適用年度は明らかでない。
またIFRSと米国の会計基準(USGAAP)も相互にコンバージェンスした新しい会計基準を公表した。企業結合会計については日本、IFRS、USGAAPそれぞれが新しい基準の適用が始まった(もしくは予定されている)状況である。それぞれの適用時期をまとめたのが図表1である。

IFRSと企業結合会計の適用タイミング
「企業結合に関する会計基準」等の適用時期と、IFRSの適用時期(案)を並べると図表2のようになる(3月決算の会社を想定したスケジュール)

2010年3月期からIFRSに移行するするのは、その前年度、2009年3月期の財務諸表をIFRSで作成するための準備を進めているごく一部の企業に限られる。なぜならIFRSの財務諸表は前年度と併記する必要があるからである。図表3の1番目がこの2010年3月期にIFRSを適用するパターンとなる。企業結合会計に関して言えば2010年3月期までは原則として改訂前のIFRS3号が適用されるため煩雑な形になっている。それ以外の選択肢としては2010年3月期に日本の企業結合会計(改正後)の早期適用をするかしないか、次の2011年3月期(もしくはそれ以降)にIFRSの任意適用を選択するかしないか、によって図表3にあるように多くのパターンが考えられる。

財務諸表を作成する企業は、会計基準適用の選択を、その実行可能性も勘案して決定していくことになる。一方で企業に投資する(買収する)立場としては、IFRSの強制適用が実施されるまでは、企業の財務諸表がどの会計基準を適用しているものかに、注目する必要がある。
以上

