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内部監査の品質評価導入のロードマップ

「企業リスク』2011年1月号より加筆・修正

著者: トーマツ企業リスク研究所 研究員 森 新吾

我が国においては財務報告に係る内部統制報告制度の導入に伴い、内部監査部門の設置・整備が進んできた。内部統制報告制度への対応は、継続的な運用段階に入り、設置した内部監査部門を有効かつ効率的に運営することが今後の課題になる。
本稿では、内部監査業務のレベルアップに有効な手段となる内部監査の品質評価の内容を紹介する。そして、現時点でこれを実施していない組織が段階的に導入していくためのロードマップを示す。
なお、本文中の意見にわたる部分は私見であることを予めお断りしておく。


1 内部監査の品質評価とは

1.1 内部監査の品質評価の意義
内部監査の品質評価は、内部監査に不備がないか「内部監査を監査」することをいう。すなわち、品質評価とは、内部監査が適切な基準を遵守して、一定水準以上で実施されているかを確認し、その有効性を評価することをいう。
内部監査の品質評価は、品質評価を行うこと自体が目的ではなく、内部監査の品質評価を通じて、内部監査の品質を維持・向上させることを目標としている。
また、内部監査の品質評価の実施により、内部監査の品質が一定の水準に達しているとの結論に至れば、内部監査の利用者は、内部監査の結果に一定の信頼を置くことが可能になる。
1.2 内部監査の品質評価の全体像
図表1:内部監査の品質評価の全体像内部監査の品質評価は分類すると、図表1のように4つに分類される。それぞれの内容については(1)~(4)で概要を示した。「内部監査の専門職的実施の国際基準」(以下、「国際基準」)では、2種類の内部評価及び外部評価のいずれかを実施することが要求されている。また、内部監査品質評価ガイドによると、「外部評価の取り組み方法は、フル外部評価と、自己評価と独立した検証の2つがあり、どちらも正当な外部評価として認められている」とされている。
(1)内部評価・継続的モニタリング
内部監査部門の管理業務にモニタリング機能を体系的に組み込み、日々継続的に品質評価を行い、改善活動を遂行することをいう。
継続的モニタリングは以下の全ての段階において実施される活動である。

  • 個々の監査業務計画の段階
  • 個々の監査業務実施の段階
  • 個々の監査業務の結果伝達の段階

これらは、各々の業務が内部監査部門で実施すべき水準にしたがって実施されているかについて内部監査部門長等の管理者によって、各組織体の管理業務の手順に従って実施される。具体的には以下の事項を実施する。
例) 個々の監査計画書のレビュー、監査実施の監督、報告書レビュー監査部門のマニュアル・手続の遵守状況の確認 等
(2)内部評価・定期的レビュー
監査業務終了後、内部監査部門長に任命された業務参加者以外の者が、「品質評価マニュアル」(後述)や「内部監査品質評価ガイド」(後述)を利用して、国際基準等への適合性を評価することを定期的レビューという。継続的モニタリングが自社基準への適合性を中心に評価するのに対して、定期的レビューにおいては国際基準等、一般に認められた内部監査の基準に内部監査業務が適合しているか評価する点が異なる。定期的レビューについては、内部監査品質評価ガイドによると年1回定期的に実施することが推奨されている。
国際基準への適合性の評価の内容はフル外部評価と同じであることから、この部分においてはフル外部評価の手法やツール類の活用が可能である。
(3)フル外部評価
フル外部評価では、適格にしてかつ独立した外部評価者が以下の項目を実施する。

  • 内部監査の定義、基準、倫理綱要への適合性評価
  • 有効性と効率性の評価
  • ベストプラクティスの適用を含む改善機会の識別

「内部評価」や「自己評価と独立した検証」(後述)といったフル外部評価以外の方法が自社基準や国際基準等への適合性を評価することを主眼にしているのに対して、フル外部評価においてはベストプラクティスと現状の内部監査業務の乖離の指摘等、内部監査の更なる発展に役立てるという視点が入っていることから、国際基準等への適合性に対応済みの内部監査部門が更なる発展を意図した場合には、フル外部評価が最も適切な方法であるといえる。
また、フル外部評価においては内部監査に関連する利害関係者に対してインタビューやアンケートを実施するため、利害関係者の期待水準充足レベルを客観的に判定することが可能である。

(4)自己評価と独立した検証(以下、SAIV)
内部監査部門における自己評価の結果(自己評価報告書)について、組織体の外部評価者が、自己評価のプロセスの妥当性、適合性の意見に合意できるか検証することをいう。SAIVの実施は内部監査部門による自己評価(定期的レビュー)を前提としており、以下のステップで実施する。
《ステップ1:内部監査部門による自己評価》
・内部監査部門の、内部監査の定義、基準、倫理綱要への適合性評価
《ステップ2:外部評価者による独立した検証》
・内部監査部門が実施した自己評価プロセスの妥当性の検証
・基準への適合性の結論に合意できるか否かの検証
なお、SAIV 実施のためには、通常の定期的レビューに加え、外部評価に対応可能な証跡を残す必要があることに留意する。
図表2:ガイドラインにおける品質評価の種類

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