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Automotive Newsletter Vol.1 自動車産業構造変化の方向性と次世代環境対応車普及のシナリオ

自動車業界 新時代の幕開け(2009.12)

著者: デロイト トーマツ コンサルティング株式会社 自動車セクター

はじめに

自動車業界は100年に一度の変革期に突入している。自動車業界は、1908年にT型フォードの量産体制確立により技術的な礎が築かれ、「大量生産・大量販売社会」の到来により、今日では世界販売台数6,800万台(08年)、産業規模57兆円(日本07年)を有する、経済を牽引する基幹産業の一つへと成長を遂げた。
IT革命によりグローバルレベルでの水平分業化が進展したIT・電気産業に対して、自動車産業は未だ自動車メーカーが主導権を握る垂直統合型の産業構造を維持している。専売チャネルでの販売や自動車部品メーカーの系列化など、程度の差はあるものの、自動車メーカー各社における共通のバリューチェーンモデルとなっており、新規プレイヤーにとって参入障壁が高い業界でもある。
しかし、昨今自動車業界を取り巻く外部環境は大きな変貌を遂げ、自動車業界は新時代へと突入し、その産業構造変化は4つのドライバーにより進展すると予想される。

  • 新興国市場シフト(市場の変化)
    「先進国中心」から「進行国中心」の市場へ
  • コモディティ化の進展(顧客の変化)
     オーバーシューティングの発生
  • モジュール化の加速(業界・製品構造(アーキテクチャ)の変化)
     「すり合わせ・垂直統合」から「モジュラー型・水平分業化」の構造へ
  • ネットワーク化(通信・電力・交通等の社会インフラの変化)
     「スタンドアローン」から「ネットワーク化された社会インフラシステムの一部」へ

次世代環境対応車普及のシナリオ

旧来型の内燃機関と電動機関を組み合わせたハイブリッド車(HV)、プラグを利用して直接電力を供給し充電できるプラグインハイブリッド車(以下pHV)、バッテリーとモーターのみで走行可能な電気自動車(以下、EV)に代表される次世代環境対応車の普及が社会的な注目を浴びている。
デロイト トーマツ コンサルティングでは、次世代環境対応車普及のカギを握る業界内外の環境変化要因を5ファクターから動向把握・分析した。これらは相互依存の関係にありながらも、個々の背景・目的に基づいた普及のベクトルを提示している。

  1.  政府支援

日中欧米をはじめとする各国政府は意欲的な次世代環境対応車普及目標を掲げ、政策を打ち出している。それらは短期的ではなく、自国産業の中長期的な競争力強化に向けた布石が打たれている。バリューチェーンが広範にわたる新産業の早期確立と、先行者利益確保に向けた国家間競争の様相を呈している一方で、共同研究等、国家・地域間の連携強化の動きも活発化している。今後も競争と協調の両睨みの状況下で、グローバルでの国家・地域間主導権争いが進むものと考えられる。

  1. 自動車メーカー戦略

各社次世代環境対応車にグローバル市場投入は、09年~10年代前半にかけて本格化することが予想され、次世代環境対応車市場は本格的勃興期に入ったと言える。大手各社は、自社の経営リソースに応じた技術開発・市場投入を進めており、一方で潤沢なリソースを持たない小規模メーカーはEVを中心とした特定技術に経営リソースを集中する傾向がある。また、次世代環境対応車の基幹部品の内製/外注方針にも各社の顕著な違いがみられる。モジュール化された部品の組み合わせにより、比較的容易な車づくりが可能となるEV領域では、EVに特化した新興メーカーも勝機を窺っており、新旧プレイヤー間の新たな競争が始まりつつある。

  1. サプライヤー戦略

自動車メーカーの経営戦略立て直しに伴い、自動車部品サプライヤーも経営戦略の見直しを迫られている。次世代環境対応車の代表格であるEVと内燃機関車とでは異なる基幹部品を必要とするため、これまでの産業構造の転換が進むであろう。

  1. バッテリー性能・コスト

現状のEVの大きな二つの課題は、航続距離の短さ、車体価格の高さにあり、これらを決定づけているのはバッテリーである。優れた性能を有するバッテリーを、低コストで調達できるか否かが、EV事業の成否を握っている。

  1. 社会システム

これまでの純粋な”移動手段”としての自動車から、新しい役割に移行しつつある。それは、都市交通における「サステナブルな都市の構成要素」としての役割、スマートグリッド社会における「蓄電池」としての役割である。これまでのスタンドアローンの製品であれば、社会が要請する所与の条件を満たしていれば問題なかったが、今後は社会システムとのつながりを意識した開発を求められる。今後、自動車メーカーは、関係各所との連携を模索する戦い方を強いられるであろう。

以上

 


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