Automotive Newsletter Vol.4 アセアン地域におけるスモールコンパクト車の市場性展望自動車業界 新時代の幕開け(2010.08) |
はじめに
グローバルに展開する自動車メーカーが、電気自動車等の次世代環境車対応と同様に重点を置いているテーマが、新興国向けの商品対応である。
本稿では、今後更なる成長が見込める前途有望なアジア地域のなかでも、中国やインドに次いで豊富な人口を有し、経済連合体として堅実な経済成長が期待されるアセアン地域にスポットを当て、更に、今後更なる急成長が想定される「スモールコンパクト領域」にフォーカスし、その中長期の市場性を展望する。
アセアンの経済レベルやモータリゼーションはまだまだ発展途上のレベルであるものの、各国国内を細かく見ると、都市部に限って言えば、先進国に引けをとらないモータリゼーションレベルに達している。このようにモータリゼーションレベルが違う都市部と地方部では、需要も異なる。
経済レベルの高い都市部においては、経済的余裕から『パーソナルモビリティ』としての需要も多く、産業構造の変化や、外国資本のブランドやショッピングモール等の進出も加速してきており、“地方都市”に住む人々のライフスタイルは大きく変化しつつある。このような「社会要因」に加えて、政府によるスモールコンパクト車への税制恩典付与といった「政策要因」と、世帯収入向上によりやっと新車を購入できるようになる世帯層の拡大といった「経済要因」が加わり、地方都市においても『パーソナルモビリティ』需要が今後急速に伸びると考えられる。スモールコンパクト車は、低価格・低燃費の観点から生活必需品としてコモディティ化が起こり易く、そのような需要にうまく対応できると考えられる。
- 政策要因
各国政府が、自動車産業強化・市場拡大の観点から、低価格・低燃費のスモールコンパクト領域に税制恩典を付与する政策を打ち出している。
- 経済要因
産業構造の変化(1次産業⇒2次産業⇒3次産業への段階的シフト)により、アセアン地域は今後も高い経済成長率を維持できることが予想され、世帯収入も急速に向上することが見込まれる。また、インフラ面では、道路延長・舗装環境等のインフラは着実に整備されてきている。一方、公共交通機関としては、都市部では鉄道網の整備が急速に進む一方で、地方都市においては鉄道網は乏しく、一般的に、公共交通網の整備レベルが低いほどスモールコンパクト車は普及しやすいため、アセアンでも特に地方においてスモールコンパクト車の需要が喚起されるような環境になりつつあると言える。
- 社会要因
産業構造の変化により、地方都市部において、ライフスタイルが著しく変化してきている。この産業構造は、当時モータリゼーション進展期であった70年代の日本の状況に非常に似ており、第三次産業は今後も伸びる様相を見せていることから、地方におけるモータリゼーション進展が近いことが推察される。
ユーザーのプロファイル嗜好・用途の変化
前述のような環境変化が起きつつある中で、ユーザーはどのように変化してきているのか、そして、それらの変化は果たしてスモールコンパクト車への需要増加につながるのか、クルマ選択の意思決定に大きく影響すると考えられる『用途』と『嗜好』という2つの観点から検討する。
ユーザーの用途の変化
- 商用やレジャー用でなく、単に買い物や家族の送り迎えなど『日常の足』(=シンプルな近距離の移動手段)としての需要が増加
- 収入増目的での農村部若年層の都市移住や家族ビジネス(農業・自営業)の縮小に伴う核家族化・単身者増加によって、乗員人数が少ないユーザーが増加
- インフラ改善により、悪路の走行に適したクルマでなくても問題ないというユーザーが増加
- 経済成長により複数保有できる所得層の増加による買い増し
ユーザーの嗜好の変化
- 女性ユーザーの割合が増加
- 燃料価格高騰により、ランニングコストを意識するユーザーが増加
各社のスモールコンパクト車戦略
アセアン地域におけるスモールコンパクト車需要の増大が見込まれる中、自動車メーカー各社はスモールコンパクト車の生産開始あるいは増産対応により、来るべきスモールコンパクト車需要の急増に乗り遅れないよう準備を急いでいる。
事例:トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、フォード、三菱、現代
以上
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